肉食動物となり動物を狩るアクション『Feral』、フランスの学生7名が1年で開発した一人称視点のサバイバル

『Feral』は、フランス初のゲーム開発専門の学校Supinfogameの生徒7人が、卒業制作として開発したアクションゲームだ。虎のような肉食動物となって厳しい自然を生き抜いていく、一人称視点のサバイバルゲームとなっている。空腹、水、体力の三つの要素があり、これが枯渇しないように注意しなくてはならない。Unreal Engine製の美しいグラフィックと、オリジナリティあふれる生物の造形が、魅力的な世界観を表現している。

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食料は草食動物を狩ることで獲得することができるが、マップが広く単純に走り回って探しただけでは、なかなか見つけることができない。そこで、嗅覚と聴覚の二つの特殊能力を駆使して獲物を探す。聴覚を使えば物音のしている方向がわかるようになり、嗅覚を使えば足跡や草食動物の糞などを頼りに動物の痕跡を追うことができる。

嗅覚と聴覚を駆使し獲物を発見しても、ただ走って近づいただけでは草食動物の足が速く、あっという間に逃げられてしまう。背を低くしながらゆっくりと近づき、間合いに入ったら素早く仕留める必要がある。また、一時的に飢えをしのぐために小動物を狩ることもできるが、ほんの少しだけ空腹度が回復するだけで、すぐにまた新たな獲物を探さなくてはならないので、大型の草食動物を狙うのが基本的なプレイングとなりそうだ。プレイヤーは基本的に捕食する側であるが、逆に大型の生物が相手では捕食される側になり、一方的にやられてしまう。幸い足は遅いので、逃げ切るのはそこまで難しくないだろう。

『Feral』は、印象的なグラフィックの表現に成功しているほか、複雑なサバイバル要素を導入しており、学生が作ったゲームとは思えないほどクオリティが高い。一方で、プレイヤーからは普段見ることのできないゲーム作りの難しさを感じさせる点もある。たとえば、本作はゲーム中に巣に帰るとキャラクターのスキル振り分けの画面が表示されるシステムになっているが、筆者が巣に入ると経験値が0に戻り、振り分けることができない現象が起きた。このほか、15分程度プレイするとゲームが落ちるなど、まだ未完成だと感じさせる部分も多い。

はたして彼らはどのようなゲームの完成を目指していたのだろうか。本作においてもっとも工夫が感じられるのは、マップの大きさに反比例するフィールドの多様性だ。『Feral』のマップは実際にはそこまで広くはない。しかしそこには、彼らが作りたいと思った世界が凝縮されている印象だ。岩場、森林や水辺など、小さなマップの中にさまざまな景色が存在している。これを可能にしているのは目線の低さだ。主人公は四足歩行の動物であり、人間よりも目線が低くなっている。これにより視線を草などに遮られ、比較的近くでも見通せないことが多くある。つまり、近くにある場所でも実際に足を伸ばさなくては確認することができないということだ。これによって、小さなフィールドに様々な景色がすっぽりと収まっている。短期間で作れる適度な大きさのマップに、作りたい景色をなるべく詰め込む非常に有効な方法だ。

他にも、短期間の制作を支える工夫として、ゲームデザインのシンプルさが考えられる。本作のキモは草食動物を探し、狩る、この二つだ。探す方法に関しては、プレイヤーには多くの選択肢が与えられている。聴力や嗅覚を使って探す方法もあれば、実際に走り回って探すこともできる。反対に、狩る方法は簡単だ。そっと近づき、飛びつく。狩りに関しては、シンプルでありながら「探す」の段階において苦労を強いられる分、その喜びは大きい。試行錯誤と、それが成功した時の爽快感、というメリハリがうまく作られている。

彼らがどのような思いでゲームを開発したのかは定かではないが、卒業制作として、自分たちの作りたいものをできるだけ作り込み、それ以外の部分をシンプルに抑えられている印象だ。美しいグラフィックを備えたミニゲーム、といったテーマが垣間見える。今後ゲームのアップデートによるバグの修正があるのかは不明だが、製作していた学生らは既にゲーム会社に勤めてそれぞれのゲーム開発に携わっているため、それは難しいかもしれない。現在、本作のゲームデザイナーのLouis Gauthier氏は『Assassin’s Creed Syndicate』のDLCの開発に携わり、同様にアーティストのMickael Verbeke氏は『Gear.club』の開発に携わっている。『Feral』はitch.ioでダウンロードすることができるので、ゲームプレイヤーだけでなく、ゲーム開発に興味がある人にもプレイしてみてほしい。きっと開発途中の彼らの戦いの痕跡が見えてくるだろう。

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