JRPGはどうなるべきなのか?RPGを愛する海外デベロッパーに聞く、JRPGの現在地と未来

JRPGとは「Japanese Role Playing Game」の略称で、日本で生まれたRPGを指す言葉だ。主に海外で使われている言葉であるが、国内でも洋RPGを見る機会が多くなった近年では、国産RPGを指す言葉として日本でも定着している。海外のユーザー投稿型辞典サイトでは、「JRPGとは、Japanese Role Playing Gameである」とだけ記述されているところが多い。そういった「日本のRPG」という原義の意味で使うユーザーもいれば、「若者が活躍したり、アニメ調で描かれる、いわゆる日本産RPG色の強いタイトル」というジャンル志向的な意味でJRPGという言葉を使うユーザーもいる。その定義に関する話はひとまず置いておいて、この記事ではJRPGを「日本のRPG」を指す言葉であると解釈したい。

日本で生まれたRPGには多くの共通点がある。エンカウント式の戦闘であったり、ターンベースの戦闘であったり、大きなワールドマップが存在しており、小さな街やダンジョンが配置されていたり。こうしたお約束の要素に安心を感じる国内ユーザーも多いと思うが、一方で海外ではどのように受け取られているか、よくわからないのが正直なところだろう。BioWareやBethesda Softworksのタイトルなど、西洋のRPGと比べて古典的(Classic)すぎると評されたかと思えば、そうしたお約束の要素を含む『ペルソナ5』は高い評価を得ている。JRPGが実際海外でどのように受け取られているか気になる方もいるのではないか。

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そこで弊誌は、RPGを愛する海外(主に北米)のゲームデベロッパー5名に、JRPGについての印象と、JRPGがどのように方向性を目指すべきという質問を投げかけ、思いの丈を語っていただいた。

 

Chevy Ray Johnston

カナダのバンクーバー在住のクリエイター。現在開発中の『Ikenfell』は魔法学校を舞台としたRPGで、海外アニメ「Steven Universe」の楽曲を手がけるaivi & surasshuも開発に参加している。『Ikenfell』のパブリッシングは、Humble Bundleが担当している。

JRPGについてなんですが、私はスローテンポで進み、たくさんのキャラクターが出てくるRPGが好きですね。物語が進むにつれてキャラクターが成長し、発達していくのがいい。そういった意味では、JRPGはすばらしいジャンルですよ。

JRPGがどうなるべきか?うーん、JRPGというのは単なるジャンルだと思うんですよね。だからほかのジャンルと同じく、開発者が好きなように作ればいいんだと思います。どのような目標を選んだとして、そのデザインと、プレイヤーに伝えたいメッセージを、ゲーム開発において一貫させる必要があるとは思いますけどね。ロールプレイングゲームというジャンルである以上は、私はロールプレイがしたいです。私はゲーム内において主人公でありたいですし、そういったデザインであるべきなんです。個人的に日本のゲームを多く遊ぶというわけではないんですが、絵作りと音楽はすばらしいと思いますよ。

 

Rebecca Cordingley

glumberland所属。2016年までゲーム会社に勤めていたが、『Stardew Valley』のヒットに衝撃を受け、退社し夫とともにインディーゲームの開発を始める。開発中の『Ooblets』は『Stardew Valley』に『ポケットモンスター』を組み合わせたタイトルになるという。Double Fineと契約を結び2018年のリリースを目指す。

私は『FINAL FANTASY』や『ペルソナ』といったJRPGと呼ばれるタイトルはプレイしていないですが、今は『妖怪ウォッチ2』をやっていますし、楽しんでいます。『妖怪ウォッチ2』が伝統的なJRPGのカテゴリーに入るかはわかりませんが、おそらくJRPGは私の好きなゲームジャンルだと思います。私はターンベースが好きで、キャラやチームを育てるのが好きなんです。ほかにも経営シミュレーションや神視点のゲームも好きです。資源を管理し成長させていくという点ではJRPGと似ていますよね。

私は正直いって、ストーリーに比重を置いたゲームの大ファンとは言えないです。さまざまなジャンルが混ざりあってるゲームが好きなんです。JRPGライクと呼ばれているブラジル産の『Chroma Squad』はX-COMのようなシステムを採用していながら、戦隊モノの要素を混ぜていて、とても好きですね。実は『ルセッティア』も私のお気に入りで、『Ooblets』の買い物要素は『ルセッティア』から影響を受けています。

普段ゲームする時は、あまりゲームジャンルといったものに固執することはないですが、日本のゲームに関して言えば、私はユニークな文化と出会えることが嬉しいです。なので、あまり西洋の人々がどう受け取るかを考えないほうがいいと思います。個人的には、日本でもっとPCゲームが人気になっていってほしいですね。どんどん日本のゲームがPCで遊べるようになっていますし、『Ooblets』も日本語で遊べますしね。

 

Michelle Silva

アメリカ・シアトル在住のクリエイター。Ska studiosに在籍している。代表作は『Salt and Sanctuary』。『Salt and Sanctuary』は2D版『DARK SOULS』とも称されるタイトルで、PC/PlayStation 4のほかにもPlayStation Vitaでも国内向けに販売中。

JRPGについては、開発者の間でもゲーマーの間でも、やや時代遅れであるという声は聞きます。しかし個人的にはJRPGとても好きですよ。PS Vitaを使って頻繁に遊んでいます。JRPGはよいものであると思っています。

JRPGがあまり好きでない人もいるようですが、そういう人ばかりではないです。私は『FINAL FANTASY』や『聖剣伝説』、『クロノ・トリガー』を遊んで育ちました。残念ながら、アメリカではたくさんのJRPGが成功したとはいえません。もしかしたら、興味がない人が多いのかも。最近遊んだJRPGは『ペルソナ4』『二ノ国』で、『ペルソナ5』はまだ遊んでいませんが、ぜひ近いうちにプレイしたいと思っています。『FINAL FANTASY XV』はRPGというカテゴリーから離れてしまいましたが、それでも素晴らしいゲームだと思いましたよ。JRPGがどうなるべきかといわれると、まず思いつくのは、JRPGは基本的にかなり「長い」ですよね。しっかりとしたシステムと、深みのあるストーリー、重厚な会話。没入するにはすばらしい世界です。一方で、ものすごく多大な時間の消費が求められます。そういった点が気になりますね。

日本のゲームに限った話ではないですが、ゲームをプレイする際には面白いゲームメカニックとよいシナリオがあってほしいです。私はシアトルに住んでいて、Sakura-Con と呼ばれるアニメイベントがこの前あったんですが、とても多くの『ペルソナ4』のコスプレをしたプレイヤーがいましたよ。そういったところでも関心が形となって現れているので、目を向けてほしいですね。

 

Charles Webb

アメリカ・カルフォルニア在住のクリエイター。Faux-Operative Gamesの共同設立者。4月28日にはハイスピードなローグライクタイトル『Ruin of Reckless』をSteamなどでリリースしている。

JRPGの楽しさは知ってるんだけど、『FF7』の頃から知識は止まってるなあ。思い返してみると、ゲームとしては欠陥が多くて、新しい体験もそれほどなかった。そういうゲームに時間を使うのは難しいんだよ。『ペルソナ5』はかなりいい感じに見えるけど、配信禁止ってポリシーにがっかりしちゃったな(編集部注記: 2017年5月4日現在、海外における『ペルソナ5』の配信ルールは緩和されている)。

俺にとってJRPGは、ストーリー体験にかなり焦点を絞ったジャンルだっていえる。レベル上げなんてついでみたいなもんだろう。俺は毎回の戦闘にも意味がほしいし、プロットにも目的がほしい。今じゃプレイヤーはレベル上げとアップグレードより、戦略を練るほうが楽しいんじゃないかと思う。こうした単調な戦闘システムは、ゲーム内容を詰めていくうえで乗り越えなければいけない課題になるんじゃないかな。

『FF7』を遊んだ時に一番楽しかったのは、レベルを上げずひたすら逃げ続けて、ボスへ挑むことだった。アイテムをどの場面で慎重に使うか、ボスに対してどこまで準備できるか。こういう状態でのボスとの戦闘はマジでハードだった。でも、ボスに対抗できる手段はレベル上げ以外には全然ないけど、倒さないと先には進めない。20レベル以上あげて倒すというのが基本の敵を倒してマテリアを得るために、計画を練りまくるんだ。こういう風にプレイした時はめちゃくちゃ面白かったな。個人的にはであるが、JRPGはそういうものがあってほしい。ランダム性こそがプレイヤーの集中力を持続させるんだ。

 

Jim Shepard

アメリカ・シアトル在住の個人開発者。Raven SoftwareやGearbox Softwareに在籍し、数々の大型タイトルに携わったのち、インディーゲームの制作を始める。代表作は『Dungeonmans』、最近ではアーケードスタイルのアクションンゲーム『Demon Truck』をリリースしている。

俺はJRPGとともに育ったんだ。『ドラゴンクエスト』『FINAL FANTASY』だろ、そして『クロノ・トリガー』だ。個人的には『ファンタシースター』が好きだ。俺の作品『Dungeonmans』も『ファンタシースター 千年紀の終りに』からはかなり強い影響を受けてる。時間が経ってもJRPGへの愛は変わらない。『ペルソナ5』は今まさに遊んでる。『ペルソナ』シリーズの絆を感じさせるイベント見るたびにコーヒーを飲んだり散歩にいくんだ。『ペルソナ3』のシナリオが特に好きで、ラストでは男泣きしちまった。ええっと、JRPGをどう思うだっけ?マジで大好きだ。でも忘れちゃいけないのは、俺は38歳で、開発者としてはだいぶ年寄りだってことさ。

JRPGは、誠実であるべきだと思う。たとえば『ブレイブリーデフォルト フライングフェアリー』が『FF13』より輝いたことなんていいサンプルだろう。シナリオにひねりがあったり、驚きがあったりするのはいいんだが、やっぱり魅力的なストーリーとキャラクターがあってほしいね。「主人公たちが旅に出る」ぐらいシンプルでいいんだよ。よくわからない、あいまいな専門用語を出されて、誰が楽しめるっていうんだ?俺はJRPGは大好きだけど、『FF13』のシナリオはさっぱり楽しめなかったな。シナリオ進めるのはやめて、ファング使ってモンスター狩りばかりしてたよ。

戦闘システムをどうすべきかって話もあるが、たとえば『ペルソナ5』はターンベースだけどテンポがいい。『モンスターハンター』はアクションだけどテンポがゆっくりだろ。どっちにしても戦略性が求められるんだ。だから、テンポがゆっくりであるのも、わざとなら悪いことじゃない。JRPGのテンポが遅すぎるという人を見るときは、戦闘というより大体は飛ばせないムービーとか、必殺技とか、そっちが足を引っ張ってるように思うね。俺は『FF12』が大大大好きで、最高の『FF』だと思ってるけど、ミストナックの演出はさすがに長すぎると思う。最近のゲームにしては特に目立つ。移動時間にしても、もうちょっと考えてほしいと思ったよ。

個人的に思うのは、JRPGは日本から西洋に輸出する時に、うまく文化を変換できてないように思う。日本語ではニュアンスが面白く書かれてるであろうセリフが「well」とか「huh」とかあいまいなものになってて、そういうテキストをセリフ送りをするのが面倒なんだよ。うまく魅力が伝えきれてないように思う。

あと、いつになっても主人公に近い女性が「単なるセクシー役(Eye Candy)」扱いなのはちょっとな。『FF15』の「シド」も『METAL GEAR SOLID V』の「クワイエット」も『FF12』の「フラン」もだめだ。なんで2017年にもなって主人公のパーティーに加入する女が全員半裸なんだ?『Horizon Zero Dawn』のアーロイとか『The Witcher』のシリとか、もっといるだろう。「ララ・クロフト」でさえ「ただのおっぱいちゃん」を卒業したんだぜ?どうしてそこを変えてくれないんだ。ネタバレになるからいわないけどな、『ペルソナ5』でもそういうシーンがあって、がっかりだったな。

最近日本のJRPGで興味が出た要素といえば、ガンビットとかマテリアとかパラダイムシフトとか、手軽かつ戦略的に戦闘を面白くするゲームプレイだな。『ファンタシースター 千年紀の終りに』ではマクロを組めば自動的に戦闘してくれたし、特殊能力を順番に使う隠しテクニックもあった。『ペルソナ3』を初めて遊んだ時、ソーシャル機能とバトル機能の両方がすぐにすっと理解できた。JRPGはゲームプレイのシステムがいいんだよ。俺は昔の、そして新しいJRPGから新しい要素を取り入れようとしてるよ。タイトルを遊ぶ時間がなくとも、システムについては知らなければいけないと思ってる。

まだまだJRPGについて期待してる。頭よりもでっかい剣と空飛ぶ島、宇宙から流星を呼んで世界が半分に裂けるとかな。途方もないどデカイモンスターを倒すのも大好きさ。狂った鎧も武器もほしいね。ビジュアルと音楽がきれいなゲームでもあってほしい。『XenobladeX』でクールな音楽を聴きながらロボットで広大なエリアを探索する体験は、2015年の最高の瞬間のひとつだったよ。

 

 

さまざまなクリエイターにJRPGへの想いを語っていただいた。それぞれ考えは異なっているが、否定的な意見はJRPGの根本的な構造というより、長さや煩雑さといった個々の要素に集まっている印象だ。現代では、JRPGだけでなく、すべてのゲームにおいてテンポの向上や快適さの向上が求められているのだろう。こうした背景を考えれば、快適さやテンポに配慮されている『ペルソナ5』の高評価は合点がいく。JRPGは、日本のRPGを総称するうえで非常に便利なカテゴリーであるが、ゲームにおいての不満点は、カテゴリーやジャンルではなく、そのゲーム自体に起因するものだと考えるべきなのかもしれない。

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