新作『クラッシュ・バンディクー』はジャンプが激ムズ、その理由は落下速度と足の当たり判定に

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先月末に北米で先行発売されたアクションゲーム『Crash Bandicoot N. Sane Trilogy』(邦題:クラッシュ・バンディクー ブッとび3段もり!)において、キャラクターがジャンプした際の挙動をコントロールするのが極端に難しいと、フォーラムサイトを中心に議論の的になっている。その原因は、空中からの落下速度がリマスター前と比べて速いというだけでなく、ゲームエンジンが既定で使用している足部の当たり判定にあるようだ。

『Crash Bandicoot N. Sane Trilogy』は、ソニー・インタラクティブエンタテインメントから6月30日に北米で発売されたPlayStation 4向けのアクションゲーム。過去にNoughty Dogが開発した三部作『クラッシュ・バンディクー』『クラッシュ・バンディクー2 ~コルテックスの逆襲!~』『クラッシュ・バンディクー3 ~ブッとび!世界一周~』をリマスターして1本にまとめた作品で、Vicarious Visionsが移植を手がけている。当時の開発コードが現在の環境では使用できないという理由から、原作を忠実に再現しながらもゲームプログラムはほとんど一から作り直されている。国内向けには『クラッシュ・バンディクー ブッとび3段もり!』として、8月3日の発売を予定している。

本作では陽気なダンスでお馴染みの主人公クラッシュに加えて、『クラッシュ・バンディクー3 ~ブッとび!世界一周~』にも登場した彼の妹「ココ・バンディクー」が、三部作の全編でプレイアブルキャラクターとして使用できる。一方で、発売直後からクラッシュとココの操作性が過去作と異なり、ゲームが全体的に難しくなっているとの声が相次いだ。その理由はジャンプした際の挙動にある。原作と比べて落下時のスピードが速く、さらに着地した際に滑るような感覚が生じる。この仕様が海外のフォーラムサイトで話題になり、なぜ原作と挙動が大きく異なるのかについて議論されていた。

RedditのユーザーTasty Carcass氏によると、本作ではクラッシュとココの足部のコリジョンボックス(物理シミュレーションにおいて衝突判定を処理する範囲のこと)に、楕円形に近いカプセルのような形状が用いられているのだという。つまり、地面に足が接触する際、フラットな当たり判定に比べて挙動が不安定になりやすいというわけだ。着地点が足場の端だった場合に、プレイヤーの意図に反して容易に滑り落ちてしまうことにもうなずける。このような形状はUnityをはじめ、いくつかのゲームエンジンで既定値として使われており、キャラクターが平面上を動く際に滑るような挙動を実現する。

逆にこの仕様を上手く使いこなせれば、足場から落ちた直後に滞空状態からジャンプすることもできる。そのテクニックをCarcass氏が動画で実演している。しかし、狭い足場と穴が多いステージにおいて、特にジャンプのタイミングが重要な局面で上手く着地したと思っても、プレイヤーの意図に反して滑り落ちてしまうこともしばしば。結果として、内容は原作とほとんど同じゲームなのに、何故か難易度は断然高いという感覚に陥らせてしまったようだ。本作はリマスター版といえど、Vicarious Visionsが原作とは異なるゲームエンジンでコードをすべて書き直した作品。挙動までも忠実でない点には流石に目を瞑りたい。

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