胸が揺れ、服が破れ、艶めかしい声が響きわたる。こう書くと、「エロゲー」を連想してしまうのが一般的だが、同様の演出がある『閃乱カグラ』は、「エロ」という言葉だけでは語れない。私自身、スクリーンショットやトレイラーから、“あっち系のゲーム”だと思っていたのだが、実際に触れてみると感想は違った。

気になったら聞く。5周年を迎えたシリーズの生みの親は誰なのか、どのような人物なのか、何を思って作ったのか――個人的な疑問から、『閃乱カグラ』プロデューサー高木謙一郎氏をたずね、さまざまなお話をうかがった。

ちなみに、ご存知の方も多いと思われるが、氏は爆乳プロデューサーとしてファンの前に立ち、数多の男性を虜にし続けている。

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――本日はよろしくお願いします。『閃乱カグラ』5周年おめでとうございます。

高木謙一郎氏:
ありがとうございます。

 
――ベタではありますが、この5年間いかがでしたか。

高木氏:
全力で走り続けた5年間だったので、疲れたな……というのもあります。まあ、止まることなくここまでこれた嬉しさが一番大きいですね。

 
――毎年新作を出されてましたよね。

高木氏:
そうですね。何かしら新作を出してきました。

 

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――そのたびに高木さんは体を張って表に出られますよね。そりゃ疲れますよ。(笑)

高木氏:
まあそうですね。(笑)良いことも悪いことも全部受けてしまいますし。

 
――高木さんの体を張られるスタイルは、ほかのプロデューサーさんとは違うような気がします。

高木氏:
マーベラスという会社も認知度は上がってきましたけど、出したら売れるというところまでは行ってないので、何かひとつでも面白いと思ってもらえるポイントを作らなければと思い、「爆乳プロデューサー」という名前にしてみたりとか。

 
――インパクトありますよね。

高木氏:
僕がなるべく表に出てお客さんに近いところで話をして、興味を持ってくれる人が一人でも増えてくれるなら、という気持ちで始めたら、いつの間にやらサイン会やら握手会やら開催されるようになって。こんなオッサンでも大丈夫ですか?みたいな。

 
――人気者ですね。「爆乳プロデューサー」と名乗られたのは、『閃乱カグラ』の1作目のときからですか?

高木氏:
2007年に『一騎当千』のゲームを作ったときからですね。普通にプロデューサーとして表に出るのってつまらないなって思ったのがきっかけで、みんなに「え?え?」って顔をされながらも爆乳プロデューサーと名乗りました。じつは来年で10周年なんですよ。

 
――爆乳プロデューサー爆誕10周年ですか。

高木氏:
10年続けてみると、意外と定着したなと。

 
――そんな変わったプロデューサーさん、なかなかいないですよ。

高木氏:
そうですね。日本では僕一人だけです。(笑)

 
――町の中を歩いていて、ファンの方から声をかけられることもあるのでは?

高木氏:
まれにありますね。ゲームショップとかに行くと、「高木さんですよね?値引きしておきましたよ」とかって言われたりするんですよ。ただでさえ利益が少ないんだから「やめてください!」って言いますけど。

 
――それはやはり、今までの努力の成果ですよね。

高木氏:
そうですよね。ゲームが広がっていくためにできることって、露出をすること、脱ぐっていう意味じゃなくてね、やってきてよかったなって思います。

 

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――『閃乱カグラ』5周年のサイトには、「こんなゲームがあってもいいじゃないか」から始まったと書いてありますが、最初から“おっぱ愛”にあふれたゲームを作ろうと考えていたんですか?

高木氏:
最初からそう考えていました。当時は、エッチな要素があって、アクションゲームとしても遊べる内容のものが意外となかったんですよ。「エロだけで釣っちゃいました」みたいなゲームが多かったので、ちゃんとしたものを作りたいって考えてました。

 
――エロだけで釣るゲーム、たしかに多かったです。

高木氏:
シリーズってだいたい売上本数が下がっていくんですけど、『一騎当千』は上がっていったんですね。そこで、「もしかしてこれはチャンスがあるんじゃないか」と思ったときに3DSの話があって、これは大チャンスだと判断して『閃乱カグラ』を始めました。

 
――しかしよく企画が通りましたね。一般的な会社だと難しそうです。

高木氏:
そこはもうマーベラスの良さだと思いますね。「これ、飛び出すおっぱいなんですよ」なんてことを、偉い人の前でプレゼンしました。普通の会社だと「は?」ってなると思うんですけど、うちの場合は「いいじゃん。やろうやろう」ってなったんです。

 
――面白ければ企画は通る?

高木氏:
「面白いじゃん」っていうノリの部分もあるんですけど、『一騎当千』がちゃんと収益を上げていたというベースもありました。1作目は予算的に小さなプロジェクトだったんですけど、ちゃんとした事業計画を立てましたね。そして全力でアホなことをやるという。(笑)

 
――本気でアホなことをやるみたいな。

高木氏:
当時はモバイルゲームが流行し始めていて、カードゲームの人気が高くて、コンシューマーはもうだめだなんて言われていた時代でしたよね。だったらやりたいことをやらないと、絶対に後悔すると思ったんです。僕はパッケージタイトルとか、コントローラーを握って遊ぶゲームを続けたいという意思が強かったので。これでだめだったら諦めようという気持ちもありました。

 
――その結果、『閃乱カグラ -少女達の真影-』はうまくいきましたね。

高木氏:
そうですね。びっくりしました。

 
――思惑どおりだった部分もあるのでは?

高木氏:
本数は想定外でしたね。2作目で落ちるかなと思ったんですけど上がって、「やべぇ、これ初回で10万本超えちゃったぞ」というふうに社内がざわつき始めて、これはちゃんと売れるように手を打たないといけないと感じて、「真夜中パイランド」というイベントを急遽組んで盛り上げたり。大変だったけど面白かったですよ。

 
――『閃乱カグラ』は一風変わったイベントが多い印象です。イジリーさんとか、水道橋博士さんとかとご一緒されてますよね。

高木氏:
とにかく、宣伝っぽいものをしたくないという気持ちが強いんです。当時、ブランドもないチームで、小さなライブハウスで30人ぐらいのお客さん相手に全力で触れ合って、「いつかメジャー目指すぞ!」というような気分でやっていましたね。

 
――そういえば先日、イジリー岡田さんがじつは下ネタが嫌いだというニュースがありました。高木さんはそのニュースをツイートされていましたよね。もしかして高木さんは、じつはエロがお嫌いなんですか?

高木氏:
あのあと、「僕は好きだよ」って書こうと思ったんですけど、忘れたまま寝ちゃったんですよ。(笑)

 
――本当は好きじゃないんだと思ってました。

高木氏:
大好きですよ。下ネタさえ言えれば幸せですよ。

 

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――(笑)

高木氏:
イジリーさんは何度かお仕事させていただいてますけど、プロとしてすごいですよ。あんな全力でおふざけやってますけど、打ち合わせは綿密ですし、尊敬しています。

 
――僕は「ギルガメッシュないと」世代なので、イジリーさん大好きです。でも今の若い世代の方は知らないかも?

高木氏:
そうですね、もうエッチな深夜番組もなくなっちゃいましたよね。夜中に隠れて見てたなあ……。だから目の前でイジリーさんの舌芸を見た瞬間、番組を忘れて大喜びしちゃいましたよ。(笑)

 
――あの舌の動きは、かなり速いですよね。練習してみました?

高木氏:
あの動きは練習しただけではできないですね。舌芸をその場で見るとわかるんですけど、カメラの向きや位置など状況をちゃんと確認してからスーッと芸に入っていくので、これはもうプロだなと。

 
――あはは。

高木氏:
1回目のときにゲストでユリオカ超特急さんが来てくれていたんですけど、ニコ生のコメントで「イジリー、イジリー」って出てたんですね。すると、ある日を境にイジリーさんに代わりました。(笑)

 
――まさかイジリーさんの話で盛り上がるとは。変わったイベントをやる理由は、ほかにもありそうです。

高木氏:
パッケージソフトの考え方を変えていかないといけないなと当時から考えていたんです。「予約を煽って売っておしまい」とかではなくて、みんなで一緒にゲームやコンテンツを作っていきたいなという思いが強いんです。だから、発表したタイミングからエンタメというか商品として始まっていて、発売されるまでの過程をどんどんみなさんに楽しんでもらって、最終的に6000円とか7000円で買ってもらうような、そんなふうにゲームを作っていきたいなって。5年前も今もそう思っています。

 
――そう考えるようになったのは、何かきっかけがあったんですか?

高木氏:
単純に、パッケージソフトが売れなくなっているというのが大きいですね。普通にやっていても広がらないですし。自分としては続けていけるシリーズ物を確立させたかったので、ここはスタイルを変えていくしかないだろうと。毎回毎回新しいものを作るというのは、すごくパワーが必要ですからね。

 

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――今年6月にSteamにて『SENRAN KAGURA SHINOVI VERSUS』が発売されました。PC版をやろうと思った理由は何ですか?

高木氏:
3DSやVitaなどいろいろやってきましたけど、基本的には、一番女の子をかわいく表現できるプラットフォームに出していきたいんです。予算や技術的な都合もあってPS3とか出せていないプラットフォームもあるんですけど。『一騎当千』は最初はPS2から始まって、その後はPSP、『閃乱カグラ』では3DS、Vitaという感じで、そしてPS4、据え置きに戻ってきました。より多くの人に最良の状態で遊んでもらいたいという気持ちがあります。

 
――そしてPCへ。

高木氏:
とくに海外はVitaが弱いというのもあります。海外のファンから「遊びたいけどVitaを持っていないんだよね」なんて声があって、じゃあPCで出そうかって。それにPCで出せば、『閃乱カグラ』がさらに広がるチャンスなんじゃないかなと。

 
――高木さんは英語版のTwitterアカウントも運用されていますよね。やはり海外のファンも多いですか。

高木氏:
不思議な事に増えました。3DSのときはそうでもなかったんですけど、Vitaで出してからはリージョンフリーという点もあって、劇的に広がりました。

 
――日本と海外でファンの反応に違いはありますか?

高木氏:
言葉は違いますけど、基本は一緒かなって感じます。みんなおっぱいが大好きですね。

 
――ですよね。(笑)

高木氏:
(笑)

 
――『閃乱カグラ』シリーズのほかの作品もPCへ?

高木氏:
そうですね。社内でほぼ前例が無いに等しいので『閃乱カグラ SHINOVI VERSUS』のPC版はお試しの部分もあったんですよ。でもとにかく出したいなと思っていて、実際に出してみたらやはり評判が良かった。自分の中でもPC版は外せないという気持ちがあったので、続けたいなと思います。

 
――早くほかの『閃乱カグラ』もPC版を出してほしいという声は多いと思います。

高木氏:
いろいろと準備しています。(笑)

 
――毎年新作を出されていましたけど、今年は出てないですよね?

高木氏:
今年は出ないです。

 
――出ないんですね。

高木氏:
出るのは来年ですね。5周年サイトでも「2017 少女達の戦いは続く。」と、フリだけはしています。

 
――今年出ないというのは、ちょっとさみしいです。

高木氏:
『UPPERS』とか『VALKYRIE DRIVE』とか『IA/VT』とか、この何年か『閃乱カグラ』をやりながら別の路線も模索していたというのもあります。『閃乱カグラ ESTIVAL VERSUS -少女達の選択-』はPS4とVitaというマルチプラットフォーム展開を初めてやって、当初では考えられないぐらい予算とか規模が大きくなってきたんです。5~6年前に思い描いていたひとつの到達点までは来れたのかなと。そして次のステップに進むための準備をしています。それが2017年から次々と出てきて、10周年とかに向けて続けたいなと思っています。

 
――「脱カグラ」を考えてらっしゃるんですか?

高木氏:
この数年で、「やりたいこと」と「できること」が見えてきた感じがあって、『閃乱カグラ』は「やりたいこと」だし「できること」、そして「もとめられてること」だなと。まだ美少女アクションゲームとして頂点にも立ってないですし、「脱カグラ」「脱おっぱい」なんてことは考えずに、これからも全力でやっていこうと思っています。

 
――安心しました。ところで2017年の新作がとても気になります。

高木氏:
ちょっと意外なところから始める感じです。

 
――もしかして、おっぱいではなく乳輪がデカイとか?

高木氏:
乳輪がデカい!?乳輪は……乳輪は……そんなでもないです……。

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“カグラ1作目では賭けに出た、ブレるのが嫌だった”

――高木さんは実際にお会いすると、イメージとはまったく違いました。目の奥に何かが秘められている感じがします。「おっぱいが~」なんてやりながらも、じつはものすごく計算されているのでは?

高木謙一郎氏:
計算というほどは計算していないかもしれないですけど、当然失敗しないようには考えてやってきたつもりです。あとはやっぱり――怨念が強いと思います。「ゲームを作りたい」とか「自分のタイトルを世に確立させたい」ということに対しては、とくに3本目ぐらいまでは“ギリギリ”していましたね。「俺は絶対にやれる!」みたいなのは、自分の裏にありました。今もありますけど。

 

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――なるほど、それが高木さんの目の奥に秘められているものですね。

高木氏:
実際、おっぱいだなんだのってやっても、けっこうなお金がかかっていて、たくさんの人が関わってくれています。みんなそれぞれの人生がありますし、一緒にやってくれた人に対して「失敗しました。お給料は払えません」ってなっちゃうとよくないですよね。そういうのも含めて、ファンもスタッフもみんな幸せになれるにはどうしたらいいんだろうって考えながら、「おっぱい!」って叫んでいるんです。(笑)

 
――(笑)。爆乳プロデューサーとして体を張られていますけど、僕だったら恥ずかしいと感じる瞬間がありそうです。

高木氏:
僕はないかもしれないですね。一番恥ずかしいのって、納得していないものを売らなきゃいけなくなった時だと思うんです。それは本当に恥ずかしいですし、汚点になっちゃうので、それだけはやりたくない。それと、どうしてもやりきれていない部分もあるんですけど、基本的に僕は自分の中で納得できたものしか出していないつもりなので、恥ずかしいと思うことはないです。「おもしろいでしょ?」と出したものを「おもしろい!」と言ってくれる人が増えてきたので本当にありがたいです。

 
――「プロデューサーとはこういうものだ」という考え方はありますか?

高木氏:
プロデューサーを定義付けるとしたらシンプルで、「利益を上げること」だけです。それをやるための手段は自由です。人を動かしてやる人もいますし、みずからの手を動かしてやる人もいます。「プロデューサーだからこうだ」みたいなのは無いと思ってるので、あまり意識していないです。

もともとプランナーとして業界に入ってきたので、ただゲーム仕様の決定権が欲しかったんです。「俺が決める!」っていろいろやっているうちにディレクターになり、プロデューサーになりました。偉くなりたかったわけではなくて、ただ作品に対しての決定権は、お金より欲しい。それだけです。

 
――なるほど。でも、「俺に決めさせてくれ」とやっているだけでは、今のポジションまでのぼれなかったのでは?

高木氏:
そうですよね。本当に運が良かったんです。先輩や仲間、導いてくれた人たちに感謝しています。すごくラッキーだなって、いつも思います。僕は子供のころからゲームしか好きなものがないので。それが今、何作か成り立っていて、飯を食えて。

 
――夢がかなったというか、そういうことはなかなか実現できないですよね。

高木氏:
本当にラッキーです。もし今の自分になれなかったら、どうなっていたんだろうって。

 
――運もあるかと思いますけど、ほかにも要因がありそうです。

高木氏:
それはきっと、賭けに出たタイミングかもしれないですね。

 
――賭けに出たタイミングですか。

高木氏:
自分のプロデューサーとしてのオリジナル1本目『勇者30』は、少ない予算で小さなチームで「ワーッ」と作ってただけなのに、後から結果がついてきて、思っていたよりも高い評価を得て、本数も出ました。2作目を作るとき、それなりに予算もかけて、早い段階で宣伝・営業・会社を交えて「どう売っていくか」「10万本を売るためにはどうすればいいか」など、僕も経験が浅かったので、いろんな人の話を聞いたんですけど、それによって方針がブレちゃったんです。

 
――人の声を聞きすぎてブレてしまった。

高木氏:
ゲームは遅れながらもいつもどおり面白く出来上がったんだけど、売れ行きは1作目に届かなくて。うまくいかないときって、みんな心配になるし、それぞれがいろんなことを言うので、ブレが止まんなくなるんです。それで最終的にストレスを抱えちゃって。

『閃乱カグラ』1作目をやるときに会議で言ったんです。「とにかくこれは、宣伝・営業・会社の誰の意見も一切聞きません。すべて僕に決定させてください。結果を出すから。」って。そうしたら「わかった」って言ってもらえて。だから『閃乱カグラ』1作目のときは、「俺がこうだって思ったことは、絶対にこうしてくれ」って、一切誰の意見も聞かなかったです。そのときの威力は、5年経った今も、さらに強くなって残っています(笑)。

もし失敗したら、今ここに僕はいないけど、自信があったし、言い訳できないように自分を追い込む意味もあって、賭けました。

 
――賭けは大成功でしたね。ゲームはヒットし、遊んだ人は笑顔になれた。

高木氏:
最高ですよね。『閃乱カグラ』2作目以降は、宣伝・営業・制作、みんな良いバランスで協力して、全力でやっています。その結果、本数も上がっています。

とはいえ、ひとつだけ後悔があるとすれば2作目の『Burst』の時に1作目が全て入っているという情報を初報で自分は出したかった、出すべきだと考えたのですが、「出さないでくれ」という意見を抑えられなかった、ってのはあります。事情はわかる部分はあったんですが、納得していないことを許してしまった、今でも思い出す反省点です。

 
――話は変わりますが、『VALKYRIE DRIVE -BHIKKHUNI-』(ヴァルキリードライヴ ビクニ)がドイツとオーストラリアで発売禁止になったニュースがありました。日本と海外の規制の違いで、何か感じることはありますか?

高木氏:
ドイツとオーストラリアは昔から厳しいので、そもそも出せるとは思ってなかったんです。「試しに審査出してみよう」「やっぱり落ちたね」ぐらいの感じです。

 
――出せなかったことは驚きではなかったんですね。

高木氏:
海外からすると、日本の美少女キャラクターはすごく幼く見えます。子供の性にも厳しいですよね。もちろん僕もそうあるべきだと思っています。でも今のところは修正していないですね。変えないっていうスタンスがあるんです。たまにイラストでこれはちょっと……っていうのはあるんですけど、安易に肌の露出を隠すとかは絶対にしないです。そうするぐらいなら、別の絵を描きなおします。直さない、出せないなら出さない、そういうスタンスです。

 
――そこは貫き通されているんですね。

高木氏:
もともと予算も少なくて大きなこともできないですから、少人数を、ゲームだと3万人ぐらいを、しかも日本だけをターゲットにしていたんです。結果的にそれが海外の興味をひいて、広がっていきました。

 
――世界にファンが増えることで変化もありそうです。

高木氏:
たとえばヨーロッパ、E3とかのインタビューだと、「キミは女性をどう思ってるんだ?」というような、厳しい質問を受けます。もちろんそれは差別だとか僕を貶めようとかいう意思はないんですけど、「そう感じる人たちもいるんだな」と思うようになって、少しずつ意識するようにはなりました。トゲがなくならないようにはしたいんですけどね。『閃乱カグラ』が世界に広がっていって、遊びたいって言ってくれる人も増えてきたので、そのへんも気を使わなければならない時期になってきたのかなと。

笑えるスケベ、楽しいエッチ。
笑えるスケベ、楽しいエッチ。

――じつは僕、二次元の女の子にまったく興味がないんですよ。『閃乱カグラ』をすすめられたとき、単純にエロなゲームだと思っていたので、購入するのがめちゃくちゃ恥ずかしかったんです。でも実際に遊んでみたら、最初に感じたのは「なつかしさ」でした。僕が子供のころに読んでいた月刊少年マガジンに掲載されていた、ちょっとエッチで思わず笑ってしまうマンガに近いと感じたんです。

高木氏:
『いけない!ルナ先生』とか?

 
――そうです、そうです。

高木氏:
基本的には、ああいうノリなんです。中高生の性の目覚めを手伝うみたいなコンセプトがあるんですよ。笑えるスケベとか、楽しいエッチというのは、めちゃくちゃ意識しています。

 
――乳首が絆創膏で隠れているとか、まさに僕が子供のころに読んでドキドキしたやつだなと。(笑)

高木氏:
『いけない!ルナ先生』とか『やるっきゃ騎士』とか、ああいうノリですよね。あと、永井豪さんのノリとかも。

 
――ああ、服が破れるのはまさに永井豪さんですね。

高木氏:
『キューティーハニー』とかね。昔から伝統芸のように繰り返されてきた表現。(笑)

 
――キャラクターが発する「いや~ん」という声、久しぶりに聞きました。

高木氏:
現実では聞くことがないですからね。一度誰かに言わせてみたいですけど。(笑)

 
――キャラクターの設定は高木さんの好みが反映されていると思いますが、実在する人物、たとえば中学生時代のクラスメートとかがモデルになることってあるんですか?

高木氏:
基本は自分の好みがベースで自分の好みの子しか出てこないんですが、現実の誰かをモデルにはしていないです。普通キャラクターって、いろいろな趣味の人を考えてデコボコを作るんですよ。『閃乱カグラ』はそれを一切やってなくて、「自分が好き」だけで並べてます。ある意味、僕の性癖博覧会みたいなもので、それはちょっと照れくさい時期はありましたね。「あー、高木はこういう子が好きなんだ」みたいに思われるわけですから。(笑)

 
――その性癖についてくる人もたくさんいますね。

高木氏:
そうなんですよ。好みの方向性が一緒だったらハマってくれるんだと思います。

 
――僕にとって『閃乱カグラ』は、とてもなつかしくて、ちょっとエッチだけど笑えるゲームです。ニッチだけど、そこを狙われているんですね。

高木氏:
そこは守らないとっていうのはありますね。ただのエロとかセクシャルになると、ちょっと『閃乱カグラ』とは違うなと。そこを守っているのが『閃乱カグラ』の独自性だと思っています。18禁にしないとか、やりすぎなようでやりすぎていないところですね。

 
――こだわりですね。

高木氏:
さっき「買うのが恥ずかしい」って言われてましたけど、じつは「恥ずかしい」と思った瞬間からゲームは始まっているんですよ。どこの店でどう買おうとか、昔だとエロ本をどうやって手に入れよう、おばあさんがレジにいるときを狙って持って行こうとか、何冊かの本に挟んで隠そうとか、これはもうゲーム性なんですよ。(笑)

 
――たしかにゲームですね。(笑)

高木氏:
そうです。(笑)

 
――『閃乱カグラ』もそうですが、ゲームキャラクターのおっぱいは実物のおっぱいとは違いますよね。大きくなればなるほどニュートンには勝てないけれど、ゲームでは綺麗な形を保っています。そこでですね、パッケージでいいので、「登場するおっぱいは実物とは異なります」という一言を書き加えてほしいなと。

高木氏:
「実在する人物とは一切関係ありません」みたいな?「現実とは異なる挙動をします」とか。(笑)

 
――信じちゃう人っていると思うんです。ゲームキャラクターのおっぱいが、実物と同じだって。

高木氏:
信じている人ってけっこういるかもしれないけど、巨乳がブラ外すとデローンとなるとかってのは、現実の世界で体験してもらえればいいかな。「外してもあのままだと思うなよ!」みたいな。(笑)

注意書きは、『閃乱カグラ』が1作で50万本ぐらい売れて、影響力が大きくなって、これは危ないと感じたら書くかもしれないですね。(笑)

 
――(笑)。最近はエロがどんどん過激になってきているというか、僕らの子供のころとは変わってきましたよね。

高木氏:
簡単に手に入るようになりましたね。インターネットがありますし、入手経路が増えました。僕が小中学生のころは、エロ本なんて命がけで探してましたからね。山の裏とかに捨てられていて、友達と一緒に探しに行って、濡れてパリパリになったページを開いて「オオーッ」って言いながらね。

 
――『UPPERS』は高木さんのSNK愛が含まれていると聞いたことがあるのですが、『ビー・バップ・ハイスクール』の影響もあるとか。エロ本探しも含めて、ご自身が子供のころに感じたことや体験など、それらがゲームづくりに影響しているんですか?

高木氏:
やっぱりそうですね。小中高大、学生時代に触れたものというのが、すごく色濃く根っこに残ってますよね。大人になると、マンガとかゲームとかって簡単に手に入ってしまうので、ひとつひとつへの思い入れって薄くなっちゃう。でも子供のころに苦労して手に入れたもの、触れたものっていうのは、完全に僕の根っこになっていますね。

 
――学生時代の高木さんと同じような気持ちでゲームを買ってくれる人がいると嬉しいですね。

高木氏:
恥ずかしさとか楽しさとかを、ゲーム以外の部分でも体験してもらえたら嬉しいですね。あと、「エロのゲームなんでしょ?」という誤解はまだまだあるので、それを解いていきたいなと思っています。少しずつでも。

 
――遊んでみたら印象がガラっと変わりますし、僕らの世代の人が遊んだら、月刊少年マガジンを思い出して、なつかしいって言いますよね。

高木氏:
あはは。淡い思い出がよみがえりますよ。

 
――本日はありがとうございました。

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収録日: 9月某日

[聞き手: Shinji Sawa]

ご存知のとおり、新作『閃乱カグラ PEACH BEACH SPLASH』が発表されました。揺れる公式サイトは一見の価値ありです。

公式サイトを見たときからゲームが始まっていることをお忘れなく。

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