うつ病に苦しむ画家がひとり部屋にこもる『Indygo』が開発中。孤独な世界から一歩足を踏み出す物語を繊細に描く

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発売前や登場したばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆく「Indie Pick」。第435回目は『Indygo』を紹介する。

ポーランドに拠点を置くインディースタジオPigmentum Game Studioが現在開発中の『Indygo』は、ポイント&クリック形式のパズル・アドベンチャーゲームだ。本作の主人公は、有名な画家の男トーマス。気分障害(うつ病)を患い苦しんでいた彼は3か月ほど前、自身の仕事部屋に入ってドアの鍵を閉め、自らを孤独な状況へと追いやってしまった。本作の物語は、そのたった一つの部屋の中で展開する。

トーマスの仕事部屋、つまり本作のゲーム画面は、タイトルの『Indygo』とかけているのか、白いキャンバスに藍色(インディゴ)一色で鉛筆画のようなスタイルで繊細に描かれているのが印象的だ。ほの暗い雰囲気なのはアートスタイル上の理由からだけではなく、彼の目を通して見た世界を表現しているのだろうか。またサウンドトラックにも、本作の世界観に深みをもたらす役目があるという。

ゲームでは、プレイヤーはカーソルを動かして反応を示した場所を調べていく。それによってトーマスの日記や、誰かから送られてきた手紙を読むことができるほか、さまざまなパズル要素を発見したり、なんらかの決断を迫られることにもなるという。彼の日記には過去の思い出を振り返ったり、現在の精神状態を感じ取れる内容が綴られており、また部屋の中にあるパズルのヒントとなる記述もある。トレイラーでは、集めた鏡の破片をメニューから呼び出して組み合わせようとする様子が確認できる。

トーマスにはアンナという恋人がおり、仕事部屋に閉じこもってしまった彼の世話をしている。トーマスもアンナも、このような状態を永遠に続けることはできないことは理解しており、彼はそろそろ終わらせなければならない頃だと感じ始めていた。その背中をそっと押すのはプレイヤーの役目となる。どのような物語が展開され、いかなる結末を迎えるのかは、要所要所でのプレイヤーの決断によって枝分かれしていく。そして、そのたびに部屋の中の様子が変化していくという。

本作は、うつ病を患う人物を主人公としているが、単なるキャラクター付けのためにそうしているわけではない。ゲーム内で発見できる手紙にはトーマスが専門医とやりとりしたものもあり、プレイヤーはそれを読むことでうつ病とはどういうものなのか、どのような治療方法があるのかなどを学ぶことができるという。またゲームのメニュー画面には、実際うつ病に悩む患者やその家族の助けになってくれる団体の連絡先が記されるとのこと。

Pigmentum Game Studioは、うつ病の患者をゲームを通じて描くことには多くの課題があるが、うつ病は誰にでも起こりうることで、また周りの多くの人に影響を与えることになると述べており、本作には教育的・予防的な役割を持たせたいとしている。この『Indygo』は現在Steam Greenlightに登録されており、十分な支持が集まった場合、今年の第2四半期に発売予定だ。価格は5ユーロ(約600円)程度になるだろうとしている。

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