ジャンル初心者も思わずのめり込む『Planet Coaster』を紹介。次世代の遊園地経営シミュレーションがここに

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Frontier Developmentsは11月18日に遊園地経営シミュレーションゲーム『Planet Coaster』をSteamにてリリースした。価格は5280円。遊園地経営シミュといえばかつて海外で人気を博した『RollerCoaster Tycoon』(以下、RCT)シリーズが存在するが、『Planet Coaster』はそのシリーズ作品を手がけてきたスタッフたちが開発する最新作だ。発売前から評判の高いタイトルであり、今回はプレイした上でどのような点で優れているかをお伝えしたい。

 

入りやすく、遊びやすく

『Planet Coaster』は、シナリオ形式で進めていく「キャリアモード」と、自由に遊園地を作っていく「サンドボックスモード」のふたつに大きく分かれている。キャリアモードはチュートリアルのようなものだと考えてもらっていいだろう。シナリオを選んでゲームを開始し、画面左上に表示される「Objective」の条件を達成していくのが目標となる。

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目標はイージー・ミディアム・ハードに分かれており、ブロンズの目標は「来場者500人を目指せ」「乗り物を1台建てろ」といった簡単に達成できるものだ。ミディアムやハードは「来場者700人を目指せ」などイージーの上位にあたる目標が設定されており、段階的に遊園地を大きくしてクリアを目指すことになる。キャリアモードでは目標達成に必要ない要素は厳しくロックされており、キャリアモードを進めていくうちにさまざまなものが解放されていく。こうした手法は多くのシミュレーションゲームに採用されているが、序盤に高い自由度と情報量に圧倒されてしまうプレイヤーにとっては入っていきやすいデザインだろう。

また『Planet Coaster』ではユーザーインターフェースも親切だ。かつて『RCT』シリーズの過去作品のユーザーインターフェースはすべてアイコンで表示され、アイコンが何を意味しているかを把握するまでは一見してなんなのかがわからず、初心者だとひとつの建物を立てるのにも時間がかかっていた。『Planet Coaster』はこうしたゴチャゴチャしたインターフェースをスッキリさせ、画面内のメニューは文字とアイコンを併用する形式を採用している。建築物を選択する際も長ったらしい英語で説明するのではなく、短文と建築物のサムネイルが表示されるシンプルなものでぱっと見て理解しやすい。ゲーム内の言語はすべて英語であるが、「Ride(乗り物)」「Queue(行列)」「Scenery(景色)」など基本的な単語を覚えればそれほど苦労することはないだろう。

上の画像は『RollerCoaster Tycoon 3』のもので、下の画像が『Planet Coaster』のもの。インターフェースがかなりスッキリしたのがわかる。
上の画像は『RollerCoaster Tycoon 3』のもので、下の画像が『Planet Coaster』のもの。インターフェースがかなりスッキリしたのがわかる。

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このように『Planet Coaster』は、シリーズ初心者や英語があまり読めないプレイヤーでも、ゲームの流れをある程度簡単に覚えられるような配慮がなされている。キャリアモードをこなしていけば、スムーズに遊び方が理解できるはずだ。

 

コース設計もシンプルに、マネジメントは奥深く

遊園地経営シミュの醍醐味でありながらも、やや難易度が高いのがジェットコースターのコース設計だ。『Planect Coaster』ではこれがより直感的におこなえる。『RCT』シリーズではレールをひとつずつ配置しつなげていくのが基本だったが、本作では複数のレールがひとかたまりになった「パーツ」のようなプリセットがあり、設計に時間がかかりがちなループやひねりをスムーズに組み込むことができる。また作成途中のレールを無理やり完成させるおなじみの「オートコンプリート」機能も搭載されており、コースの作成がぐっと楽になった。ただ、上りレールでの加速といったスピードの調整などは基本的にマニュアルでやる必要があり、こういった細かい部分のカスタマイズはプレイヤー自身がおこなわなければいけないので注意が必要だ。作成したジェットコースターは「白熱度」「怖さ」「吐き気」などで評価される。刺激と安全性を両立したバランスのいいコースを設計してほしい。

プリセットを使えば、短時間でデタラメなコースを作り出すこともできる
プリセットを使えば、短時間でデタラメなコースを作り出すこともできる

良き管理者はデザインだけでなくマネジメントも得意でなければならない。プレイヤーはジェットコースターをどれほどのインターバルで発車させるか、搭乗料金は何ドルにするかなどを設定することが可能。こうした調整はアトラクション設置時にはデフォルトのものが設定されているので、細かい設定が面倒臭いと思うプレイヤーは、トラブルが生まれるまで触らないのもひとつの手段だ。序盤は来場者からアトラクションを待つ人たちの行列が長いと苦言を呈されることが多い。行列用の通路を長く設定したり、行列中に来場者が退屈しないように通路の脇にたくさんの植物を配置したりするなど、さまざまな工夫が求められる。

『Planet Coaster』は遊びやすい作品であるものの、マネジメントの難易度はややシビアだ。特に来場者を増やすことには苦労するだろう。来場者の不満などは細かくリサーチできるが、たいていの原因は複合的なものであり、そこが本作の難易度的な難しさであり奥深さでもある。アトラクションの搭乗料金を下げるよりも、近くにトイレを設置することで人気が出るといったパターンも多く、試行錯誤を繰り返すことになる。ただし建築物やオブジェクトの設置に関しては、壊す際には75%の建設費が返ってくる懐に優しい設定となっており、建てたり壊したりといった試みが気軽に楽しめるのは嬉しい。

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さて今回は遊びやすさを中心に『Planet Coaster』を紹介してきたが、ここに書いたことは同作の魅力のほんの一部でしかない。『RolletCoaster Tycoon 3』を正統に進化させながら新規ユーザーに遊びやすいように配慮されていて、目立った粗は見当たらない。強いて言うなら、本作はマウスだけでほぼすべての操作をおこなえるが、オブジェクトの回転や高さの変更を素早くする際にはキーボードのキーを複数入力する必要があり、こうした点は慣れが必要だろう。

要求スペックが高いことを懸念しているユーザーもいるかもしれないが、筆者のサブマシン(CPU: Intel i5 4440/GPU: NVIDIA GTX 660/RAM 8GB)では、グラフィック設定を低にすれば快適にプレイできる。大規模な遊園地になってくると動作が重くなることが予想されるが、キャリアモードを進める範囲では不自由なく、画質の劣化もそれほど感じず遊べるた。本作の購入を検討しているミドルスペックのユーザーは参考にしてほしい。

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