『Overwatch』カスタムマッチを悪用した無限XP稼ぎに公式が警告、チート行為とみなし処罰対象に


Blizzard Entertainment(以下、Blizzard)は8日、チーム対戦型FPS『Overwatch』(オーバーウォッチ)のカスタムゲームを悪用して何もせずに経験値を稼ぐファーム行為を、規約違反とみなし処罰の対象とする姿勢を明らかにした。先日、カスタムゲームブラウザで意図的にゲームを放置することで、試合終了後にもらえる経験値を延々と稼ぎ続けるファーム行為が多数報告され、コミュニティ内で議論の的になっていた。こうした中身のないカスタムマッチが乱立するという異常事態を受けて、本来の目的から外れた利用方法の蔓延に運営側が歯止めをかけた形だ。不正行為がなくならない場合は、カスタムゲームサーバーから経験値報酬という概念そのものが消えることとなる。

 

仕様が改悪されるかどうかはユーザー次第

『Overwatch』は、おもに6人ずつのチームに分かれて計12人でオンライン対戦が楽しめる一人称視点のMOBA系アクション・シューティング。Blizzard EntertainmentがWindows/PlayStation 4/Xbox One向けにリリースした十数年ぶりの完全新規タイトルである。多種多様な武器や装備、特殊能力を操るヒーローが特徴で、キャラクターによって得意分野や役割分担が大きく異なる。今月はじめ、カスタムゲーム用のサーバーブラウザが全プラットフォーム向けに正式導入されたことで、マップおよびルール内容、キャラクターやスキルごとに細かな仕様が変更できるようになった。また、パブリックに設定されているカスタムマッチにはロビーから誰でも参加できる。それぞれのチーム人数を非対称に設定したボスバトルや、チーム別に使用できるキャラクターを固定した特殊ルールなど、さっそくユニークな遊び方で賑わっている。

特筆すべきは、カスタムマッチでも通常のゲームプレイと同様に試合終了時の経験値が得られるという点だ。経験値を取得するだけなら試合内容は関係ないので、何もしなくてもゲームが終われば蓄積されていく。なお、通常のクイックプレイやランクマッチでは、一定時間を超えて何も入力されない状態が続くと試合放棄とみなされ自動的にキックされるが、これまでカスタゲームサーバーは例外だった。先日、この仕様を悪用した無限稼ぎ行為、いわゆるファーム目的のカスタムマッチが乱立され、コミュニティや海外メディアを中心に議論の的になった。これを受けて『Overwatch』のゲームディレクターJeff Kaplan氏は、公式フォーラムの専用スレッドにて自身の見解を投稿。すでに運営側は状況を把握しており、該当行為を不正対象と判断する姿勢を明らかにした。

今後、カスタムマッチのタイトルなどから明らかにファーム行為が目的であると判断された場合、作成者を含めたすべての参加ユーザーは利用規約の違反対象としてアカウントを永久に凍結される。Kaplan氏は、該当行為を発見した際はすみやかに運営チームへ通報するように呼びかけている。なお、Blizzardはチート行為に対して無慈悲な制裁を下すフェア精神に定評があり、一度でもアカウントをBANされたユーザーはたとえゲームを買い直したとしても問答無用で何度でも追放される。こうしたユーザー管理を徹底するために、冗談のつもりでもカスタムマッチにファーム目的を示唆するようなタイトルを付けないでほしいと、Kaplan氏は注意喚起している。

それに伴い、ファーム行為に対する防止施策の一環として、カスタムゲーム内のスカーミッシュモードに限りAFK(Away From Keyboardの略、離席状態のこと)タイマーが設置されることが決定した。なお、必要以上の規制は多くの善意あるプレイヤーを阻害してしまいかねないことから、カスタムマッチにおけるプレイヤー経験値は現状廃止せず、しばらく様子をうかがうとの対応に留まった。この件についてKaplan氏は、運営チームが取るべき手段をコミュニティの手に委ねたいと述べており、まずはユーザー自らが積極的に状況改善へ貢献することを求めている。ファーム目的の部屋は作成しないこと。発見しても参加しないこと。違反者を運営に報告すること。コミュニティにできるのは以上の3点だ。近いうちに『Overwatch』のカスタムゲームから経験値報酬そのものがなくなってしまわないことを願いたい。