Arena.netが開発を手掛けた『Guild Wars 2』(以下、GW2)は、2012年8月29日より正式サービスが開始された。前作『Guild Wars』の200年後にあたる、ドラゴンが蘇った世界「ティリア」を舞台に、5つの種族が時に敵対、時に協力し合いながらも世界の危機を救い謎を解いていく“剣と魔法”のファンタジーMMORPGで作品である。ローンチから5周年を迎えMMOというジャンルでは「中堅」どころに位置する本タイトルだが、2017年9月22日には2本目の拡張パック「Path of Fire(PoF)」がリリースされ、今もなお進化し続けている。

100万本のプレオーダーを獲得し世界的には『World of Warcraft』『ファイナルファンタジーXIV』と肩を並べる大ヒットタイトルと言って間違いない『GW2』だが、残念ながら日本国内での知名度は低い。日本語サービスがなく言葉の壁がその原因の一つなのは間違いないが、既にサービス開始から5年が経過しているため、「既存プレイヤーと一緒にゲームを楽しめないのでは?」と、レベルや装備といった”格差”を気にして尻込みする人もいるだろう。

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重厚なストーリーと豊かなコンテンツが大きな魅力の『GW2』だが、本記事ではあえて、これから遊び始めても気軽に楽しめるゲームモード「World versus World(以下、WvW)」1点のみにスポットを当てて紹介していきたい。

 

七日間ぶっ通しの三つ巴戦争「World versus World」

『GW2』にはカジュアルからハードコアな遊び方まで、プレイヤーの嗜好に合わせて様々なコンテンツが用意されているが大きく分けると以下の3つとなっている。

・ストーリークエストやイベント、ダンジョン攻略などのRPG
・5対5の試合形式で行われる対人戦
・数百人規模で実施される戦争「World versus World」

今回触れる「WvW」とは、3つの勢力が4つの専用MAPを舞台に戦争を繰り広げる大規模対人戦コンテンツのこと。24時間オープンの戦場は1つのMAPにつき数百人が同時に接続可能。各MAPに複数存在する「Catsle(城)」「Keep(砦)」「Tower(塔)」「Camp(キャンプ)」「Sentry(見張り)」などの拠点を奪い合うのが基本的な戦いの目的であり、制圧している拠点の数だけ一定時間ごとに自軍にポイントが加算されていく。まるまる1週間続くこの三つ巴の戦いは、毎週日本時間の土曜日午前11時に戦績がリセットされ、前週の成績をもとにマッチング相手が入れ替わり、新たに次の1週間を戦い抜いていくシステムとなっている。

大きな前提として、全キャラクターはWvWエリアに入った時点でレベル上限の80に引き上げられるので、低レベルのプレイヤーが参加したら足を引っ張りそう、周囲のプレイヤーに怒られるのでは?といった点はまったく気にしなくてよい。MMORPGでありながらも、装備集めや経験値稼ぎに必死にならなくてよい対人戦モードがあるのは、『Guild Wars』シリーズを通じての特徴である。

土曜日朝(北米プレイヤーにとっては週末夜)のリセットはWvWが最も盛り上がるタイミング。WvW専用マップは人数制限がかかり、100人待ちと3桁になることもある。

WvWの魅力であり華と言えるのが“Zerg”と呼ばれる40人~50人前後(時にはもっと多い)による大乱戦だ。もともとZergという言葉がRTS『StarCraft』に登場する種族名なのでご存知の読者もいると思うが、大軍で押し寄せ敵を蹂躙していくその戦闘スタイルが語源になっている。戦場では己の戦略・戦術に自信あるプレイヤーが自ら指揮官となり、「Commander Tag」と呼ばれるシンボルマーク頭上に表示、“Zerg”を指揮する。ほとんどの大型ギルドはTeamSpeakやMumble、最近はDiscordなどのボイスチャットツールを導入しており、指揮官の掛け声とともに大軍同士がぶつかりあう迫力、そして目の前の敵を蹴散らしていく爽快感は、一度味わうとやみつきになるはず。優秀な、すなわち「勝たせてくれる」プレイヤーは自然に名が知れ渡り、人気コマンダーのいるマップは入場制限がかかるほど混雑する。ところがいったん負けがこみ始めると、プレイヤーは忠誠心をたちまち失い、大軍は散り散りに……。勝てる戦も人数差で押し切られ、無言でコマンダータグをおろし、すごすごログアウトしていく背中には、ちょっとした哀愁とドラマを感じるかもしれない。

CastleとKeepは制圧できれば獲得ポイントが大きいうえ、広いWvWマップの移動が便利かつ安全になるため、これら拠点の攻防は50人近いプレイヤーの乱戦になることも珍しくない。チャットを使った素早い情報共有も勝敗の鍵になる。先述の通りWvWは24時間/1週間を通して行われる戦争なので、自分の好きな時間に参加して、都合いいタイミングでさっと離脱できるのも、多忙な社会人にはかなり遊びやすいコンテンツと言えるだろう。

 

引き抜き・詐欺・色恋……数々の”メークドラマ”もWvWの醍醐味

WvWをメインに『GW2』を楽しむ海外ギルドには、20人~100人近い所属メンバーを抱えるところも多い。年齢も国籍も異なる様々なプレイヤーが集まれば、そこには自然とドラマが起きるもの。巻き込まれれば面倒だが、言葉の関係であまり深入りできない筆者のような立場は、ちょうどいい距離で様々な人間ドラマに触れられる。

もっとも多いドラマは、ワールド間での大手ギルドの引き抜きだ。『GW2』では所属ワールドの変更は基本的に有料サービス(最大で約2700円)だが、手薄になる時間帯を補強すべく「ギルドメンバー50人分の移転料を全額支払うから来てくれないか」など、太っ腹な申し出もある。野心的なギルドがこのオファーを喜んで受けたものの、いざ移転してみれば勧誘元から「君らの移転料を支払ったのは我々だ。うちのギルドの“傘下”として、手足となって働いてもらいたい」と子分扱いされ、「話が違う!」と激しい口論になるケースも。また、金で買われたギルドはしょせんよそ者扱い。冷遇され、「こんな勧誘に応じるべきではなかった、故郷に帰ろう……」と自腹で移転料金を支払い古巣に戻ってみれば、「金に釣られて出ていったやつらが、いけしゃあしゃあと帰ってきた」などと煽られ、行くも地獄、戻るも地獄。この状況に心が折れ姿を消したコマンダーも数知れず。

100人を超えるギルドともなれば、専用ホームページを開設しているところもある。特に海外プレイヤーはSNSサービス「Facebook」のIDを公開し、素顔の写真を堂々と投稿したり、年齢、既婚・未婚を隠さず公開しているケースが珍しくない。最近はTwitchなどの外部サービスを利用したゲーム配信者も多く、その中には日本で”姫プレイヤー”と呼ばれるような方々もいるわけで……。ゲーム内の戦争とは別に、見目麗しい女性プレイヤーをめぐる「場外乱闘」あり、互いの名前をかわいいペットにつけあうラブラブカップルだったはずが、いつの間にか彼氏の名前がついているペットが「豚」にすり替わっていたりとドラマには事欠かない。

実際ボイスチャットで声が女性であることを確認された後に、「日本人の女子だよね。僕、日本人の子が好きなんだ。いくつ、写真ある?Skypeやってる?」などと直球の質問を受けることも、海外ギルドに所属していればそれなりにある。

そのほか、常勝コマンダーとして大人気だったプレイヤーが子供だましの詐欺にあってアカウントを失ってみたり、ギルド内に敵対ワールドのスパイアカウントがいるのでは?と疑惑にかられたあげく、次々と腹心の部下をギルドから除名した”ご乱心コマンダー”が登場したりと、海外プレイヤーのストレートな物言いと熱いやりとりはまさにメークドラマ。英語に自信があり、かつ自分に降りかかった火の粉を振り払える方であればこういった場外乱闘も含めて、WvWの人間模様を楽しめるはずだ。

かなり駆け足で手軽&気軽に参加可能な「World versus World」という1つのコンテンツから見る『GW2』の魅力を紹介してきたが、その他にもより難易度の高いレイドコンテンツ、アチーブメントやコレクションといったやりこみ要素も本タイトルには豊富に用意されている。RPG部分ですべてのコンテンツを楽しむためには拡張パックの購入が必要だが、それ以外の部分は基本無料化しており月額のプレイ料金も一切発生しないビジネスモデルは、継続的な長時間プレイが難しい多忙な社会人にも適しており、冒頭でお伝えした通り最新拡張パック「Path of fire」の実装にともないサービス5年目とは思えないほど今にぎわっている。購入方法からキャラメイキングまで丁寧に解説してくれる個人ブログや、有志による日本語Wikiの情報もわりと充実しているので、英語がそれほど得意ではないという人も臆せず、ぜひともこの機会に『Guild Wars 2』の世界に触れてみてほしい。

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