『ニーア オートマタ』PC版特有の不具合はいまだクライアント側で修正されず、非公式Modが奮闘中

5月末には世界累計出荷・ダウンロード販売本数が150万本を突破したと報告された『NieR: Automata(ニーア オートマタ)』。Steamサマーセール期間中には再びセールス上位に浮上しており、SteamspyのデータによればPC版の所有者は50万人近くにもおよぶ。オリジナル・サウンドトラックに関しても、タワーレコードの2017年上半期チャートにてアニメ(総合)部門1位に輝いており売上は好調のようだ。

そうした明るい話題に埋もれてしまいがちなのが、PC版(Steam)のアップデート事情である。3月18日のリリース以降、PC特有の不具合を解消するためのアップデートが一度も配信されていないのだ。PC版『ニーア オートマタ』の不具合状況をこまめに追ってきた海外メディアのDSOGamingは、本作以降にリリースされた『Vanquish』および『Bayonetta』のPCポートについては既にパッチが配信されているのに対し、PC版『ニーア オートマタ』に関しては3か月半ものあいだ音沙汰がない点を改めて指摘している。もちろん、『Vanquish』『Bayonetta』と『ニーア オートマタ』ではパブリッシャーが異なるという大きな違いがある。『Vanquish』のPCポートはプラチナゲームズではなくLittle Stone Softwareが担当しているということも挙げておきたい。

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セガがパブリッシングを担当する『Vanquish』では、5月26日のリリース以降、継続的なアップデートが続いている

PC版『ニーア オートマタ』が抱える問題については、Redditのスレッドにてまとめられている。例としては、フルスクリーン時に正しい解像度にて表示されない問題、不安定なフレームレート、キーボード/マウス操作への最適化不足などが挙げられている。6月にはAMDのドライバー・アップデートにより一部環境にてスクリーンが真っ白になる現象や、ゲームを開始してから短時間でクラッシュしてしまう問題などが解消されているものの、リリース当初から指摘されてきた問題の多くは、いまだ公式には修正されておらず、対応目処に関する情報も発信されていない。

幸いなことに、本作には問題のいくつかを解消する非公式のコミュニティModが存在する。とくに有名なのが、Kaidaien氏を筆頭に有志メンバーが作成したFAR Modである。アップスケーリングの問題を修正するほか、フレームレート固定、低スペックPCでのパフォーマンス改善などに対応している。互換性の問題が生じる可能性はあるものの、Modなしのバニラ版では快適にプレイできないユーザにひとつの選択肢を与えてくれる。FAR Modは、ゲーム内エフェクトのクオリティを向上するオプションを用意したり、海賊版でプレイしているユーザに対してはゲームの起動を防止したりと、もはや公式パッチ要らずと思えるほどの機能追加を重ねている。海賊版への処置に関しては賛否があるが、モラルの問題ではなく、ModがDLCの不正ダウンロード用ツールとして使用されることを防止するという意図がある。

SteamSpyによると所有者数はSteamサマーセール期間だけで10万人増加。アップデートがなくともセールスを順調に伸ばしている

ヨコオタロウ氏がインタビューや公式生放送で言葉にしてきたように、本作にはAAA級タイトルのような予算が与えられてきたわけではなく、DLCを開発するリソースも限られていたことが知られている(参考動画:PAX East 2017 Q&A)。数字に直結するDLCの開発すら困難だったのであれば、メインプラットフォームではないPC版のアップデートは言わずもがなだろう。現在プラチナゲームズがアップデート対応を進めていたとしても、優先順位を上げられるほどには工数を割けないのではないだろうか。PlayStation 4版に関しても、4月27日に配信されたDLC準備用のパッチ1.08を最後にアップデートはされていない。

とはいえ、不満を抱えているユーザからすれば企業側の都合は知ったことではない、ということになるし、その不満を緩和するためのパブリッシャーからの情報発信が乏しいため「見捨てられた」と思われても仕方がない。ただ本作は、不具合を修正しなくとも売上を伸ばせるだけの力があるコンテンツであるがゆえに、不具合に出くわしたPCユーザの声は通りにくい。非公式Modを導入しなくとも快適にプレイできる状態がベストとはいえ、現状はコミュニティに頼るのが最善策ということになる。そうした状況に追いやられた作品において、有志のMod作成者が集っているというのは嬉しい傾向であり、不幸中の幸いと言えるだろう。

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