80年代日本アニメから影響を受けた『Read Only Memories』、日本語配信迫るADV開発チームに“サイバーパンク愛”を訊く

3/22 読者アンケートのプレゼント当選者さまにSteamキーをお送りしました。みなさまのご協力に感謝申し上げます。

Read Only Memories』は、機械に管理された近未来のサンフランシスコを舞台に繰り広げられるアドベンチャーゲームだ。プレイヤーとなるしがないライターは、行方不明となった友人のロボットに捜索を依頼され協力するうちに、大きな陰謀に巻き込まれていく。デザインは、紫を基調としたセピアのグラフィックを採用しており、その道の人ならばすぐにその“サイバーパンク”色に気付くことができるだろう。ゲーム内容も、サイバーパンクがテーマでありながら、暗さだけでなく愛らしさや切なさと人間同士のドラマが描かれており、間口が広い作品となっている。

そんな『Read Only Memories』の開発元であるMidBossのスタッフが、同作の日本語版が配信されるということで、今回BitSummitのために日本へやってきた。今回、AUTOMATONと同じ運営元であるPLAYISMの協力もあり、アーティストのJohn James氏に直接話をうかがうことができた。それではJames氏の溢れんばかりのサイバーパンク愛を聞いていただこう。

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左がJohn James氏。
左がJohn James氏。

――あと3か月で『Read Only Memories』が発売されてから1年です。手応えはどうですか。

John James:
すごくいいね。初めてリリースしたゲームというのと、ニッチジャンルの作品であるので、どのくらいが良い数字と言えるかはわからないけど、少なくとも約10万本は売り上げることができた。評判も僕らが予想してたよりもずっといいね。
――10万本ですか。おめでとうございます。初めてPVを見た時に、サイバーパンクへの愛が溢れていると感じ、感銘を受けました。

サイバーパンクはとても好きだし、いいジャンルだと思う。最近このジャンルを扱った作品が多くなってきて、また人気になりつつある気がするね。城やドラゴンが出てくるファンタジーや、宇宙船が出てくるSFはもうすでに多く出てるしね。個人的に80年代のサイバーパンクがとても好きで、「バブルガムクライシス」や「Akira」、「メガゾーン23」といった作品のビジュアルスタイルを表現したかった。
――おっしゃるように、最近サイバーパンクというジャンルは再び人気が生まれてきているように感じます。『VA-11 Hall-A』もそうですし、CD PROJEKT REDの新作のタイトル名は『Cyberpunk 2077』です。なぜ現在このジャンルが人気になってきていると考えますか。

さっきと似たような意見になってしまうけど、結局みんなファンタジーや宇宙というジャンルが充実しすぎて少し飽きてしまったように思う。そういうのではなくて、この世界がどのように変化していくのか、ユートピアになるのかディストピアになるのか、トランスヒューマニズムについてなど、そういうことが気になってるんじゃないかな。
――サイバーパンクをゲームのテーマにすることは最初から決めていましたか。

ああ。最も大きなインスピレーションを受けたのは『スナッチャー』なんだ。サイバーパンクというジャンルを通じれば、僕らの理想や、メッセージ、意識を伝えることができると思った。間違いなく未来に起こるであろうことや、起こってほしいことを込めることができるジャンルなんだ。

 

ゲーム内には人間だけでなく、個性の強いロボットも多く登場する。
ゲーム内には人間だけでなく、個性の強いロボットも多く登場する。

――ゲーム画面のビジュアルや、サウンドからは80年代の日本作品を思い出します。

間違いないね。子供の時からとにかく多くのサイバーパンクの作品を見てきた。『Read Only Memories』の開発が始まって少し経ったころ浦沢直樹の「PLUTO」を読んだんだけど、『鉄腕アトム』みたいな不思議なサイバーパンクの世界観が楽しかったね。もちろんさっきも言ったように「ロボットカーニバル」「メガゾーン23」「バブルガムクライシス」のような作品も大好きさ。

特に「ロボットカーニバル」の影響は強く受けていて、とても尊敬してるんだ。ちなみに大友克洋は僕の大好きな監督のひとりで、アートブックもたくさん集めたし、絶版になった作品の初版のカバーは300ドル出して買ったね。今は再販になって安く手に入っちゃうけど……。「童夢」とか、大友さんの作品はどれもいいね。とにかく、80年代~90年代初期のアニメを本当に愛してるんだ。
――最近は当時ほどサイバーパンクの作品は作られていませんが、やはり日本でも一定のサイバーパンク熱はあるように感じます。

80年代に日本でたくさんのサイバーパンクを扱った作品が生まれたけど、西洋でも同様に「ブレードランナー」が出てほかの作品にサイバーパンク観の形成に影響を与えたし、『サイバーパンク2.0.2.0』というテーブルトークRPGも生まれたね。最近ではジャンルとしての流れはむしろ西洋に戻ってきてるように感じていて、例えば大きなタイトルでいえば『Deus Ex』や『Cyberpunk 2077』、そのほか『Read Only Memories』や『VA-11 Hall-A』を含めた多くのインディー作品が生まれている――「Deus」はちょっと違うかもしれないけど。ジャンルとしては少し眠っていた時期もあるけど、関心の波は世界的にまた来てるんじゃないかな。
――『Read Only Memories』の中には機械関係のジョークも多いですが、開発スタッフにはやはりGeekが多いんですか。

ナイスな褒め言葉だね!僕らはゲーム開発者で、一般的なオタクだからね(笑)ゲームを生み出そうしている人々は、やはりそういう方向への情熱がある人が多いと思うよ。
――『Read Only Memories』はサイバーパンクというジャンルです。キャラクターの個性もあり、人情ドラマの色も強いように思いますが、意識はされたんですか?

意識してるね。西洋では、性役割や多様性などといった課題があって、キャラクター同士のつながりをとおして、未来ではそのような問題が解決していることを見せたかった。でも、未来は未来で、便利だけど新たな問題がある。一番焦点をあてているのがトランスヒューマニズム。意識が透明になってしまっていて、健康や自己実現のために遺伝子も操作されてる。この時代はこの時代で難しいんだ。
――キャラクターでいえば、プレイヤーのパートナーとなるTuringはドジだけど愛嬌があってとてもかわいいですよね。

Turingは人気だね(笑)正直Turingがここまで人気になることは予想していなかったんだ。やかましくてクセの強いキャラクターだから、すごく好きになるか、イライラして嫌いになるかに分かれると思ってた。個人的にはとても好きなキャラクターだね。かわいくて助けてくれるし、人々に感動を与えられると思う。今度のアップデートでゲーム内にボイスを入れることになったんだけど、もっとかわいくなっちゃったね。すでにゲームをプレイしたプレイヤーの反応も見てみたいかな。

 

BitSummitでは一足先に、日本語版を楽しむことができた。
BitSummitでは一足先に、日本語版を楽しむことができた。

――楽しみです。最近では『VA-11 Hall-A』が人気で、初めはサイバーパンクをテーマとしており、似ている印象を受けましたが、実はふたつのゲーム性は異なっていると感じました。ご自身で改めて『Read Only Memories』ならではの魅力を語ってください。

『VA-11 Hall-A』と『Read Only Memories』は、日本っぽさを追求している点でスタート地点は少し似ているように感じるんだけど、見た目は少し違うんだ。『VA-11 Hall-A』 はPC98を意識していて、『Read Only Memories』はファミコンやメガドライブを意識している。中身は全く違うね。『Read Only Memories』は一人称視点でプレイヤーは名前をつけられるし、なんて呼ばれるかも決められる。それに、さまざまなエリアを探索することにもなるよね。『VA-11 Hall-A』はもっとつめ込まれた作品で、何を話すかを選ぶ必要もないし、キャラクターの観察に専念したり、飲み物をサーブしたり、バーと家が舞台の基本となる。だから『Read Only Memories』は、よりワイドな作品で、『VA-11 Hall-A』はより焦点を絞った作品だって言える。楽しみ方の異なる作品なので、両方楽しんでほしいね。
――もうすぐ日本語版が出るということで、日本のユーザーにメッセージをお願いします。

日本のユーザーが楽しんでくれることを期待してるし、とても興奮してる。実は昨日(BitSummit1日目)、プレイしてるユーザーの反応を見るのに夢中で食事もとらなかったんだ。西洋で作られた僕らのゲームがどのように捉えられるか、気になるね。個人的にはファンアートを見るのがとても大好きだから、そういったものが生まれることも楽しみだ。
――ありがとうございました。

『Read Only Memories』はSteamにて絶賛配信中。近日にはPLAYISMから日本語版がリリースされる。

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