『メトロイド』開発者が「メトロイドヴァニア」から受けた影響を語る「ジャンルの熱と市場が新作開発につながった」


初代『メトロイド』のキャラクターデザインを担当し、2D『メトロイド』シリーズを監修する坂本賀勇氏が、海外メディアCGMagazineとのインタビューのなかで、インディーゲームの人気ジャンルのひとつである「メトロイドヴァニア」について言及している。インタビュアーから「メトロイドヴァニア」について、そのジャンルの創始者として思うところはあるかと問われた際に、坂本氏は以下のように答えている。

[perfectpullquote align=”full” cite=”” link=”” color=”” class=”” size=””]ええ、メトロイドヴァニアと呼ばれるジャンルのゲームが多くあることをよく知っていますよ。プレイしたことはないですが。このジャンルへの「渇き」があることを学びました。マーケットが存在することも、ファンの叫びがあることも理解できました。そうしたものが新しい2Dメトロイドを生み出すという欲望の気持ちを固めましたね。[/perfectpullquote]

坂本氏は、先日E3にて13年ぶりの「2Dメトロイド」である『メトロイド サムスリターンズ』を発表したばかり。同作は『メトロイド2』をリメイクするものであるが、リ・イマジネーションと呼べるほど大きくリメイクされているという。この新たな2Dメトロイドが発売される背景には、「メトロイドヴァニア」の影響が少なからずあったようだ。

メトロイドヴァニアとは、『メトロイド』と『キャッスルヴァニア(悪魔城ドラキュラの海外名)』を組み合わせたジャンルである、日本では近年見かける言葉であるが、海外では2010年からすでに使われていたことが判明している。Giant Bombはメトロイドヴァニアについて「広大な2Dオープンワールドを自由に探索できるゲームプレイ」と定義している。『メトロイド』『キャッスルヴァニア』はこうしたゲームプレイの作品のなかでも、長い歴史と高い人気を誇っており、そのふたつをかけ合わせた「メトロイドヴァニア」という言葉が使われているのだろう。

探索型の横スクロール・アクションゲームを並べて説明できる便利さから、弊誌を含め多くのメディアでよく使用される。近年発売された同ジャンルのタイトルとしては『Ori and the Blind Forest』『Hollow Knight』があげられる。『Owlboy』や『GIGA WRECKER』もこのジャンルの作品とされている。こうした作品が生まれる理由は、インディーゲームの盛り上がりとジャンルの魅力があげられるだろう。

今現在、個人開発のゲームが多く生まれつつあり、個人開発者にとって横スクロール型の探索アクションゲームは、大手パブリッシャーがメトロイドヴァニアを含めた2Dアクションゲームに消極的ななか、かつてメトロイドやキャッスルヴァニアを遊んだプレイヤーたちが、今度は開発者となって作品を供給している。こうしたジャンルの盛り上がりは、本家とは離れたところに熱を帯びがちであるが、メトロイドヴァニアは本家の開発者に影響を及ぼしたという点は興味深い事例だろう。

また『メトロイド サムスリターンズ』には、『キャッスルヴァニア ロード オブ シャドウ』を手がけたMercurySteamが携わっていることもあり、ある意味では究極的に「メトロイドヴァニア」になるのではないかという声もある。しかし、坂本氏はMercurySteamとともに開発することによってゲームの方向性に変化が生まれたということはないとも明言している。メトロイドヴァニアというジャンルが『メトロイド』シリーズに影響を及ぼしたことは確かであるようだが、『メトロイド』のゲームデザインは守られ続けるのだろう。