カメラの再生・巻き戻し機能を使って謎を解き、敵を撃退する一人称視点のサイコロジカル・ホラー『TAPE』開発中

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発売前や登場したばかりのインディーゲームから、まだ誰も見たことがないような最前線の作品を紹介してゆく「Indie Pick」。第503回目は『TAPE』を紹介する。

本作はUnreal Engine 4を採用した一人称視点のサイコロジカル・ホラーゲーム。主人公Erinは、姿を消した父の身に何が起きたのかを解き明かすため、自らの記憶の奥深くへと潜り込む。彼女の前に映るのは、無人の病院。そこで手にした旧式の8mmカメラを覗き込み、焦点を合わせたオブジェクトの時間軸を巻き戻したり早送りすることでパズルを解いていく。Erinの記憶を遡行させようと襲いかかる黒い浮遊物体「The Incorporeal」から身を隠し、真実へと近づくのだ。

※デモ版のプレイスルー動画

カメラの再生・巻き戻し機能を使った時間操作メカニックが本作の軸となっている。プレイヤーは破壊されたドアの時間を巻き戻すことで修復したり、止まったオルゴールをレンズ越しに再生することで音色を響かせたりと、記憶に介入していくことになる。カメラは防衛手段でもあり、巻き戻し機能を使用することで宙に漂う煙状の存在を遠ざけることができる。ただしカメラのフィルムは定期的に交換する必要があり、その際に生じる物音が敵を引き寄せてしまう。残量に注意し、敵から離れた安全な場所で交換することが好ましい。

レンズを通すことで浮かびあがる文字、振り返ると突然現れる扉、ループし続ける廊下など、限られた屋内空間を利用したホラー演出が目立つ『TAPE』。絵画がびっしりと飾られた部屋や、ビデオテープに残された父の言葉など、この奇妙な世界には意味深な記憶の断片が並んでいる。Erinの記憶は、一体彼女に何を語りかけようとしているのだろうか。

廊下を塞いでいる椅子の時間を巻き戻して退ける
ドアを交換すると、異なる部屋にたどり着く

写真機・撮影機というのは、ホラーゲームのギミックとして相性が良いのだろう。対悪霊装置として射影機を使用する『零』シリーズ、スマートフォンや一眼レフカメラで亡霊を撃退する『DreadOut』、ビデオカメラの暗視モードを頼りに暗闇を進む『Outlast』、心霊現象を撮影して亡者の声を聞く『Sylvio 2』、ポラロイドカメラにより肉眼では見れない超自然現象を浮き彫りにする『MADiSON』など、さまざまな作品が恐怖体験のかなめとしてカメラを用いてきた。本作はそうした「カメラ x ホラー」の系譜から少しずつヒントを得ているように感じられる。

学生プロジェクトとして始まった本作は、現在スペインのインディーデベロッパー「BlackChiliGoat Studio」が開発を進めている。影響を受けた作品として挙げられているのは『SOMA』や『サイレントヒル』。カメラを媒介してパーソナルな物語を紡ぐ『TAPE』の、「パーソナル」なストーリーテリングは、たしかに上記タイトルを参考しているように見受けられる。この内的な物語と、カメラの再生・巻き戻し機能を使ったギミックがどこまで発展して行くのか、今後の行方に期待したい。

霊的存在にフォーカスして時間を巻き戻す

スペイン産のサイコロジカル・ホラー『TAPE』の無料デモ版はitch.ioよりダウンロード可能。PlayStation 4向けのプロジェクトであるため、コントローラでの操作が推奨されている。

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