『Invisible Munky 2』見えないから面白い

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Mobile Pickは、ここ数日の間に発売されたモバイルゲームのなかから光る何かを・際立つ要素を・特筆すべきものを(・場合によっては目に余るデキを)持つタイトルを紹介する連載。第31回では、姿が見えないサルが主人公の『Invisible Munky 2』、ヒーラーにフォーカスしたシンプルRPG『Healer Quest』を紹介する。

 

『Invisible Munky 2』

ここのところ、目の見えない人物を主人公としたゲームが話題になることが多い。2013年のLudum Dareで誕生した「音を立てて周囲を見る」ミニマルゲーム『Dark Echo』をはじめ、ホラーアドベンチャー『Perception』、同じコンセプトの『Blind』、盲目の少女が友達の猫を探す『Beyond Eyes』などなど。

では、主人公の姿が見えないゲームはどうだろうか。ここで紹介する『Invisible Munky 2』は、サルを操作してバナナを集めるといういたってシンプルなゲームである。しかし困ったことに、サルの姿が見えないのだ。開発を手がけたのは、自身のホームページGamejoltなどで数々の奇作を公開しているJames “Jayenkai” Gamble氏。iOS版のみ有料で販売されており、価格は120円。Android版はこちらからapkファイルをダウンロードできる。

操作方法はわかりやすく、画面左下を左右にフリックすればサルが移動する。そして、画面右下にはジャンプと岩を投げるボタンが配置されている。ゲームの目的は、島のあちこちにあるバナナを集めること。各ステージにある赤いゲートをくぐればクリアとなるのだが、次のステージへ進むためには、ほぼすべての敵を倒さなければならない。

『Invisible Munky 2』の特徴は、なんといっても「主人公が透明」であることだ。とはいえども、ゲームの進行が不可能になってしまわぬよう、サルの居場所を教えてくれる赤い矢印が画面に表示される。遊び始めのころは、主人公が矢印なのではないかと感じるだろう。

姿が見えないということは、サルの体の大きさなども確認できない。身長はどれぐらいなのか、ジャンプしたときに体のポーズは変化しているのか、いわゆる当たり判定がわからないのだ。そのため、高い位置にあるバナナを取ろうとジャンプしても、なかなか触れることができない。別の足場に飛び移るときも、素早く動くトラップを避けるときも、赤い矢印によってある程度の位置はわかるのだが、距離感などがつかみにくい。それでも、先に進むほど感覚が研ぎ澄まされていき、サルの大きさをイメージできるようになるから面白い。

 

『Healer Quest』

『Healer Quest』は、RPGでおなじみのクラス「ヒーラー」にフォーカスしたゲームである。iOSAndroidどちらも無料で配信されている。開発を手がけたのは、ベルギー在住のデベロッパーPablo Coma氏。

落ちこぼれだったヒーラーのJimmyが、強力な魔力を持つ「wand」を手に入れ、タンクやローグといったパーティメンバーを誘い冒険に出発する。冒頭で述べたように、本作はヒーラーにフォーカスしており、プレイヤーにできることはスペルを使った「回復」や、身体能力を上昇させるバフなど。攻撃手段は持っておらず、全滅しないように仲間のHPと自身のMPを管理しながら戦う。

やみくもにHPを回復すればいいというわけではない。たとえばアーチャーは、ほかのメンバー(Jimmyを除く)が死んでしまった場合に効果を発揮するアビリティを持っており、ウォリアーはHPが30%より少なくなったときのみ特別な攻撃を繰り出すようになる。戦況を考えて、あえて回復を遅らせることも重要なのだ。

また、仲間のHPだけに気をとられていると、自身のMPが枯渇してしまうので注意が必要だ。MPがゼロになれば当然ながら魔法を使えなくなり、全滅の可能性がとても高くなる。そうならぬよう、味方の状態がそれほど悪化していないうちに、MPの自然回復を促進する「Meditate」をこまめに詠唱するといいだろう。

似た作品をあげるとすれば、2013年にリリースされたiPad専用タイトル『Healer: A Light in the Darkness』だ。これもまたヒーラーに特化したゲームである。『World of Warcraft』を意識しており、Azerothを駆け回った人にとってはお馴染みのスペルを駆使し、レイドボスの討伐を目指す。スペルの種類が豊富な反面マナの管理が難しく、MMORPGのヒーラーに近いゲームプレイを楽しめた。それに比べると、シンプルな『Healer Quest』はどこか物足りなさを感じてしまう。ただ、見た目のかわいらしさや、思わずほほえんでしまうキャラクター同士のやりとりなど、本作ならではの良さもたくさんある。

無料でダウンロードできるので、ヒーラーの苦労を一度は味わってみたいという方はプレイしてみてはいかがだろう。

 

2作品しか紹介していないのだが、第31回Mobile Pickの最優秀作品を選ぶとすれば、迷わず『Invisible Munky 2』である。「姿が見えない」こと以外は、いたって平凡なアクションゲームだが、感覚で遊ぶという点は新鮮に感じられた。PCゲーマーの方はGamejoltで、iPhoneゲーマーの方はJames “Jayenkai” Gamble氏の雰囲気をつかむためにまずは無料の『SpikeDislike2 Lite』を、Androidゲーマーの方は公式サイトのゲームリストからダウンロードして遊んでみてほしい。

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