E3 2018を振り返る。AUTOMATONライター5人が、それぞれ印象的だった発表(作品)を選ぶ

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今年度最大のゲームの祭典、E3 2018が終了しました。例年盛り上がりを見せますが、今年は特に各社のプレゼンに気合いが入っており、見ている方の満足度が高い祭典になったのではないでしょうか。我々もE3 2018についていくつかニュースを書かせてもらいましたが、同時にE3 2018を楽しんだ身でもあります。そこで弊誌のライター5名に、印象に残った瞬間やタイトルをあげてもらいました。閉幕したE3 2018を思い返しながら、読み進めてみてはいかがでしょうか。

 

愛情と憎悪のコントラスト

一番興奮した発表は、超ベタですが『The Last of Us Part II』のプレイ映像公開です(映像発表記事開発陣解説記事)。例のエモーショナルな場面は事前情報抜きにゲーム内で体験したかったなぁという思いはありますが、愛情と憎悪のコントラストを見せる上では、あのシーンを使うのがベストだったのでしょう。それにゲームプレイ映像だけだと、昨年公開されたトレイラーに続き残虐表現ばかりが注目されてしまったかもしれないですし。ナイフが突き刺された首から流れる生々しい血汁や、爆発矢で敵の身体が吹き飛ぶ様子(爆破後に流れる、ピュルルル!という血のシャワー音が素敵)といった表現の進化はしっかりと見せてくれたので満足です。

あとE3のパフォーマンスとしては、Devolver Digitalのカンファレンスも見逃せません(関連記事)。ジョークとして発表されたルートボックスコインは同社の公式ストアで販売され、チープなつくりにも関わらず250ドルまで価格高騰&完売したという冗談のような売れ行きを見せています。
by Ryuki Ishii

 

工業系FPSは時間泥棒の香り

衝撃の『The Elder Scrolls VI』発表や、注目作『GHOST OF TSUSHIMA』のプレイ映像公開など、今年のE3も内容盛り沢山でした。そんな中で個人的に嬉しかったのは、ディザー映像以外の情報がなかった工業系FPS『Satisfactory』の映像公開です。ゲーム内容の詳細は記事の方にお任せするとして、『Factorio』をFPSに変えたような映像は、見ているだけで高揚するものがあります。ベルトコンベアをジェットコースターのコースの如く複雑に立体交差させたり、ジャンプ台を設置できるなども主観視点のゲームならではです。

大型トラックやバギーなど、さまざまな乗り物が登場する本作ですが、重厚な見た目の貨物列車が登場するのも嬉しい限りです。別に電車好きという訳ではないのですが、なんとなくこういうデザインの列車って、近未来SF系の工業都市などで良く登場するイメージで、それを自分の手で運行できるのは非常に楽しみなところです。探索部分でレアアイテムが存在するというのも良いですね。まだ見ぬアイテムを求めてエイリアン狩りをしたり、効率と見栄えのバランスを取りながら生産ラインを調整したり…。自分なりの目標を立てて、自由にプレイすることができるゲームというのは本当に楽しいものです。楽しすぎて睡眠時間を削りすぎないように注意は必要ですけどね…。
by Kouzou Suzuki

 

The Elder Scrolls VIの舞台はどこなのか?

『TES VI』の正式発表はてっきりもっと先になると思っていたので、不意を突かれた。気になったのはタイトルが『The Elder Scrolls VI』とだけ表記されていることだ。過去作のように「Skyrim」「Oblivion」といったゲームの舞台がサブタイトルに冠されていない。この点について海外ファンの間ではタムリエルとは別の大陸(例えばアカヴィルなど)ではないか、あるいは単純に岩だらけの大地なのでハイロックではないか、などと推測が飛び交っている。

動画で目につくのは、荒涼とした大地にクレーターのような穴が穿たれている点だ。クレーターでまず思いつくのはMinistry of Truthが落下したモロウィンドだが、動画にはレッドマウンテンがない。では、他にクレーターをつくるような巨大質量といえばなにがあるだろうか。私が思い浮かべたのは魂を動力として駆動する浮遊都市ウンブリエルだ。過去にブラック・マーシュに出現しLilmothを不死の軍団で壊滅させ、モロウィンドやインペリアルシティへ侵攻した、ウンブリエル危機だ。TESIVのオブリビオンの門と同様に、ウンブリエルが複数タムリエル大陸各地に出現したら、そのうちいくつかは落下してクレーターをつくるのではないだろうか。不死の軍団によって生命が根絶やしにされた大地はトレイラーのような有様になるのではないだろうか。短い動画からでも、そんな想像をかきたてられてしまう。『TES VI』にサブタイトルがないのは、大陸全土だからではないだろうか。舞台がタムリエル全土に広がったら、さぞ楽しいだろうと期待してしまうのだ。
by Masahiro Yonehara

 

また派手なパーティーが始まるのですね、大統領…

欲を言えば事前にほのめかすようなことはせず、プレスカンファレンスのその瞬間にガタッとさせてほしかった。それでも、Devolver Digitalが発表した『METAL WOLF CHAOS XD』は、今年のE3でもっとも興奮したタイトルのひとつ(発表記事)。2004年にフロム・ソフトウェアが発売した『メタルウルフカオス』のリマスターです。誤解を恐れず言えば、B級映画感溢れるシナリオで真面目にゲームを作ったらこうなったという作品でしょうか。『アーマード・コア』の同社ですからメックアクションは確かな出来で、当時ハマった思い出があります。

両社を仲介した架け橋ゲームズのインタビューによると、Devolver Digitalは上のツイートの反響を示して交渉し、フロム・ソフトウェアは真剣に受け止めねばと感じたのだそうだ。当時リツイートした私は真剣に捉えていませんでしたが。何がきっかけで山が動くか分からないものです。
by Taijiro Yamanaka

 

割とダークホース

E3 2018では、『サイバーパンク2077』ハッキング演出からのド派手なトレイラーや、『GHOST OF TSUSHIMA』の美しいゲームプレイ映像など、目を喜ぶ素晴らしい演出の映像が多く公開されましたが、E3期間中にもっとも多く再生したトレイラーは、『Sable』であります(発表記事)。『Sable』は、メビウス調の絵をアニメーションさせているいうビジュアルに注目が集まっているようですが。僕としてはそこも勿論外せないポイントなのですが。個人的には、Japanese BreakfastのMichelle Zaunerさんが作曲した曲が刺さりまくったわけですよ。美しい砂漠の広大な世界で、アンビエントな音楽にのせて少女が旅をしている…。今なら、これをおかずに白ご飯をガツガツ食べられそうな気がします。気がするだけですが。Michelle Zaunerさん、今まで存じ上げてなかったのですが、アジア系アメリカ人のようで、歌声もそうですが歌う姿も美しく…もうファンになりました。いまさらですが。

本作をパブリッシングするのがRaw Furyというのもまたよくて、同社はもともとは『バトルフィールド』シリーズを手がけるDICEの幹部の方を中心に新たに立ち上げたインディーパブリッシャーです。シンプルながら個性的な作品を発売していて、それでいて日本展開もきっちり進めてくれるありがたい会社なのです。そんなRaw Furyが発売するということは、日本展開にも十分期待できそうです。
by Minoru Umise

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