電車経営シミュ『Mashinky』が開発中。東欧の辺境でのんびり電車を動かそう、シンプルなルールで奥深く遊べる“あの頃”のSLG


発売前や登場したばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆく「Indie Pick」。第366回目は『Mashinky』を紹介する。

『Mashinky』は鉄道会社を経営するシミュレーションゲームだ。プレイヤーは線路を敷きながら駅を設置し、列車を走らせ自分の会社を成長させていく。本作のコンセプトは「子ども時代に遊んだTycoon作品の復活」。開発者のJan Zelený氏は、シンプルなルールながら奥深く遊ぶことができる『Transport Tycoon』や『Sid Maier’s Railroad Tycoon 2』のような作品が近年生まれてこないことを不思議に思い、“あの頃”のシミュレーションゲームを目指して本作の開発が始めたという。

舞台となるのは90年代の東欧。プレイヤーはまだ産業が発達していない郊外にて、電車という名の足を生み出し、地域を発展させていくことが目的となる。前述したように、ゲームシステム自体はシンプルなものとなっており、ルールはシンプルで制限も少ない。会社をどんどん大きくしていき、街を都市へと発展させていくのもよし。お気に入りの列車を走らせ、車窓から移り変わる風景をながめるのもよし。幅広い楽しみ方ができる。

『Mashinky』の特徴はなんといっても風情あるグラフィックだろう。90年代の東欧が舞台ということで、フィールドには青々とした野原が広がっており、自然の美しさを感じさせる。ゲーム内では四季が移り変わり、気候の関係上、雪が降ることも少なくない。全体的に寒々とした雰囲気を漂わせるのも東欧ならではだろう。

このようにフィールドのグラフィックはリアルな自然を感じさせる一方で、建築モードに切り替わった際には、旧式のボードゲームのようなアナログなものに変化するのも興味深い。フィールドはグリッド形式で表示されており、隙間のない緻密な建築ができるようだ。この建築モードのデザインは、経営シミュレーションゲームによく搭載されている簡易的なフィールド表示という枠に収まらず、パズルのピースをはめていくような感覚で直感的に線路や駅を配置する楽しさがあるのだという。現代の技術で描かれるグラフィック表現とアナログさを感じさせるデザインを組み合わせたビジュアルによって、懐かしくも新しい感覚が味わえそうだ。

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プレイヤーは舞台となる時代を選択することができ、蒸気時代から現代の列車まで7つの時代が用意されている。登場する建造物や列車はすべてカスタマイズが可能なので、自分好みのデザインに変更してみてもいい。外観だけでなく、貨物のタイプやエンジンまで選択でき、加えて新たな乗り物を発明することも可能だ。さらに本作はModにも対応することが発表されているので、幅広く電車を選ぶことができる。

また詳細は不明であるが、本作はなんと最大8人までのマルチプレイが可能なのだという。経営シミュレーションゲームでマルチプレイを採用している作品はまだまだ少ない。ゲームジャンルとしてマルチプレイとの親和性があるとは言い難いように思えるが、どのような形式になるのか注目したい。

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開発を手がけるJan Zeleny氏は、『Mafia II』『Mafia III』『DayZ』に携わってきた実績を持つ。現在もBohemia Interactiveにてシニアプログラマーをつとめるなど、第一線で活躍するベテランデベロッパーだ。氏は7年以上の期間、こうしたタイトルを手がけるかたわら、空き時間を使ってインディーゲームを開発してきたという。デザインやプログラミングなど、ほぼすべての部分をひとりで開発しているようだが、作曲のみSlikk Tim氏が担当しているとのこと。本作は、東欧出身の開発者がひとりで作るシミュレーションゲームという点では、2015年に発売され大きな成功をおさめた『Banished』を強く思い起こさせる。

ローカライズについてはユーザーのボランティアを募る形で進められており、すでに20カ国の言語が対応予定だという。名乗り出れば誰でも翻訳に参加できるようなので、人気が出れば日本語の対応も期待できそうだ。

『Mashinky』はすでにSteam Greenlightを通過しており、2017年Q1には早期アクセスを開始する予定だ。