PlayStation@HomeからSteamで世界へ 『Gocco of War』国内ゲーム開発オーツーの”挑戦”

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大阪に拠点を構える株式会社オーツーは、現在3Dアクションシューターゲーム『Gocco of War』を開発中だ。本作は2014年12月にSteam Greenlightへ登録され、今年1月にもSteamでの配信が決定したタイトルである。同社のゲームブランド「peakvox」の最新作として、2015年夏にリリースを予定している。

プレイヤー同士で交流できるロビーがあり、 ここから様々な"ごっこ遊び"のクエストへと向かう。
プレイヤー同士で交流できるロビーがあり、ここから様々な”ごっこ遊び”のクエストへと向かう。

公式サイトにて「三人称視点のコミカル・アクション・シューティングゲーム」と紹介されている通り、『Gocco of War』は日本式のキュートなビジュアルが特徴の作品だ。

2115年の日本関西地区、大気汚染により外で遊べなくなった子供たちのために設立された、”ごっこ遊び”施設「ゴッコ・スタジオ・ジャパン」がゲームの舞台となる。プレイヤーたちは、この施設で遊ぶ子供の1人となり、様々なコスチュームを着て、フレンドとともにクエストをクリアしてゆく。複数のプレイヤーたちが交流できるロビー施設も用意される。

可愛い見た目に反して、本格的なオンラインマルチプレイヤー要素を備えた作品であり、そういったタイトルが国内から登場することは非常に興味深い。

またpeakvoxは、PlayStation@HomeやWii ウェア、およびニンテンドーDSやニンテンドー3DSなどで作品が展開されてきたブランドだ。今回なぜSteamを選んだのか、また『Gocco of War』の魅力について、オーツーの執行役員である越田 健一氏と、開発1部の次長である清水 聖之助氏にお話をうかがった。

なおすでにSteam Greenlightを通過している『Gocco of War』だが、今回のインタビューはGreenlightを通過する直前に行ったものとなっており、その点を留意していただきたい。

 

 


“自由なゲームの提案”から始まる「peakvox」作品

 

越田 健一氏
越田 健一氏

――まず株式会社オーツーの成り立ちについて教えてください。

越田 健一氏:
オーツーは元々はデザイン業務が主軸の会社でして、9年くらい前にプランナーや、プログラマーが入ってきて、ゲームを丸々作れる環境が徐々に整いました。基本的に受託専門でやってきたんですが、スタッフの実力も付いてきて、オリジナルにチャレンジ出来る様な土台が出来たかな?と感じ始めていたので、そのタイミングで、「peakvox (ピークボックス)」 を立ち上げました。2009年3月に立ち上げたので、足掛けもう6年にもなりますね。

まずはブランド名から考えて行こうという事になり、全社員投票の末、「peakvox」に決まりました。やはり無名のブランド名なので、ゲームの頭には peakvox を付けたタイトルにして、少しでも認知度をあげるようにしています。

――このpeakvoxブランド立ち上げ時には、どのような理念を掲げられたんでしょうか。

越田氏:
結構、勢いですね(笑)

――勢いですか(笑)公式サイトを見ると、「自分たちが作りたいゲームを作る」、というのが根底にあるように見受けられました。

越田氏:
会社の中で何かを始めるのって、基本的に勢いとタイミングだと思います。開発力の土台が整ったタイミングで、勢いでオリジナルやろうぜ!ってノリで。やっぱりみんな、趣味嗜好がそれぞれあって、色んな思いでゲーム業界に入ってきた。その中で夢を叶える、では無いですが、まずは自分の思っている面白いゲームをじっくり考え、自分たちが欲しいと思えるゲームを作れるようにしていこうと。開発者が愛してないと、商品として世に出せないと思っています。

――peakvoxのタイトルはとても多彩ですよね。モンスター育成ゲームやレースゲーム、横スクロールアクション、あるいは回文のゲームもあったり。ゲームを開発する上では、どのような指標を持っているのでしょうか。

越田氏:
まずゲームが生まれる時は、peakvox会議をするんですよ。それは社員なら誰でもいいんですけど、興味がある人が集まる。新人でもいいしベテランでもいいし、面白い案がある人はその場で発表する。そこで社内投票しまして、可能性があるならいっちょ作ってみようとなる。プレイしてみて面白そうなら本製作という流れを踏んでいます。そういう、社員なら誰でもいいから案を出せる、提案できる場を設けてますので、出ていくゲームというのも案次第になり、バラバラになります。

――では本当にゲーム開発については、毎回自由に発想されているんですね。

越田氏:
弊社のカラーが無いというのは弱点でもあるかもしれないんですけども、そこは絞らずに。自由なゲームの提案ができる場所を、常に会社としては維持しておきたいという思いがありまして。

――自由なゲームを作る、自分たちが作りたいゲームを作るという点は、昨今盛り上がりを見せているインディーゲームシーンと通ずる部分があると思います。

越田氏:
peakvoxを立ち上げた時は、やっとダウンロードゲームが出だしたかなというタイミングでした。Wii ウェアであったり、Xbox 360のLIVE アーケードであったりとか、もちろんSteamもそうなんですけど、広がりつつある状況で、自分たちも、それやったらできるんじゃないか、というのはありまして。いま結構インディーゲームが流行っている状況ですけど、それを6年前ぐらいにやりだそうとしてた、というところはありますね。

――昨今のインディーブームの先駆け的存在であった?

越田氏:
いや、そんなわけじゃない。そんなエラそうなものではないです(笑)流行に乗っかったぐらいの感じです。どうしてもパッケージゲームになると、流通や販売メディアのプレスの関係もあったりして、自分たちではなかなか出来ないんですけども。ダウンロードゲームでは、自分たちで比較的やりやすかった、というところですね。もちろん、自社でパブリッシングが出来る魅力が大きいですね。

 

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PlayStation@Homeから『Gocco of War』へ

 

清水 聖之助氏
清水 聖之助氏

――ではそのpeakvoxブランド最新作『Gocco of War』についてお聞かせ下さい。まず本作をあらためてご紹介して頂いてよろしいでしょうか。

清水 聖之助氏:
PlayStation@Homeでpeakvoxのコンテンツを作っていたんです。『peakvox Labs』と、さらにそのあと『peakvox Monster』というのが出ていて。PlayStation@Homeでやっていたのは3Dでのコンテンツ製作で、peakvoxとしては初めての試みだったんですね。その運営が3年ぐらい。今もやってますけど、3月ぐらいにPlayStation@Homeのサービス事態が終わっちゃうんですね(※注記)。ただその3年間で、結構peakvoxとしてラウンジを遊んでいただいて、だいぶpeakvoxの知名度が高くなって。ファンが付いてくれたのを実感できた期間だったんです。そこでやったノウハウみたいなものを、今度はPlayStation@Homeを離れてなにかできないかというところから、まず始まっていてですね。

本当にみんなでワイワイと話し合えるようなロビーと、さらにみんなで遊びに行けるクエストのようなゲーム広場を用意して、そこを行き来して遊べる形を1つ作りたいなって思ったのが、『Gocco of War』のベースの設計になっています。

※注記: サービスは2015年3月末に終了予定となっている

――『Gocco of War』のテーマである”ごっこ遊び”は非常にユニークだと思います。海外にもある文化だと思いますが、それをゲーム化してしまうのは日本人的というか、独自の発想だなと。

清水氏:
“ごっこ”というのがどこまで伝わるのかというのもあるんですけど。ただ”ごっこ”も、基本的にはコスチューム遊びをしたいな、というところから入ったりしているんです。自分のアバターを着せ替えて、それをゲームの中に持ち込んでいく。そういう形のゲームっていうのが、あまり無いというか、PlayStation@Homeではやっていたことなんですけど、PlayStation@Homeが無くなってしまうと、そういう遊びが無くなってしまう。そこを盛り上げたいなというのが、まず前提にあって。

そしてコスチュームというのは、自分の色々な”なりきり遊び”なので、であればその格好で遊びに行けるような場所、ゲームの場所を用意してやればいいなあと。それが勇者ごっこだったり、ヒーローごっこだったり、チャンバラごっこだったり。今の大人たちが昔遊んだ経験のあるような、そういった懐かしい思い。こういう格好をして、敵を倒しに行くんだみたいな、そういうバーチャルな世界観を上手く表現できると、僕らみたいな世代が昔を懐かしんで、ゲームを買って遊んでくれるんじゃないかな、というのがあります。

――遊び場がなくなった未来の子供たちが、施設でバーチャルな”ごっこ遊び”をする、という設定についてお聞かせください。社会問題の視点から切り込んだ大胆なテーマでもあったりするんでしょうか?

越田氏:
(笑)

清水氏:
そうですねえ(笑)やっぱり僕らの中では、ゲームというとファミコンだったり、かつて自分たちが夢中になったものを、今もまだ追い求めているような気がするんですね。その延長が形を変えて、今度は裏から提供する側でやっているところなので、そういう思いを、ゲームの設定に落とし込めないかなっていうのは一つあって。今の僕らの思っているような遊びを、100年後の子供たちが振り返って遊ぶっていうゲーム内の関係が、僕らが今やっているようなことと似ている気がしてですね。そういう思いをもとに世界構築ができると、開発する方も感情が乗るんじゃないかなという。だから作る側のモチベーションというか、そういう方を中心に展開していったゲームではありますね。

 

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――『Gocco of War』がリリースされた後には、『Gocco of War』を中心にさらなる”ごっこ遊び”を追加する考えはありますか。

清水氏:
そうですね。そう思っています。やっぱりこう、人が集まってコミュニケーションする場所の提供から、そこで仲良くなった人たちが色々なゲームに飛んでいけるような、中心の役割を果たせると、それこそがpeakvoxで7年間やってきて目指してきたものになるんじゃないかなと。1つのジャンルに特化しているのではなくて、どのジャンルの作品があってもいいじゃないかと。その第1弾として、『Gocco of War』を中心核に持って行きたいなと。

――『Gocco of War』はpeakvoxの集大成という気持ちがあるんでしょうか?

清水氏:
んー……まだまだその先は……まあそうですね。

――新しいPlayStation@Homeの場を作るというぐらいの気概がある?

清水氏:
極端に言うとそうなんですけど(笑)

越田氏:
極端ですけどね(笑)

清水氏:
Steamを選んだっていうのも、そういうところはあるんです。実験的なところも実はあったりする。本当はPS4で展開したいですよ。ただやっぱり、PCでまず開発するとなれば、自分らの思っていることを色々なレギュレーション無しにやっていけるので。それを許してくれるプラットフォームっていうのがSteamだったので、まずそこに載せようと。僕らの技術力も高めたいし、peakvoxの認知をSteamを通して世界の人にもっと感じて欲しいし、そういう土壌を作っていく。リビングで遊べるゲームに最終的には戻していきたいなと思っていますね。

――peakvoxは様々なプラットフォームでゲームを販売していますが、ほかにも『Gocco of War』をまずPCでやろうという背景はあったんでしょうか。

越田氏:
peakvoxの歴史でいうと、まずiOSをやって、そのあとDSに行ったんですよ。DS、3DSと配信しまして、そのあとPlayStation@Homeで3年ちょっとやって。で、PlayStation@Homeが終わるよということになって、次にどのプラットフォームでやるかと。次は今までリリースしたプラットフォームに戻ってもよかったんですけど、やっぱり我々は新しいことをやりたいな、という思いがあった。そうなると、世界中でPS4がかなり売れてきたという情報があるなかで、PS4が選択肢にありました。

テクニカルな事を申しますと、フルスクラッチで、オーツーのマルチプラットフォームライブラリを作っているんですけども、それを使っているので、どのプラットフォーム向けに開発したとしても、PCで動くようになるんですよ。最終的にはそのハード寄りの機能を実装していくんですけども、まずPCで動かす事が出来る。PCで動くゲームが出来るんなら、Steamで考えてみようかというところが走りですね。

あとはSteamユーザーが今凄いじゃないですか。日本はまだまだ厳しいかもしれませんけど、世界的には凄いアクティブユーザーがいるというとで。やっぱりpeakvoxとしては、色々な方々にプレイして頂けるかなというのがありまして。

 

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「もうずっと”挑戦”なんで」

 

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――現在『Gocco of War』はSteam Greenlightに登録されていますが、同サービスを利用する経緯はどのようなものだったのでしょうか?

越田氏:
peakvox(オーツー)としてパブリッシュする場合、自らができる方法がGreenlightしかなかったというところですね。

――国内だけでなく海外メディアにもプレスリリースを打ったり、Indie DB(インディーゲームの登録サイト)にも登録されたりと、かなり海外向けの展開を意識しているように見受けられます。

越田氏:
ありがとうございます。清水達が頑張っております(笑)

清水氏:
やっぱりまだpeakvoxの認知が全然低いので。PlayStation@Homeをやっている方は見たことがあるぐらいで、本来PCゲームをやっているようなコアなユーザーには全然響いてないところがある。まず名目としても、peakvoxの認知度を広げるというのが『Gocco of War』に課せられた試練でもあります。海外に対して、自分たちがこういうことをやってますという過程もどんどん公開していって、みんなに知ってもらって、認知を高めていきたなあ、という思いでやっているんです。

――実際にGreenlightに登録してユーザーからの反響は感じていますか?

清水氏:
んー……正直Steamって厳しいなと思ってますね。やはり日本のゲームを海外に受け入れてもらう形で持っていくので。日本っていうだけで、ある程度敬遠するユ―ザーが居ることに気づきました。それにSteamの中でもトレンドというのがあって、色んなゲームがGreenlightには乗っているんですけど、通りやすいゲームとそうでないゲームあったりする。まあそんな中でも、コメントを寄せてくれる人たちは好意的で、「日本の可愛いゲームには頑張って欲しい!」とか言ってくれてる人たちがいると、この路線で頑張っていかないと、という思いはありますね。

――では『Gocco of War』で特に海外向けにデザインを意識した部分はない?

清水氏:
ないですね。むしろ日本人が可愛いと思っているものを受け入れて欲しい。そういう思いでGreenlightに載せている感じですね。

――Greenlightのページを見ると、「Kawaii!」とコメントしているユーザーも見られます。

清水氏:
そうですね。ただ、日本人がSteamのGreenlightに行くっていう文化はなかなかなくて。根付いていないので。ファン育成ではないですけど、海外のゲームを見て、そういう選択肢があるんだよっていうのも気づいて欲しい。日本のゲームをベースに海外でアレンジされていたりするゲームが結構多いんですね。そういう意味では、日本のゲームってよく出来ているし、システム上よく考えられている。Steamは日本のゲームを誇ってもいいんだなあと感じる場所なので、そういうのをユーザーにも感じて欲しいなという気にはなりましたね。

 

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――特にPCゲームのシェアやゲームに求めるものなど、日本と海外のゲーム市場はかなり異なります。日本らしいゲームをPCで世界に向けてリリースするという目標は、市場の観点からするとかなり挑戦的であると思います。

清水氏:
もうずっと挑戦なんで。最初っからそうなんですけど。ただpeakvoxの形として、あまり安定を望んでいないというか。日本のゲームメーカーが市場を開拓しきったような場所に乗っかるよりは、これからもっと伸びていきそうな、もっと別の夢が隠れているという場所に行くほうが、面白いし、僕らの経験にもなるなと思っているので。PCゲームだからというわけではないんですけどね。面白い匂いがしたから、という感じですかね。

――peakvoxの軸はぶれていないが、今回たまたまPCやSteam向けになったという形なんですね。

清水氏:
そうですねえ。思いとしてはそうなります。そもそもハードにはこだわっていなくて、色んなユーザーに届けたいというところや、そこに将来ゲーム業界の可能性があったりするんじゃないかと期待を寄せるところもありますね。

――トレジャーの『斑鳩』など、すでにSteam Greenlightで成功しているタイトルはありますか、今後もっと日本のデベロッパーにこの流れをフォローして欲しいとは感じていますか?

清水氏:
そうですねえ。本当にそれはそう思います。Steamってユーザー数がすごくいて、そのなかで日本人ってのは本当に少ないんですよね。それって、とてももったいないことではないかと思っていて。すごいゲームの数があって、すごい選択肢の数があって。もっといいところを日本に取り込めるし、ユーザーも成長していける場所なので、そこに行かない手はないという。もちろん、それで僕らが成功すれば一番いいんですけど、そういう動きにほかのゲーム会社とかユーザーとかが賛同して挑んでくれると、すごくやってる甲斐があるなとは思いますね。

――もちろんまだ現在Steam Greenlightに参加中ではあるんですが、後発のデベロッパーにアドバイスできる経験などはあるでしょうか。

清水氏:
ある程度軌道に乗る道が見えてきたら、もっとフィードバックしていきたいなとは思っているんですね。Steamって本当にブラックボックスで、日本人にとって見えないものが多い。でもそこで遊んでいるユーザーさんたちはとても素直で。外人の人は自分の思ったことを素直に書いてくれる人が多かったりする。それによってこっちも改善点が見えてきたりする。今は明確なアドバイスができるステージにはいないんですけど、でもやりたいなと思ってますね。情報公開やオープンな開発をやっていきたいなと思っているので。

 


「突き進んで、行き止まりなら別の道を探す」

 

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――『Gocco of War』に話を戻します。ローンチ時に”ごっこ遊び”はいくつ実装される予定なんでしょうか。

清水氏:
ごっこ遊びは結構考えているんですけど、いくつかの段階に分けるかと思います。最初はいくつかだして、そのあとは追加で出してみたいな。そのなかで、こういう遊びがしたいとかいうユーザーの意見を聞いて取り込んでいきたいですね。

――現在まだ公表していないなかで、ごっこ遊びのアイディアなどはありますか。

清水氏:
みんなが共感できる遊びを入れたいと思っています。まず思いついたのは戦争ごっこだったんですね。自分がお山の大将になって、みんなで敵地に攻めこんでいく感覚とか。あとヒーローごっことかだと、自分が何レンジャーとかになって、悪の巣窟に向かうとか。あと勇者ごっこは、『ドラクエ』とかの世代なので、ああいう西洋のコスチュームを着て魔王を倒しにいくみたいな。悪と正義のわかりやすいテーマを、いま言ったような世界観で実現していくようなつもりでやっていってます。

――PlayStation@Homeの経験を活かして開発に取り組んでいるとのことですが、具体的に『Gocco of War』のどういった部分に活かしているんでしょうか。

清水氏:
たぶんアバター遊びを中心にした遊び方っていうのが、ほぼそうだと思っているんですよ。その中で『peakvox Labs』では、素材を集めてモンスターを育成したりとか、服や武器を作ったりだとか。それを自分にあてがったり、それを持って戦場に出かけたり。本当にその形、そのシステムを、PlayStation@Homeから離れて改良し落としこむというところが、一番ノウハウを活かせている場所ないかと思っています。

――『Gocco of War』は現時点でフルプライス、あるいは売り切りタイトルとして発売を予定されているんでしょうか。

清水氏:
売り切りですね。ダウンロードゲームとして販売していくんですけど、そっからダウンロードコンテンツを配信する形で色々なゲームを繋げていったり、クエストを追加したりという展開をしていけたらいいなと思っていますね。

越田氏:
フリー版?

清水氏:
フリー版もそうですね、考えていますね。

――無料で遊べるバージョンと、有料で遊べるバージョンがある?

清水氏:
そうですね。なんというか構想でしかないので。技術的にできるかどうか、今はわからない部分が沢山ある。なんとも断言するのは難しいんですけど、無料で遊んでもらえるスペースがあって、さらに有料版だともっと色々なことができるような。でもお金を払っている人も払っていない人も、同じ場所で遊べるような形っていうのが、理想的だと思っています。それを目指しつつ、でも技術的にできないことは、別の舞台でできるようにやりたいと思っています。

――それはFree-to-Playであるとか、マイクロトランザクションのようなビジネスモデルでしょうか。特にF2Pは海外で主流のモデルです。

清水氏:
ある種そういう形もあると思うんですよね。でも主流ではあるけど、別の課金方法も模索する。どんどん新しいものが生まれていっているので。だから別にそこを目指しているわけではないんですけど。でも、いいと思ったものにはお金を払ってもらうというのは、基本概念として変わらないと思います。とにかくいいものを作って、お金を出したいなって思ってもらえるゲームにしたいとは思っています。

――今後の『Gocco of War』に関して、現在構想中の計画や展開などはありますか。

清水氏:
人気が出たキャラクターやモンスターがpeakvoxの過去作にいるので、そういうのを登場させて、コスチュームだったり遊び方だったりというのに入れたいなと思っていますね。

越田氏:
Greenlightを国内告知してから、PlayStation@Homeユーザーの方々からそういう意見が出てきまして。『peakvox Monster』のペットを出してくれないか、こんなキャラを出してという需要がありましたので、前向きに検討している段階ですね。

――コラボーレションも?

越田氏:
そうですね。

清水氏:
peakvoxって結構、ユーザーの意見を反映させることをやってきたつもりなんですね。Twitterやメールで寄せられる意見を真摯に受け止めて、そういうのも望んでいるのであれば、返したいなという思いでやっているので。今構想していることも、ユーザーのコメントとかによって色々変わっていけるというか、可能性もあるので。なので、もっと気軽にコメントが貰えるような関係になっていきたいなと思っていますね。それが、今はPlayStation@Homeのファンとのやり取りというなかですけど、もっと世界に向けて広げていきたいなと。僕らもどう変わっていけるのかな、というのも楽しみにしています。

――今までコミュニティとの接し方は培ってきた部分がある?

越田氏:
今までDSや3DSや、Wii ウェア等でリリースしたんですけど、そういうのは一度作ってしまえば終わるものでした。売り切りのタイトルの場合は、終わってしまうので、ユーザーから頂ける意見も次回作に対してとか、結構スローテンポと言いますか、直ぐには繁栄出来ないんです。PlayStation@Homeで運営をやらして頂いてるなかでは、「こんなアイテム欲しい」って意見がきたら、作ってみて次の月には届けられるみたいな、スピード感は出てきまして。ユーザーさんも喜んでくれるし、うちも作り甲斐があるしというところで。結構それが楽しくて、上手く回っているなという感じでした。今回その同じような延長線上で、Steam上でどんどんアップデートをかけて、やっていけたらいいなあというのがありますね。

――逆にコミュニティとの対応で苦労した点はありますか?過去に学んだ事例など。

清水氏:
苦労というか、どっちかというと楽しみながらという点が強かったですね。クレームも沢山あるんですけど、でも究極、僕らに面白いゲームを求めてわざわざ時間を割いてコメントしてくれているので。そう考えると、どれも面白くなる道なんだろうなって思います。そういうのを楽しみながら、ちょっとでも反映していって、満足して頂ければ一番いいなと思っています。学んだとこはそこですね。クレームのなかでも、僕らの気持ちを、意図を見つけるというか。まだまだ発展途上で、これが集大成みたいな形になるとは思っていなくて。僕らが成長するための、1つの『Gocco of War』のステップになると思っていますし、そっから得たものを、また次に繋げていきたいっていう。そういう感じですね。

 

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――『Gocco of War』のタイトルに関してなんですが、ユーザーから海外の『God of War』と似ているのではないかという意見があります。これは軽いジョークのような……。

越田氏:
はい、そうです。以上です。

――(笑)

越田氏:
結構好きなんですよね。『God of War』とか『Gears of War』とか、類似した紛らわしいタイトルではあるんですけど、「なんとか of War」っていうのが好きやったりするので。それでごっこをつけてみたら、しっくりきた。略すと『GoW』でさらにややこしいんですけど、軽いノリみたいな……。

清水氏:
ユーザー受けはよかったり悪かったりするのかなと思うんですけど(笑)基本パロディというのを世界観に入れているんですよ。USJを文字ったような施設がなかに出てきたりとかするので。そういうので遊べると面白いなあって思ってるくらいですかねえ。なので、あんまり深い意味はないです。peakvoxのタイトルってだいたいそうなんですけど。

――先ほど言ったようなコラボレーションで、例えば他のゲーム会社のタイトルとかアニメとか漫画とコラボしていく構想はありますか。

清水氏:
そういうのいいなあと思っててて。そういうのが乗りやすい世界観だなとは思ったりするんですね。ただいかんせん、うちの知名度がないと、そんな話もないと思うので。だけど日本のコンテンツと色々コラボして、アニメでもドラマでも、そういうコスチュームを着て同じ遊びができたらなあと。

――開発やサポートを続けていくプランは現時点で立てていますか?

清水氏:
決めてないですし、Steamでどこまでいけるかもわかっていないので、本当突き進んで、そこが行き止まりなら別の道を探すし。行き止まりまでとりあえず行くというか。そういう思いだけで走っていますね。

――最後に『Gocco of War』を応援しているファンやAUTOMATONの読者にメッセージをお願いします。

清水氏:
頑張って出します。このゲームのためにSteamのアカウントを取ってくださってる方も居て。そういう人たちのためにも、なにかいい結果を残したいという思いで、日々やっています。

――ありがとうございました。

 


なおインタビュー後、『Gocco of War』は無事Steam Greenlightを通過した。この件に関して、執行役員の越田 健一氏よりコメントを頂いている。

越田氏:
今回、AUTOMATONさんという、素晴らしいサイトのインタビューを受けさせて頂き、誠に有難う御座います。普段から個人的にも良く拝見させて頂いているサイトですので、感無量です。お陰様で少し前に、『Gocco of War』 はGreenlightを無事通過しました!開発スタッフのテンションは最上級で本製作に挑み始めている所です。ユーザー様からは今まで様々なご意見を頂きまして、出来る限り盛り込んで行く予定ですので、今後もどんどんご意見を頂きたく思います。peakvoxは、『Gocco of War』 を柱として、Steamへと挑んで行きますので、引き続き応援を宜しくお願いします!

 

[聞き手: Shuji Ishimoto]

[写真: Mon Gonzalez]

 

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