『Overwatch』チートツール販売元に運営側が850万ドルの損害賠償を求める、被告不在の欠席裁判へ

Blizzard Entertainment(以下、Blizzard)は、複数の同社製品向けにチートツールを開発・販売する独企業Bossland GmbH(以下、Bossland)を著作権侵害および不正競争の理由で昨年提訴していた件について、被告側が裁判所の呼びかけに応じる姿勢がないことから被告不在の欠席裁判へ踏み切った。米国内のユーザーへ向けた4万件を超えるチートツール販売に対して、850万ドルの損害賠償を求めている。BlizzardとBosslandの法廷闘争は今回で2度目。昨年はじめにドイツ国内で起こされた『Heroes of the Storm』のボットをめぐる訴訟ではBosslandが勝訴している。今回は被告不在の欠席裁判とあって原告有利の判決が下されることは明白だが、要求どおりの賠償金が支払われる保証はない。

 

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被告が賠償金以上の収益を得ているとも

Bosslandは、主に『World of Warcraft』や『Hearthstone』『Heroes of the Storm』『Overwatch』といったBlizzard社のゲーム向けに、不正外部プログラムの開発を数多く手がけるドイツのソフトウェア開発会社。中でも『Overwatch』で障害物の向こう側にいるプレイヤーの位置や残り体力といった、通常の仕様では見えない情報を可視化できるチートツール「Watchover Tyrant」は、同作におけるチート行為が短期間で広く蔓延する要因になったと言われている。『Overwatch』が正式リリースを迎えた当初の段階で数千人のプレイヤーによる使用が報告された。これを受けてBlizzardは昨年7月、複数のケースにおける著作権侵害、不正競争、およびデジタル・ミレニアム著作権法に基づく迂回商行為活動の禁止条項に抵触するとして、カリフォルニア連邦地方裁判所に訴訟を申し立てた。

しかし、Bossland側は米国と関わりがない同社に対してカリフォルニア連邦裁判所に司法権はないと主張。そのまま不起訴に持ち込もうとするも、裁判所が手続きを進めるや否や音信不通になり、24時間以内の返信を呼びかけた最後通告も無視したまま、現在にいたるまで沈黙を守っている。この事態にBlizzardは被告不在の欠席裁判へ踏み切ったというわけだ。著作権に関する情報を扱う海外メディアTorrentFreakによると、Bosslandは2013年7月から11万8939件の自社製品を米国内のユーザーに販売しており、そのうち最低でも36パーセントがチートツールだったとBlizzard側は主張している。つまり4万2818件が同社の著作権に抵触していることになる。本件についてBlizzardは、1件につき最低200ドル、計856万3600ドルの法的賠償をBosslandに請求している。

『WoW』で有名なボットツール「Honorbuddy」
Image Credit: TorrentFreak

Blizzardは告訴状(リンク先はPDF)の中で、Bosslandが欠席裁判に持ち込んだのは計算された戦略だと主張。アメリカ合衆国の司法が介入することで同社ビジネスの全容を解明させない意図があると説明している。また、Bosslandのチートツール販売による収益は、Blizzardが求める賠償金をはるかに超えているのではないかとも伝えている。ちなみに、昨年はじめにドイツ国内で起こされた『Heroes of the Storm』のボットをめぐる訴訟ではBosslandが勝訴しており、原告のBlizzard側は弁護士費用を含めた法的費用の一切を負担するよう裁判所から命じられた。今回の訴訟は、原告が欠席裁判に踏み切ったことでBosslandに不利な判決が下される可能性が高いが、Blizzardの要求どおりに賠償金が支払われる保証はない。

先日には、『League of Legends』向けの外部ツールを提供するコミュニティサイト「LeagueSharp」が、ゲーム運営元Riot Gamesによる訴訟を受けて、同サービスの開発とサポートを終了すると発表する事案があった。これは昨年8月にRiot Gamesが著作権侵害および規約違反の蔓延を理由に「LeagueSharp」の管理人を提訴したことが発端で、世界最大と言われた『League of Legends』のチートコミュニティへついに終止符が打たれた。競技性の高いオンラインゲームが普及する背景には、必ずと言っていいほど不正行為を可能にする専用ツールの供給者が暗躍しており、以前にもEpic Gamesが『Paragon』のチートツールを提供していたドイツ人ユーザーを提訴したことがある。また、こうした外部プログラムの中には悪意のあるスパイウェアが仕込まれている事例も少なからず報告されており、過去にはインターネットセキュリティの専門家がトロイの木馬の検出例を挙げて警鐘を鳴らしていた。

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