その輝きは未だ褪せず。『LoL』欧州トップリーグEU LCS夏の観戦ガイド

シーズン半ばの区切りとなる国際大会「Mid-Season Invitational」も終わり、5月末より世界各地で続々と夏スプリットが始まっている。欧州の公式トップリーグである「Europe League of Legends Championship Series(EU LCS)」も、いよいよ日本時間6月2日0時より開幕だ。本記事では今年春~MSIでの欧州シーンを振り返りつつ、夏以降の模様を見ていく。

欧州の春スプリットでは大きな地殻変動があった。最大の変化としては、入れ替え戦でOrigenとGiantsが脱落し二部リーグへと降格したことだろう。もともとGiantsは伝説的プレイヤーxPeke選手のフォロワーたちが集ったチームであり、Origenの創設者はそのxPeke選手その人。かつての栄光はもはや続かず、それを追うフォロワーたちも夢破れて一部リーグより姿を消すこととなった。名門Fnaticも昨年後半からの迷走が続く状況だが、逆に言えば韓国人選手を擁さずにじっくりと立て直しを図っているといえる。一方でG2はMSI準優勝という結果をもってついに内弁慶の汚名を返上し、欧州の国際競技レベルと自らの価値を証明した。新興チームとしてはMisfitsが活躍し、昨年Origenで不遇の期間を過ごしたミッドレーナーのPowerOfEvil選手が生き生きとプレイする姿が見られた。春の公式試合を糧にするためにも、春夏間のメンバー変更は少ない傾向があるが、それでもメンバー変更を行うチームもある。この夏は一体誰が、一体どのチームが、栄光を勝ち取るのだろうか。

スポンサーリンク

欧米のトップリーグでは初めて2グループ制を導入したEU LCS。春スプリット直前の各チーム紹介記事もご覧いただいた上でぜひ楽しんでいただきたい。

 

G2 Esports

画像出典:LoL Esports Photos Flickr

・EU LCS 2017 Spring Split グループA 1位
・EU LCS 2017 Spring Playoff 優勝
・Mid-Season Invitational 2017 準優勝

EU LCS参戦以来、欧州のトップを独占し続ける新たなる王者。昨年はLCS初参戦にして、EUの春夏制覇を成し遂げた。一方で国際大会での結果が振るわなかったため、地域の競技レベルを示すという点では期待された結果を得られたとは言えなかった。しかしながら、今年は盤石の強さで春を制し、さらには地域間国際大会であるMSIにおいても決勝まで進んで欧州の実力を証明してみせている。もちろん春からのメンバー変更は無し。MSIでの勢いそのままに2度目の春夏完全制覇へ向けた戦いに臨む。

※春からのメンバー変更はないが、第1週は韓国人のExpect選手(トップ)とTrick選手(ジャングル)が帰国中のため、それぞれのポジションをサブであるSend0o選手とloulex選手が務める。

 

Unicorns of Love

画像出典:LoL Esports Photos Flickr

・EU LCS 2017 Spring Split グループB 1位
・EU LCS 2017 Spring Playoff 準優勝

独自のファンサービスで人気を博すUoL。組織としての実力も年々向上しており今シーズンはBグループ首位を見事獲得している。プレイオフでもG2にこそ敗れたものの、トーナメント決勝まで勝ち上がりその実力を見せつけた。夏シーズン開始前に公開された動画では「G2の化けの皮を剥がしてやる!」と強い意気込みを見せている。今期は初の世界大会出場、欧州制覇が目標となるだろう。

※春からのメンバー変更なし

 

H2k Gaming

画像出典:LoL Esports Photos Flickr

・EU LCS 2017 Spring Split グループB 2位
・EU LCS 2017 Spring Playoff 5~6位

欧州における無冠の強豪、それがH2kだ。常に上位に迫る実力を持つものの、タイトルを直接手にしたことがないまま現在に至っている。とはいえ、昨年G2が世界大会で実力を十分に発揮できなかった中、ベスト4まで残って欧州のプライドを守ったのは彼らなのだ。今シーズンは不動のミッドレーナーだったRyu選手を失ったものの、欧州有数の技術を誇るFebiven選手を新たに獲得した。僅差で2位に終わったものの、強豪としての地位を確かに保っている。メンバーの変更は春の時点ですでに完了しており、今回は特に入れ替え等は行わずに夏シーズンへと臨む。前に立ちふさがる敵は多いが、今度こそ頂点を手にする戦いを期待したい。

※春からのメンバー変更なし

 

Misfits

画像出典:LoL Esports Photos Flickr

・EU LCS 2017 Spring Split グループA 2位
・EU LCS 2017 Spring Playoff 4位

2017シーズンからEU LCS参戦の新チームだが、H2kのJankos選手から「ファーストブラッドキング」の異名を奪ったKaKaO選手や、かつてUoLの中核として活躍したPowerOfEvil選手らの見事な活躍によりAグループ2位を獲得した。プレイオフではFnaticに煮え湯を飲まされる結果となったが、夏シーズンの制覇は世界大会出場に直結している。春シーズン後の移籍市場でKaKaO選手を失ってしまった一方で、韓国ブートキャンプでレベルアップを果たしたと豪語するこのチーム。この夏に総力を挙げて勝利し、全てを手にすることができるだろうか。

・ジャングル:KaKaO(脱退)→Maxlore(ROCCATより移籍)

 

Splyce

画像出典:LoL Esports Photos Flickr

・EU LCS 2017 Spring Split グループB 3位
・EU LCS 2017 Spring Playoff 5~6位

EU LCSチームとしては新興でありながら、最下位グループから一気に飛躍することに成功、昨年の世界大会出場経験もある侮れないチーム。韓国人選手に頼らず、またメンバー変更をほとんど行わずに戦い続けており、昨シーズンの世界大会出場メンバーのまま今シーズンも戦いに臨む。春季までチームを率いていた名コーチとして知られるYamatoCannon氏の移籍による影響が気になるところだが、上位争いに食い込んで大いにシーンを沸かせて欲しい。

・ヘッドコーチ:YamatoCannon(脱退、Vitalityへ移籍)→Gevous(ブラジルRED Canidsより移籍)

 

Fnatic

画像出典:LoL Eports Photos Flickr

・EU LCS 2017 Spring Split グループA 3位
・EU LCS 2017 Spring Playoff 3位

2015シーズンの圧倒的な勝利以降、主力の移籍に伴い苦しい戦いを強いられているのがFnaticだ。昨年はHuni選手とReignover選手の脱退の影響を脱せず、世界大会出場を逃すことになってしまった。タレントの発掘は続けており、春シーズンから参入しているCaps選手など個々の技術にさほど問題は無いように見えるのだが、なかなか結果は出ていない。かつてのSK gamingやElements(現FC Schalke 04)のような道程をなぞってしまうのか、あるいは2015シーズンのように再び栄光の座を取り戻すのか、組織の全てが試される夏が始まろうとしている。

※春からのメンバー変更なし

 

Team ROCCAT

画像出典:LoL Esports Photos Flickr

・EU LCS 2017 Spring Split グループA 4位

シーズン毎に大きくメンバーが入れ替わり、苦しい戦いを続けているのがROCCATの現状だ。現在1年以上このチームに在籍しているのはMidのBetsy選手のみで、メンバーは春シーズンからのPhaxi選手・Hjarnan選手・Wadid選手に夏から加わったPridestalker選手というラインナップとなった。勝てないチームに欠けているものを探すというのは簡単なことではないが、その何かを見出さない限り今期も降格争いの一員となってしまう可能性は高いだろう。

・ジャングル:Maxlore(脱退、Misfitsへ移籍)→Pridestalker(Misftis Academyより加入)

 

Team Vitality

画像出典:LoL Eports Photos Flickr

・EU LCS 2017 Spring Split グループB 4位

Team VitalityはベテランのNukeduck選手やSteelback選手、強力なキャリータイプのトップレーナーであるCaboshard選手を擁しており、粒ぞろいのメンバーではありながらも結果が安定せず、春はプレイオフ進出を逃す結果に終わってしまった。世界大会出場のためにはリーグ制覇、あるいはプレイオフでの上位達成にくわえて地域選抜を勝ち抜く必要があり、いずれにせよ実力でもって障害の全てを排除しなくてはならない。今夏は名将と謳われるYamatoCannon氏をコーチに迎えて新たなステージを目指す。

・サポート:Hachani(脱退、改名して韓国Ever8 Winnersへ移籍)→VandeR(Schalke 04より移籍)
・コーチ:Irean(脱退)→YamatoCannon(Splyceより移籍)

 

Ninjas in Pyjamas(旧名Fanatic Academy)

画像出典:@NiPGaming

・EU LCS 2017 Summer Promotion 昇格

リーグ黎明期から観戦している古参ファンにとっては懐かしい名前のチームが帰ってきた。現在は北米トップチームのTSMに所属するBjergsen選手、Svenskeren選手なども所属していたのがこのNiPだ。チームは一度LCSから降格して休止状態になっており、今回はFnatic Academyの参加枠を買い取ってのLCS参加となった。さまざまな事情があってメンバーや組織は昇格時から完全に一新されている。一方で、入れ替わったメンバーにはなんとSKTのサブトップレーナーを務めていたProfit選手や、KT Rolster出身のNagne選手、全盛期のAllianceでジャングルを務めたShook選手などが揃っており、夏の欧州を揺るがす台風の目となる可能性を秘めている。

・トップ:キム “Profit” ジュニョン / Benjamin “Zhergoth” Sánchez / クォン “M1RAGE” ノフン
・ジャングル:Ilyas “Shook” Hartsema
・ミッド:キム “Nagne” サンムン
・ADC:Martin “HeaQ” Kordmaa
・サポート:Hampus “sprattel” Abrahamsson
・ヘッドコーチ:Nicholas “NicoThePico” Korsgaard

 

Mysterious Monkeys(旧名Misfits Academy)

画像出典:@MonkeysGER

・EU LCS 2017 Summer Promotion 昇格

2016年はチャレンジャーシリーズを戦ったものの昇格できず、以降ESL系列の大会に参加していたアマチュアチームが、Misfits Academyの参加枠を購入しての参戦となったチーム。選手はEURONICS Gamingという別組織からまるごと引き抜いたメンバーとMisfits Academyの選手との混合チームになっている。新しいチームの常として一部リーグの洗礼が待ち受けるが、過去の例からもEUの昇格チームは決して侮れない。新チームの戦いに注目してみよう。

・トップ:パク “Jisu” ジンチョル / Christian “Phones” Sieg
・ジャングル:Leon “Lamabear” Krüger / Lukas “Inition” Otter
・ミッド:Sofyan “CozQ” Rechchad
・ADC:Florent “Yuuki60” Soler / Sander “Kitty” Everink
・サポート:ハン “Dreams” ミンコク
・ヘッドコーチ:Petar “Unlimited” Georgiev

 

開催・配信情報

EU LCSの開催地はドイツ・ベルリンにあるLCSスタジオ。時差はJST-7であり、現地時間17時の試合開始時刻は日本時間の24時となる。基本的なスケジュールは木・金・土の深夜にBo3(2本先取)が2対戦ずつとなっている(日曜深夜に試合がある週も一部存在)。公式サイトLoL eSportsYouTube公式チャンネルにて、6月1日夜24時より配信開始予定だ。

そしてグループ制はこの夏も引き続き採用されている。下画像がドラフトによって決まった夏スプリットのグループ分けとなる。

再度ドラフトが行われたものの、春スプリットとほとんどグループ構成は変わっていない。新規昇格チーム以外は春と同じグループを選んでいる。このグループ分けにどういう意味があるかというと、チーム同士の対戦数に大きな影響がある。基本的にトップリーグのレギュラーシーズンは総当たり戦だが、EU LCSのグループ制では同グループ内チーム同士の総対戦数が2回なのに対して、別グループのチームが対戦するのは1回のみとなる。グループ分けは前スプリットの成績が良かった順に互いのグループに入るチームを指名して行われるため、つまり別グループのチームというのは「こいつとはあまり戦いたくない」意識があるということなのだ。とはいえそういった意識が春夏で変わらないというのも、観戦者としてはあまり面白くない。各グループに1つずつ配置された新規昇格チームがトリックスターとなって状況を大いにかき回してくれないだろうか。

革新的なメタの発信地としての歴史が長い欧州だが、毎年の公式世界大会では2011年以来、準決勝より先に駒を進めることのできたチームがいない実情もある。色褪せない輝きを新しく、今年こそはもっと強いものに──よりいっそう熾烈になる戦いは、ファンを大いに楽しませてくれるにちがいない。

ニュース

Indie Pick

インタビュー

レビュー・インプレ

Devlog