戦後、主に製造業での輸出入や土木建築分野での内需によって立国してきた日本という国で、「観光立国」が叫ばれ始めて一定の時間が過ぎた。2016年に来日した外国人観光客は過去最高の2403万人を記録し、その勢いをそのままに昨年末には「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案」、いわゆる「カジノ法案」が成立した。実現化に向けた問題は未だ山積しているものの、日本で本格的なカジノが合法化される日もそう遠くはないだろう。

一方で、そんな世間の流れとはまったく無関係に、カジノという遊びを、「ライブストリーミング」と組み合わせた遊びを提供しているコミュニティが存在している。今年2月に開催された「ニコニコ闘会議」のユーザーブースの中、非常に多くの参加者で賑わっていた「ニコ生カジノコミュニティ」のカジノブース。今回は「カジノコミュニティ」運営であり、同時にディーラーでもある方々に、独自の発展を遂げているライブストリーミングカジノに関してお話を伺った。

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アミューズメント~Argine~
サブマネージャー:恋文一直線(こいぶみいっちょくせん)さん

──ニコ生のカジノチームというのは、そもそもどういった集まりなんでしょうか?

恋文さん
もともとニコ生カジノのコミュニティといのがいくつか存在するんですけど、そのコミュニティの連合と申しますか、同じ志を持った人間たちが今回闘会議という目標に対して集まったものがニコ生カジノチームと言うことになります。

──普段は別々で活動されているんですね。

恋文さん
そうですね。同じテーブルにいても、あの人はAのコミュニティ、この人はBのコミュニティといったように、普段は別々のことをやってるんですが、闘会議という場では結託して一緒にやっているという感じですね。

──そういったカジノのコミュニティはたくさんある?

恋文さん
たくさんとは言い難いんですけども、主要なのが5つぐらい存在しますね。いろんなリスナーやディーラーさんが分散して所属していると言う形になります。

──ニコ生上でのカジノの楽しみ方っていうのは、どういった感じになるのでしょうか

恋文さん
やる事はゲームとして変わらないんですけど、コメントでアクション、たとえばブラックジャックでのカードの要求を書いていただいて。ディーラーはそれを呼んで「ヒットですね」とかいいながら進めていく感じですね。ベットも「10」とかコメントで言っていただいたのをディーラーが拾ってゲームをしていくと言うのが、ニコ生でのカジノの楽しみ方ということになります。

──ディーラーの方々がすごく手さばきが良くて、お客さんを楽しませるようなトーク力も感じられました。そういったディーラーの専門学校等に通われている方がいたりするんですか?

恋文さん
通ってる方は一人もいませんね。アマチュアと言うよりは趣味です。趣味でカジノゲームを撒いてる。アマチュアディーラーというのもおこがまいくらいで。あくまでお遊びと言う感じです。おままごとしているのと同じ感覚だと思っていただければ。

──本格的な機材を使われてますが、それらも私物なんでしょうか?

恋文さん
はい。ルーレットについては、あれを自分で購入した猛者がいるんで、その猛者が今日関西から車に積んで運んできて、この場に設営しています。にわかには信じがたい話なんですけど。

──お幾らぐらいするものなんでしょう……?

恋文さん
中古で8万円くらいですね。新品で買おうとすると60万くらいはするものになります。やっぱり良いものを求めるとお金のかかる趣味なので。トランプもあそこで使っているのは200円とか300円とかなんですけど、ちょっといいものなると52枚で1500円とかになっちゃう。しかも消耗品なので適度に交換しますから。趣味の範囲としては比較的かからない方だとは思うんですけど、突き詰めるとかなりかかってしまいますね。

──皆さんはどういう興味からディーラーを始めようと思ったんですか?

恋文さん
まずニコ生カジノがいろんなイベントで露出しているので、それで興味を持ってお客さんとして遊び始めるんですね。その中で興味を持ったごく一部の人間が機材を集めてコミュニティに所属して配信を始める、というのが一般的なディーラーの始まり方です。

──コミュニティに所属して始めるんですね。

恋文さん
まれに個人としてめる方もいます。ただ基本的に、既存のコミュニティに所属した方が人も多いですし、ノウハウもあるのでその選択の方がやはり多いですね。

─本場のカジノが好きで参加された方もいるんでしょうか。

恋文さん
むしろ本場の方を経験された方にとっては、ニコ生カジノはちょっと物足りないみたいな感じはあります。本場はお金かけますからね。今回闘会議では勲章みたいなリワードがありますけど、普段のニコ生では一円にもならない。結局は自己顕示欲というか、そういったものなんですよね。

──純粋にゲームとして楽しんでる方が、どんどん繋がっていってる感じですね。

恋文さん
まさにその通りですね。麻雀をノーレートとで楽しんでる方とか、それに近いものがあります。やっぱりカジノとかギャンブルっていうと薄暗いイメージになりがちなんです。宣伝してるみたいであれですけど、非常にクリーンな、淀みのない、ただただ純粋にゲームを遊ぶと言う関係性で、放送者とリスナーが一緒のコミュニティで遊んでるという構造になっております。

──ブースにはお客さんすごく並んでいましたが、普段からあれほど盛況なんでしょうか?

恋文さん
過去2回、闘会議で開催されていて、2015 年2016年の両方とも出展しています。その度に数が足りないと言われて増設してるんですけど、やはり追いつかないと言うのは現状ですね。第一回は1テーブルしかなかったんですけど、2回目で2倍になって、今回さらに2倍になりました。

当日は常に3列体勢。プレイするには十数分ほど待たなければならない状況だった

──ここ最近は「カジノ法案」が話題に上っていますが、意識されることはありますか?

恋文さん
僕らがやっているのはあくまでも「お遊び」なので、無関係というスタンスで通すということを事前に話をしておりまして、「カジノ法案」が通りそうだ、だから出展しようではないですね。まあ惰性で出してる感じです。惰性と言っては参加者に失礼ですけど。毎回丸投げ広場の担当者の方にお声がけいただいてまして、今年も出ないですかっていうお話をいただいたので、またメンバーを集めて、テーブルを集めて、ルーレットを集めて、今回の開催につながったと言う感じですね。これにそういったお金を絡む事はしないですして、させたくないです。

──カジノ法案が通ったとしても、将来的にプロのディーラーになられる方もいない?

恋文さん
否定はできないですけど、現時点で専門学校に通ってる方はいらっしゃいませんし、都内の賭けないアミユーズメントカジノに所属している人もほとんどいません。これも仕事にしようと考えている人は場分現状ほとんどいないと思います。

──皆さん練習はご自宅でされたりとかされてるんですか?

恋文さん
さすがにシャッフルであるとか最低限の練習はしてもらうんですけど、何も賭けてないので、やっぱりリスナーもフレンドリーな感じです。新人が帰ってきたから一緒にやろうねみたいな優しい環境なので、その中で徐々にスキルアップしていく感じですね。なので新人さんよりも、プレイヤーの方がよくわかってるって事は多々あります。リスナーの方に教えてもらいながら成長していく。

──皆さん話術が丁寧で面白いのにも驚きました。

恋文さん
これももちろんなんですが、練習とかしてるわけではなくて、各人思ったことを言ってる感じです。今日は10人ちょうどいるんですけど、まさに十人十色って言う感じで各人各色があるんですけど、やっぱりニコ生の環境を通じてやっているので、コメントのレスポンスがどうしても必要になる訳じゃないですか。「ゲーム始まりました。じゃあどうぞ」って始めて、そしてだんまりみたいな感じだと、ゲームが成立しない。その環境の中で培ったものが、今日みたいなリアルなイベントにも生きたりはしています。

──皆さんある種プロ意識的な感覚は持ってらっしゃるように思えました。

恋文さん
持ってる人思います、ただ持っていない人もいますね。あくまで趣味でプレイヤーとの雑談を楽しんでいこう方もいますし、ゲームをがっちりとやるタイプでゲームの事以外は話さないよっていう人もいます。ただ今回はそういったディーラーも場を盛り上げるために全力で取り組んでますね。

――恋文さん自身はどんなきっかけでニコ生カジノに入っていったんですか?

恋文さん
ニコ生カジノは、生放送を暇なときに見て偶然知りました。一般タグで面白い放送を探していたら、たまたまカジノをやっていたので、試しにその時にプレイヤーとして参加したら凄く面白いなと思って、プレイヤーとして2年くらいやってました。そしてある時に、別のディーラーさんからディーラーをやらないと声をかけられまして。僕の場合、声をかけられたときにそのディーラーさんから色々なものを貰っちゃったんで、やらざるを得ない状態なっちゃったんですね。チップとトランプとトランプ引っ張ってくるカードシュータとか、細かいものとか色々といただいてしまって、これでやらないっていうのはないという状態まで外堀を埋められてしまった。でも結果的に非常に楽しませてもらってるので、良かったなと思ってます。

──ゲームとしてのカジノの面白さや楽しさを教えていただけますか。

恋文さん
「見えない」って事は楽しいです。わかってることをわかってるようにやっても、結果は見えてるじゃないですか。ゲームって2種類あると僕は考えていて、先が見えないから面白いものと、先が見えてるから面白いものがある。たとえば将棋とか囲碁とかは先が見えてる、あるいは先を読む面白さがある。逆にそうじゃないゲーム、サイコロ使うゲームとかすごろくとかがそれにあたるんですけど、確かに確率は存在してるんですけどその通りに進むとは限らないゲーム、そういったものは思うように進まないからこそ勝ったときの喜びが大きい。負け続けてても、その後大きく勝てば嬉しいっていう感覚はあります。最後まで負け続ければやっぱり悔しい。僕はニコ生カジノとか、カジノゲームのおかげで、メンタル的に成長した分が結構あります。やっぱり運なのでなので、もちろん多少ここで退くべきとか退かないべきとか、テクニック的な部分はあるんですけど、最終的には運なんです。勝っても負けても結局運で片付けられるんで、たとえばFPSみたいに技術とか知識が物をいうゲームとは違って、実力がなくてもちゃんと楽しい。そして上級者になっても、見えないものは依然見えない。次のカードは何かなどが見えるわけではないので、いつまでたっても新鮮さが失われないというのが、カジノゲームの魅力だと思います。

そういう発想って、コンピューターゲームにあまりないですよね。格ゲーとか音ゲーとか、いろんなゲームが存在しますけど、全然違うものなんだなと認識してます。ゲームとしてはくくりとして一緒になりますけど、楽しみ方はまったく逆です。

──ビデオゲームと同じ「ゲーム」なんだけど、楽しさを感じるベクトルが逆と。

恋文さん
たとえばプレイヤーの方でも、ポイント増やすことを目的にされる方、ゲームで勝つことにこだわる方や、とにかく目立つプレイをされるのを好む方など、さまざまなタイプがいらっしゃいます。ブラックジャックって、22以上の数字になったら終わりなんですけど、20から引きにいく。で、エースを引いて、お見事ってなるのを楽しまれる。

──賭けてないからこそ、プレイを純粋に楽しめる訳ですね。ところでビデオゲームはおやりになりますか。

恋文さん
けっこうやりますね。ベクトルが違う、面白さの質が違うのであれば両方とも楽しめますから。自分は『スプラトゥーン』や音ゲーですね。ダンスゲームとかSteamで買ったゲームとか、『ウォッチドックス』とかやってます。あまり運がかかわらないゲームで、らしくないと言われてしまえばそれまでなんですけど、そういったゲームも楽しませてもらってます。サイコロ振って1が出ないと快感じゃないとかいうことではないので、分け隔てなくいろんなゲームを楽しんでます。

──興味を持った方、あるいは持たれている方に対して、最後にメッセージなどががあればお願いします。

恋文さん
あんまり気負わなくて結構なので、結局はニコ生であることと雑談も含めた放送であることを念頭に考えてくれればと思います。そこら辺の子供たちに混ざる気分で、「俺も入れてくれよ」みたいな感じで気軽に遊んでくれもらえれば、それが一番良いと思います。あとゲームに負けても熱くならないことが大事ですね。深く考えなのが一番だと思います。

――ありがとうございました。

 

LOJ~Last of joker~」  オーナー:岱燕(たいえん)さん サブマネージャー:魂魄AIR(こんぱくえあ)さん

──お2人はコミュニティを作られたとのことですが、どういったきっかけだったんでしょうか?

魂魄AIRさん
僕らのコミュニティは比較的ニコ生でも新しく生まれたコミュニティで、最初は思いつきでやりたいねって話から始まった感じです。僕が「Argine」さん(恋文さん所属団体)の放送をみてる時に、個人コミュニティでカジノ放送やっていたのが岱燕さん。

岱燕さん
もともとは冗談で始めたんですけど、話してるうちにヒートアップしちゃって。組む感じになったんですね。

──もともとニコ生カジノを知ったきっかけは?

岱燕さん
僕は恋文さんの放送でカジノの楽しさを知ってやってました。ディーラー側をやる機会ってなかなかないんですけど、やってみたら自分がいないとゲームが回らないっていう状況と、その場を楽しくするのもつまらなくするのも自分次第っていう部分が楽しなと思いました。

魂魄AIRさん
私がカジノ自体を知ったのも、偶然なんですけどたまたまやっぱり恋文さんの放送見てで、やってみたら面白いじゃないかと。

──最初はやはりプレイヤーから始める。

魂魄AIRさん
そうですね。自分はプレイヤーとしてカジノをやってるうちに、テキサスホールデム(※)ってルールが好きなんだけど生放送でそれをやる方法がないとなって、どうやったらそれが可能かの方法を考案してる内に実際やってみたい思いが出てきて、それで始めた感じです。

※テキサスホールデム
通常日本でのポーカーゲームは5枚の手札が全て見えない状態で行うドローポーカーが主流であるが、テキサスホールデムは手札として2枚、場に参加者共通で使える5枚が用意されており、その組み合わせで役を作るルールである。使用できる組み合わせの予想が立てやすい分、ドローポーカーより高度な心理戦が要求される。世界でもっともポピュラーなルールであり、IOC国際オリンピック協会から認可された頭脳ゲーム(マインドゲーム)でもある。

──新しいルールを考案されたりもするんですか?

魂魄AIRさん
我々だと「カリビアン7カードスタッドポーカー」とか、恋文さんの所なら「アンノウンブラックジャック」とかがオリジナルですね。

岱燕さん
本当に色々なルールがあって、本場では楽しめないニコ生ならではのルールも楽しめます。もちろん、本場でやっているルールも楽しめますね。

魂魄AIRさん
本質的なことを言っちゃうと、本物のカジノは当然「控除率」があって、基本増えないっていうのが前提の仕組みなっている訳じゃないですか。コミュニティによっては、増えるんですがゆっくりのペースという所もあれば、うちは楽しんでなんぼっていうこともあるんで、たまにすごい爆発したりするよう計算してますね。

──ルールを作る時はプレイヤーへのリターンなどをある程度計算されているんですね。

魂魄AIRさん
ある程度想定はしますけど、きちんペイ計算はしてません。してるところもありますけどね、このゲームのペイが105パーセントくらいならいいかとか。ただうちはペイをそこまで考えてません。大体こんな感じかなってやってみると、すごいペイアウト率になったりとか、逆に渋すぎるとか。

岱燕さん
そこは純粋にコミュニティの指針次第だったりするので、ある程度本格的な、本場のカジノに近い倍率になってる所もあるんですが、うちはもう遊びなので。

──ギャンブルという要素がないからこその独自の発展を遂げている感じがしますね。

岱燕さん
コミュニティの指針やオーナーによって方針が違うところもありますけどね。

──ディーラーの楽しみはどこにあるでしょうか?

岱燕さん
一番面白いのは、自分の態度次第で盛り上げることができる。本場のカジノであれば黙々とやり続ける。でも僕らは遊びなんで楽しく趣味ですから。

魂魄AIRさん
我々はマシンガントークで、場合によっては客を煽るとかしますね。ニコ生とかで見知った顔の場合は、名前をわざと呼ばずにスルーしたりもします。ヒットの配当をすべきところをしないとか、そういうイタズラをしますね。初めての人とかは結構びっくりしますけど、慣れてくるとそういうことをする。

──ちなみにニコ生でディーラーを今やられる方って、全部で何人ぐらいいらっしゃるんですか?

魂魄AIRさん
20人とか、個人含めても30は行かないですね。

──ディーラーって大変そうでが、なかなか多いですね。

岱燕さん
大変そうだと思うじゃないですか、実はそんなことなくて、1週間とか2週間とか撒いてれば大体できるよなるんですよ。もともとプレイヤーから入る人がほとんどなので、ルールを知ってますから、後は進行の仕方とカードの配り方とか数え方がわかってるれば何とかなっちゃう。

魂魄AIRさん
ぶっちゃけプレイヤー有利の体をとればなんとかなる。そういうところはありますよね。博打ではないから、いかに面白さを伝えるか、楽しんでいただけるかというのを念頭を置いた上で、我々も楽しめればなお良しと言うところでやってます。

──最後に、読者の方々にメッセージをお願いします。

岱燕さん
ルールによってゲーム性が全然違うので、操作できる部分もあれば、完全に運みたいなところもあります。そういった違いも楽しんでほしいですね。あとはニコ生に特化した部分であれば、ディーラーとのコミニュケーションなどを楽しんで、共通の趣味として広がっていけばいいなと思っています。

魂魄AIRさん
コミュニティで一緒に楽しくやれればなというのもありますし、勝負ことが好きってのもあります。やっぱりニコ生は練習の場でもありコミニュケーションの場でもある。ゲームよってまちまちなところもありますが、本質的には勝った喜びだとか増える喜びもありますけど、それ以外にもこのディーラーさんだったら楽しいし、この人だったら一緒にやってもいい、放送見ててもいいなとか、そういうのもあると思いますね。本当は1ゲームの時間はもっと長いんで、やっぱりトークで退屈させると「ながら」ゲームなっちゃうので、できるだけ退屈させない。楽しく放送を見る時点で楽しい。ゲームしても楽しい。コミュニケーションも取れて、一石が何鳥にもなるようにできるだけ仕掛けを巡らせてやる。そういういろんなものも楽しさが重なっていくみたいな所は、ニコ生カジノコミュニティでなければ発生しえないものだとは思います

──ありがとうございました。

[取材・編集・撮影 Shuji Ishimoto]

[取材・執筆 Nobuhiko Nakanishi]

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