給料の未払い問題がささやかれていた「Crytek」5つのスタジオを閉鎖へ。2つのスタジオに組織を集約しIP開発に専念


ドイツのゲーム企業「Crytek」は、同社の将来的なプランに関する発表を公式サイト上で行い、2つのスタジオへと組織を集約することを明らかにした。「Crytekにおけるほかの全開発スタジオは残らない」予定とされており、5つのスタジオが閉鎖されることとなる。Crytekではここ半年間で給料の未払いが発生しているとの噂が浮上し、従業員たちがインターネットやメディアを通じて問題を訴えていた(参考記事)。

発表によれば、Crytekはドイツのフランクフルトスタジオとウクライナのキエフの2つのスタジオに集中し、“プレミアムIP”の開発に専念するという。同社のゲームエンジン「CryEngine」は依然としてCrytekの戦略の大黒柱として残り、今後もアップデートを通じてライセンス事業や独立系開発者の利用促進を企てる。

一方で上記2つ以外のスタジオに関しては事実上の閉鎖宣言がなされており、Crytekは従業員の再就職や移行が問題なく進むよう尽力する予定だと伝えている。Crytekにはこの発表前まで、「Crytek Black Sea」「Crytek Istanbul」「Crytek Seoul」「Crytek Shanghai」「Crytek Bdapest」5つのスタジオが存在した。特に「Crytek Bklack Sea」は2008年にCrytekによって買収されたスタジオで、2015年からMOBAタイトル『Arena of Fate』を開発していたことで知られるが、同タイトルに関する今後の発表はなされていない(なお今年9月には同作のゲームディレクターVesselin Handjev氏がすでに退社していた)。

Crytekの今回の発表では、給料の未払い問題について触れられていない。同社の設立メンバーの1人Avni Yerli氏は、「今回のような移行は到底容易なものではありません。それぞれすべてのスタッフ――過去と現在をふくめて――に、Crytekのために献身的に努力してくれたことを感謝したいと思います」と伝え、Crytekが今後も世界的に躍進するスタジオとなることをアピールしている。