豪華開発陣で話題となったRPG『Unsung Story』開発元Playdeckがプロジェクトを売却。3年前にKickstarterで66万ドルを集める


2014年にKickstarterで66万ドル以上の開発資金を集め話題となった『Unsung Sotry』。同作の開発を進めていたスタジオ「Playdeck」が、プロジェクトのIPとアセットをすべて別の会社へと売却したことを明らかにした。IPを取得したのは2003年に設立されたイギリスのゲーム開発&パブリッシャー「Little Bit」で、「Adventure Time」など版権キャラクターモノの3Dゲームを中心に開発・販売を続けている。プロジェクトは今後も継続される予定だという。

2011年に設立された「Playdeck」は、iOS向けのボードゲームやカードゲームを開発してきた米国のスタジオ。2013年9月にターンベース型RPG『Unsung Story』シリーズを発表し、翌年2月にKickstarterで開発資金を集めるためクラウドファンディングを実施した。『オウガバトル』シリーズや『ファイナルファンタジータクティクス』で知られる松野泰己氏が、ゲーム原案と世界観・シナリオを考案した点も注目を集め、1万5824人から66万126ドルを集めることに成功していた(※ なお松野氏はあくまでこれらを考案したのみで、開発には参加していない)。

しかしKickstarterでの成功から半年ほどが経過すると、開発の進捗報告は徐々に途絶えがちになり、2015年に入ると「Playdeck」は開発資金が底をつき経営危機から主要スタッフが退社していた実情を吐露。2016年2月にはリリースの無期限延期が発表され、開発再開へ向けて小規模のプロジェクトをこなしていくことを明らかにしていた(関連記事)。

「Playdeck」はKickstarterでのアップデートにて、「このプロジェクトを支援していただきありがとうございました。そして、このプロジェクトを完成させられなかったことを申し訳なく思っています」とコメント。今後は「Little Orbit」が同プロジェクトを完全に引き継ぎ、『Unsung Story』に関する質問なども同社のサポートへと聞いて欲しいと伝えている。

さらに同時間に投稿されたKickstarterの別のアップデート「A New Biginning…(新たな始まり…)」では、「Little Orbit」のCEOであるMatthew Scott氏が支援者へと今後のプロジェクトについて説明した。Scott氏はプロジェクトの困難な現状を総括した上で、まず今後はシングルプレイヤーモードと松野氏のゲーム原案デザインに集中することを宣言している(『Unsung Story』にはPvPモードがあり、「Playdeck」はこちらの開発にフォーカスしていた)。また追加の費用などを求めることなく、Kickstarterでのリワードも約束通り提供するとしており、数週間以内にも現状の情報を届けるとしている。

Scott氏は、多くの質問があるのはわかるとしつつ、さらなる忍耐をファンに求め、今後できるだけ早くゲームの詳細や進行状況を伝えていくとしている。Kickstarterでのキャンペーンから3年が経つなか、今回の発表に対してのファンの反応はさまざまで、Pledgeに対する返金を願うユーザーもいれば、開発スタジオが変わるという大きな進捗を見せたことに好意的な意見を見せるユーザーもいる。はたして、『ファイナルファンタジータクティクス』のような重厚なターンベース型RPGを謳った『Unsung Story』は完成するのだろうか。