飛行機の墜落事故により極寒の地アラスカに取り残された8人の生存者が、雪原からの脱出を図る『The Wild Eight』。2月9日にSteamでの早期アクセス販売が開始されたシングルプレイおよび最大8人によるマルチプレイ対応のサバイバルゲームである。資源採集あり、狩猟あり、クラフト要素ありのサバイバルゲームは数多くあるが、その中でも本作は、食料の希少性と死亡ペナルティの絶妙なバランスによりプレイヤーの緊張感を維持する過酷な生存劇に仕上がっている。

 

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8人の生存者とサバイバルの基本

まずプレイヤーは8人の生存者から操作キャラクターを選択する。初心者向けのウィリアムは通常より防寒・防御力が高い。ゲームの仕組みを理解するまでは、とりあえず彼を選択しておけば間違いない。他のキャラクターは資源採集・狩猟・クラフトのいずれかに特化したボーナスを有している。一人ですべてをこなすシングルプレイ時には、頭脳派のチャンを選ぶのも悪くない。彼を選択すると、各種スキルの習得コストが低減するボーナスを得られるからだ。

操作キャラクターを選択すると、墜落した航空機「IRISフライト816」近辺で目覚める。あたり一帯はローポリゴンで描かれた白銀の世界であり、悲しげなピアノの旋律に包み込まれている。目が覚めたら、ひとまず近辺に転がっている缶詰を忘れずに拾っておこう。次に航空機内から燃え上がる炎で暖を取りつつ、チュートリアルの指示に従ってサバイバルのイロハを学ぶ。サバイバルゲームではお馴染み、木や岩をパンチして資源を採集するところからサバイバル生活は始まる。

まず犠牲になるのは己の拳だ

木材と鉱石を集めたら、キャンプファイア・シェルター・作業場を作ろう。キャンプファイアは暖を取ったり野生動物の生肉(ときには人肉)・キノコの調理に使う。シェルター内ではスキルツリーを伸ばすほか、休息を取ることで吹雪や夜の寒さから身を守れる。作業場では採集ツール、武器、衣類などをクラフトできる。シェルターと作業場はそれぞれ1人1つまでしか建てられないが、解体して持ち運ぶことが可能だ。長距離間を移動する際は置き忘れに注意したい。

急な吹雪から身を守るためにも、シェルターは常に持ち歩きたいところ

チュートリアルを終えると早速メインクエストが開始される。無線塔や軍事シェルターを巡っていくうちに、あたり一帯が封鎖されている理由、そして脱出経路が明らかになっていくわけだが、クエストエリアには強力な敵がたむろしている。まずはサバイバルのルーティーンを覚えること、そして戦闘の準備を整えることが先決だ。

プレイヤーが管理するステータスは「体力」「空腹度」「体温」の3つ。「のどの渇き」はないが、代わりに「空腹度」「体温」メーターの減少スピードがめっぽう速い。「空腹度」「体温」メーターがゼロになると「瀕死」状態となり、「体力」が急激に下がっていく。「体力」は人間や動物から攻撃を受けることでも減っていき、ゼロになると死亡する。「空腹度」と「体温」をこまめに管理しながら、クエストを進める準備を整えることが本作の基本的な流れとなる。

 

最初の関門:狩猟

「空腹度」を満たすといっても、氷点下の世界だけあって手に入る食料は限られている。ゲーム開始時には非常食のエネルギーバー1本と航空機に詰められていた缶詰2・3個しかない。地道にキノコやベリーを採集してみても、飢えは一時的にしか凌げず、いずれは野生動物を狩る必要に迫られる。苦労して得た肉のアイテム説明文は生存者の喜びに満ちており、やはり極限状態に置かれた人間にとって「肉をむさぼり食いたい」という欲求に勝るものはないようだ。

どういうわけか、調理された人肉はひどく食欲をそそる

ただし狩猟はゲーム序盤でつまずくポイントでもある。オオカミやイノシシはあまりにも凶暴で、ウサギやシカはあまりにも逃げ足が速すぎる。そう感じることだろう。一見すると最初に狙うべき獲物は小動物のウサギであるように思える。だがウサギが罠に引っかかるのを待つだけでは、一匹捕まえる前に餓死してしまう可能性がある。悠長に待っている余裕はないのだ。

もっとも確実かつ簡単に仕留められるのはシカである。道具は棒と石があれば十分。シカの背後から近寄れば警戒されない。攻撃すると逃げていくが、すぐには追わず一呼吸置こう。一定の距離があくと立ち止まるので、また背後から忍び寄り一撃を入れる。この繰り返しでシカ肉にありつける。2月12日のアップデートにより「体力が25%以下になった動物は移動速度が30%ダウン」するようになったため、狩りが楽になった。さらに手っ取り早く仕留めたければ、石を投げつけよう。石にはスタン効果があり、一方的に殴りつけることが可能だ。

注意したいのは、シカが逃げた先にオオカミが潜んでいるケースである。オオカミに対しては石と棒によるヒット&アウェイ戦法が有効であるが、オオカミは体力が多く、相応の武器がなければ長期戦となる。また回復アイテムがないうちは、攻撃を受けて出血状態になると生存確率が大きく下がる。くわえてマルチプレイ時にはフレンドリーファイアにも気をつけよう。オオカミに石を投げるつもりが仲間にあたってしまい、スタン状態となった仲間がオオカミの餌食になるという悲惨な結果だけは免れたい。

オオカミと戦う準備ができていなければ、キャンプファイアに逃げ込もう。オオカミは火を怖がるため退散していく。とはいえ襲われている最中にキャンプ地を作る余裕はなく、また襲われるたびに遠地の拠点まで戻っていては、一向に行動範囲を広げられない。キャンプファイアの設置数に制限はないため、未開の地に足を踏み入れる際は、用事がなくともこまめにキャンプ地をつくっておこう。すると、いつ野生動物に襲われても追い払えるようになる。シカの狩り方とオオカミの追い払い方。この2つさえ覚えれば、大自然の半分を制したも同然だ。

神経質なほどこまめにキャンプ地を設ける。なおマップはゲーム開始時に自動生成されるが、クエストポイントはある程度固定されている

 

継続こそ力なり

こうして採集・狩猟・探索を繰り返していくうちに、スキルポイントが貯まっていく。スキルツリーは狩猟、移動、攻撃、防御、採集の5カテゴリーに分かれており、新しいスキルを覚えれば、それだけ生活が楽になる。たとえば狩猟スキルを覚えていくと、野生動物が肉だけでなく骨・皮革・腱・脂肪をドロップするようになり、クラフトの幅が広がる。採集スキルはインベントリースロット数や、1回あたりの資源獲得量を増やす。

より高度なスキルを習得するには、資源を消費してシェルター自体をアップグレードする必要がある。同じく作業場もアップグレードすることで、クラフトのレシピが増えていく。回復薬を調合できるレベル2までには、できるだけ早い段階でアップグレードしておきたい。レベル2以降もアップグレードを続けると、防寒具のラインナップが充実し、また石オノや石ツルハシしか使えなかった序盤と異なり、動物の骨を使って強化された採集ツール、さらには弓矢、鉄の剣、鉄のメイスといった強力な武器までクラフトできるようになる。高ランクのアイテムをクラフトするには、野生動物の死骸から材料を集めることになり、やはり狩猟こそがサバイバルの要なのだと思い知らされる。大自然の掟は、やるかやられるかなのだ。

防御スキルの経験値は、敵の攻撃を受けることで蓄積される。痛みを伴わずしては学べないのだ

サバイバル生活に慣れてくると、食料やクラフト材料が溢れてくる。そんなときは保管箱(宝箱)をクラフトして余分なアイテムを収納しておこう。マルチプレイであれば、他のプレイヤーとアイテムを共有できる。なおシカやウサギは人間の気配がするエリアからは徐々に離れていく。資源・食料を備蓄し、拠点を固定することにこだわっていると、いずれは食料が枯渇してしまう。ある程度は拠点を移しながら生活するノマドスタイルが好ましい。

力と道具を蓄え、危険地帯に出向く準備が整ったらクエストを進めていこう。メインだけでなくサイドクエストをこなすことでも貴重なアイテムを入手できる。野球バット・マチェーテといった強力な武器のほか、スナックやピーナツバターといった糖分にもありつける。ただし自然の奥地へと進むにつれてオオカミの群れや白クマ、あるいはそれ以上の脅威がプレイヤーを待ち受けるようになる。サバイバル生活に慣れたからといって、決して気を抜いてはならないのだ。

クエストにはちょっとした謎解き要素も

操作キャラクターが死亡した場合、持ち物と「人肉」がその場にドロップされる。リスポーン地点はゲーム開始時と同じく墜落機の横。初期装備品はやはり非常食のエネルギーバー1本のみ。死亡ペナルティとしてスキルツリーとシェルター・作業場のアップグレードは初期化されるが、設置済みのキャンプファイアと保管箱はそのまま残る。また一度取得したクエストアイテムもキープできる。この性質を活かし、ゲームに慣れないうちは生死を繰り返して人肉とエネルギーバーをスタックしていくという手もある。

人肉作戦を実践中のプレイヤー。エネルギーバーの数から、40回ほど生死をさまよっているようだ

 

良質な極寒地サバイバル

資源採集・狩猟・クラフト。これらをベースとしたサバイバルゲームは数多とあるが、「サバイバル」そのものを楽しめるかどうかは、ゲームのバランス調整によるところが大きい。リソースが希少すぎてはストレスがかかるし、有り余るほどあっても緊張感がなくなる。死亡ペナルティも、プレイヤーに再挑戦する気を失わせてしまっては、長いスパンで遊ばれる作品にはなれない。かといって「何度死んでも大丈夫」と思わせてしまうと、やはり緊張感がなくなる。本作においてはリソースの希少性と死亡ペナルティという2点において絶妙なバランスを維持しており、極寒の地でその日1日を生き延びる喜びを味わせてくれる。

「協力」を前提としたマルチプレイモードを構築する上でも、資源の限られた不毛の地という設定が活きている。複雑なクラフト・建築要素による拠点発展と勢力争いではなく、あくまで「生き残る」という目的一本に集中させてくれるからだ。あまりにリソースが乏しければ「人肉欲しさに仲間を殺める」という殺伐としたPvPに傾倒していったかもしれないが、狩猟を覚えることで何とか飢えは凌げ、かつ仲間と敵対関係になるリスクと労力が報われるほどのアイテムは少ないため、最大8人の「協力」プレイという設定が成立している。仲間が死亡した際に「食料(人肉)ゲットだラッキー」と狂喜するのは最初だけだろう。

シングルプレイとマルチプレイの両立という意味では、シングルプレイ時にはオオカミの鳴き声と急襲に怯える孤独なサバイバルを味わえ、マルチプレイ時には仲間と連携して強大な野生動物を仕留めるというCo-opならではの良さが出ている。マルチプレイで上手く協力し合えば採集・狩猟が楽になるが、それだけ資源・食料が枯渇するのも早い。徐々に危険な地域へと移動を迫られる点は良い塩梅にできている。

仲間との大移動

たしかに本作は、狩猟のテクニックとオオカミの追い払い方を学ぶまでの間トライアル&エラーが続く。この時点で挫折する方もいるだろう。だが急な学習カーブを抜けた先には、過酷かつ良質なサバイバル生活が待っている。早期アクセス段階ではあるが、サバイバルの肝となるバランス調整はしっかりと押さえている。『The Wild Eight』は正式リリースを待たずして、既にサバイバルゲームとして高水準に仕上がっているのだ。

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