『Hot Diggity』マシンをカスタマイズして地中奥深くを目指す穴掘りフリーゲーム


Free Game Saturdayは、アルファやベータ版、購入者が金額をゼロから決められる“Name your own price”を問わず、主にPC向けの無料で遊べるフリーゲームを紹介する週間連載。前回述べたように、商用ではないからこその奇抜な表現の作品がフリーゲームには多く、それはゲーマーにとっての遊びだけでなく、これからゲーム開発の道へと進む方、またはアイデアを探し求めている熱心なデベロッパーにとってアイデアの源にもなるだろう。

というわけで第2回目は、穴掘りドリルマシーン『Hot Diggity』、奇怪な世界観を持つシューティング『Warping War Pig』、ただ振り回すだけなのに白熱する『Super Flail』、これら3つのフリーゲームを紹介する。

 

『Hot Diggity』

Hot Diggity』はLudum Dare 29で誕生した穴掘りゲーム。開発を手がけたのはDragonXVI。Windows/Mac/Linuxに対応しており、ブラウザで遊べるUnity Web Player版も公開されている。

『Hot Diggity』は穴掘りゲームであると述べたとおり、プレイヤーは掘削機を操縦し、地底奥深くへと掘り進んでいく。どこまで深く潜れるかを目指すゲームなのだが、単調になってしまわぬように、プレイヤーを捕食しようとする巨大なモンスターが地上から追いかけてくる。モンスターに攻撃することはできないため、とにかく逃げるしかない。これは制限時間のようなもので、数字をモンスターという形に変えたものだ。

地中にはやわらかい土だけでなく硬い岩もあり、大量のゴールドが埋没している。このゴールドは経験値のようなもので、集めれば掘削機のレベルが上がる。レベルが上がるごとに、掘削機に一つだけパーツを追加できる。パーツの種類は「ドリル」「エンジン」「レーザー」「冷却水タンク」の4つ。レイアウトを考えながら、効率良く掘削機をパワーアップさせていく。

レーザーで遠くのマグマを爆発させれば、ゴールドを効率良く集めることができる。
レーザーで遠くのマグマを爆発させれば、ゴールドを効率良く集めることができる。

気をつけたいのは、機体が高温になり限界に達すると爆発してしまう点である。温度は、潜るスピードを上げたとき、離れた場所にある土を掘れるレーザーを射出したとき、そして地中に点在するマグマに触れたときに上昇する。迫り来るモンスターから逃げるために、とにかく早く掘り進むことだけを考えていると、あっという間に爆発してしまう。そうならないよう、レベルアップ時に「冷却水タンク」を機体に追加することが重要である。

掘削機のレイアウトは、かなり重要である。いびつな形になれば、地中を掘り進むときにひっかかりが発生する。たとえば穴に頭を突っ込んでも、肩がひっかかるようなものだ。とはいえども、パーツはレベルアップ時に一つずつという制限があるので、どうしてもいびつな形になってしまう。ならば一直線に長い機体にすればいいのではないかというアイデアが思い浮かぶのだが、ドリルが一つしかない状態では掘るスピードが遅く、かわりにレーザーで土を排除しようとすれば一気に高温になってしまう。レイアウトに頭を悩ませるのも、『Hot Diggity』の楽しさのひとつである。

 

『Warping War Pig』

Warping War Pig』は、横スクロールのシューティングゲームである。主にモバイルデバイス向けのゲームを開発しているQuikding Softwareが手がけたもので、先月の末にHTML5版が公開された。

Quikdingの名を知らないという方は多いだろう。しかし、一度でも作品集を見れば、二度と忘れることはないはずだ。『Revenge Of the Sunfish』とはまた違った世界観を持つ、奇怪なゲームばかりである。「自分が作りたいものを作る」という姿勢をつらぬいているデベロッパーだといえる。

UFOを操縦する人たちの表情からは平和が感じられる。
UFOを操縦する人たちの表情からは平和が感じられる。

『Warping War Pig』の操作方法はシンプルで、マウス左ボタンをクリックすれば浮上し、ボタンを離せば降下する。敵が射程範囲内に入れば自動で攻撃がおこなわれるので、プレイヤーは移動操作だけに集中し、障害物を避け、次々と登場するUFOを撃墜してジェムを集めていくのだ。

倒した敵の情報はBounty Listから確認できる。コンプリートを目指そう。
倒した敵の情報はBounty Listから確認できる。
コンプリートを目指そう。

移動は上下のみであり、素早い動きはできない。そのため、どうしても障害物を避けられないときがある。その場合は、ドラッグ・アンド・ドロップの要領で左クリックを活用し、離れた地点にワープできる。オプション画面で「double-tap warp」をONにすれば、ダブルクリックでも可能になる。このワープは避けるだけでなく、敵が落としたアイテムや、プレイヤーより後方に流れてしまったジェムを取るときにも活用するといいだろう。集めたジェムは、武器のアップグレードやシールドの購入に使う。スコアを伸ばしたいのであれば、アップグレードは不可欠である。

見た目からビジュアルだけを売り物にしたゲームだと思われがちだが、実際に遊んでみると、予想以上に難しくゲームとして成り立っていることに気づくはずだ。先に進むほどマウスさばき(ワープ)が重要になり、まるでRTSを遊んでいるような気分になる。一定距離に到達すれば強力なボスが登場するなど、プレイヤーを興奮させる見せ場もある。ぜひQuikdingが描く奇妙な世界に飛び込んでみてほしい。

 

『Super Flail』

Super Flail』はスコアアタックを楽しむ、アーケードライクなゲームである。プレイヤーは「フレイル」を遠心力を使って振り回し、無数に出現する敵を倒してスコアをかせいでいく。開発を手がけたのはCryptMade

デフォルトの操作方法は、上下左右のカーソルキーを使う。キーボードでの操作はなかなか難しく、長時間遊べば指は疲れ、WASDと同じくキーに描かれたシンボルが消えかねないので、ゲームパッドを所持しているのであればそちらを使うことをおすすめする。ちなみにXbox 360やOneのコントローラーの場合、左スティックをぐるぐると回すだけなので、とても楽に操作できる。

黒い敵は何度もよみがえる……
黒い敵は何度もよみがえる……

画面の中央でフレイルを振り回し続ければ、四方八方から迫り来る敵を簡単に排除できそうだが、それでは簡単すぎてゲームとして成立しないだろう。あるていど難しくするために、プレイヤーと鉄球をつなぐ鎖には当たり判定がなく、数種類の特徴を持つ敵が登場するようになっている。たとえば倒すと爆発して周囲の敵を巻き込むものや、遠距離攻撃をしかけてくるもの、アーマーを装着しており3発当てないと倒せないやっかいな敵も登場する。

1発で倒せない、または嫌な攻撃をしかけてくる敵が多くなったときに役立つのがアビリティである。スペースキー(XboxコントローラーならA)を押すと、フレイルのアビリティが発動し、敵の対処が楽になる。アビリティを使用すると戦況が有利になるのでとても便利なのだが、発動時間が長めに設定されているため、効果が切れたとしてもアビリティ発動中の感覚でプレイを続けてしまうので、使用後は意外と死にやすいポイントになっているので注意してほしい。また、回数に制限があるので、ここぞというときだけに使うといいだろう。

もちろんフレイルにも種類がある。特定の条件を満たすことで、新たなアビリティを持ったフレイルがアンロックされていく仕組みだ。ただこのフレイルは途中で切り替えることはできず、ゲーム開始前に1つだけ選択する。最初は当たり判定ゾーンが広くなる「FIRE」しかないが、最終的には5種類のフレイルを選べるようになる。

こういったフレイル振り回し系のゲームは、ほかにもいくつかあり、さほど目新しいものではないかもしれない。自分のペースを保ってプレイし続けることが難しいゲームであり、それが楽しく感じられる。とてもシンプルな作品ではあるが、思わず「そんなの無理だろ」とつぶやいてしまうボスも登場するので、挑戦しがいのあるゲームであることに間違いはない。

 

前回に続いて、第2回Free Game Saturdayでも共通のコンセプトを持った作品は紹介していない。多少個人的な好み(『Warping War Pig』)が入ってしまったが、週末のゲームライフに「ガリ」を添えることができれば幸いである。