『スプラトゥーン2』海外コミュニティで高まるネットワーク環境への不安、「Tick Rate」が投げかけた疑問

今月8月4日から5日にかけて開催され、大盛況となった『スプラトゥーン2』フェス。国内だけでなく北米・欧州でもケチャップ派とマヨネーズ派がお互いのこだわりをかけて戦い、いずれもマヨネーズ派が勝利を収めるという結果になった。独特の雰囲気を放つ広場を通り、お祭り騒ぎでインクを放ち床と壁を塗りたくる。今一度『スプラトゥーン』シリーズの気持ちよさや楽しさ、そして一体感を再確認させるフェスを楽しんだプレイヤーも多いだろう。

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一方で、フェスの盛り上がりの裏ではとある話題が持ち上がっている。『スプラトゥーン2』のネットワーク問題だ。redditのr/nintendoswitchのスレッドには数多くのネットワークへの不満が寄せられており、そのなかのひとつにTick Rate問題がある。Tick Rateとはサーバーの更新頻度を指す用語のひとつ。更新頻度が高ければサーバーには負担がかかるものの、描画回数が多くなりゲーム内の動きが正確に反映される。このTick Rateについては、発売前のテスト時より『スプラトゥーン2』のネットワークデータを測定しているイギリス在住のサーバーエンジニアOliver Brammer氏の検証データが公表されてから、コミュニティのあいだでも具体的な数値について論じ始められるようになった。

Tick Rateをきっかけに

Brammer氏は公表したデータのなかでインパクトがあったのは、Tick Rate(氏は正確にはUpdate Rateであると表現)におけるClient Update Frequency(以下、CUF)の数字の低さだ。『スプラトゥーン2』のCUF値は16Hzで、前作『スプラトゥーン』のCUFの値である25Hzよりも36%低い数値を記録している。氏のデータでは『Battlefield 1』が60Hz、『Overwatch』が63HzのCUF値を記録しているので、そうしたタイトルの1/3以下の数字ということになる。ちなみに『スプラトゥーン2』ネットワークのデータ転送量は前作以下にはなっているものの、これもBrammer氏は単純にサーバーにアップロードする頻度が落ちたことでデータ転送量が減っただけであると述べている。

計測されたClient Update Frequencyのデータ *Brammer氏の許可を得て引用

くわえて『スプラトゥーン2』のネットワークにはPeer to Peer(以下、P2P)が採用されている。P2Pは特定のサーバーを設置せずプレイヤー同士をつなぐ形式だ。これに対して、設置したサーバーにユーザーたちが接続する方式はC/S(クライアント・サーバーモデル)と呼ぶ。どちらもメリット・デメリットが存在するが、『Overwatch』『Call of Duty: Advanced Warfare』を筆頭に人気対戦ゲームはC/S方式を採用している。少し前まではP2Pモデルを採用するタイトルは多かったが、近年では個々のクライアントやネットワーク状態に依存するP2Pよりも、サーバー費用がかかるものの安定性があるC/Sが望ましいとされている。Brammer氏はTick Rate値の低さとP2Pという通信方式を懸念しており、『スプラトゥーン2』をe-Sports向けのタイトルとして展開するならば、この体制を見直すべきであると提言している。

海外の『スプラトゥーン2』コミュニティは、Brammer氏の公表したインパクトあるデータを受けて、Tick Rateの値を不満点として挙げ始めている。Tick Rateはわかりやすい例で言うならば、攻撃を当てたはずなのに当たっていないといった勝敗や実力に付随したミクロの部分にも関わるので、ユーザーもより過敏になっている。Brammer氏は公表したデータの計測方法やツールなど詳細を公開しているものの、あくまで非公式の数字であることを留意すべきだろう。しかし、現役のサーバーエンジニアが提唱した数値と意見はコミュニティを大きく揺るがし、ファンフォーラムでも大きく取り沙汰される結果となった。

前述したRedditのスレッドは1700以上のコメントがついている。『スプラトゥーン2』のフェスのチームプレイが、フレンドが4人揃わないと進まない仕様を批判するものから、マッチングのバランスの悪さや待機時間への不満を表する嘆きまで、その意見は幅広い。Eurogamerもフェスの盛り上がりを賞賛しながらも『スプラトゥーン2』のネットワーク環境に対して苦言を呈しており、ゲームコミュニティでは『スプラトゥーン2』のネットワークに対して批判する流れが強まりつつある。『スプラトゥーン2』のネットワークでは、たとえばログインすることができないといった致命的な問題は発生していないが、小さな不満を抱くユーザーは多い。Brammer氏の公表したデータをきっかけに、ネットワーク批判の流れがredditという場所に集積されつつある。

『スプラトゥーン2』が好きだから

しかし彼らはただ不満を持っているわけではない。今回Redditスレッドを立てたOmgdracula氏に話を聞いたところ、「『スプラトゥーン2』が好きなんだ。楽しく、いいゲームだからこそネットワークを批判する。」とゲームへの強い愛着があることを教えてくれた。実はスレッドに不満を寄せているユーザーの多くはゲームのよい部分をあげながらも、ネットワークに対する批判を述べている。好きなゲームだから、楽しいからもどかしいという声がほとんどだ。Omgdracula氏が不安視するのは現段階のネットワーク環境だけではなく、この状況のままインターネット対戦が有料化することを強く危惧しているとも語る。また氏はredditにスレッドを立てるきっかけについて「批判への同意を得るためではなく、議論の場を提供するため」であるとも答えている。

Redditの批判のなかには「サーモンランをいつでも遊べるようにしろ」「マップのローテーションをなくせ」といった、ややずれたコメントも存在する

『スプラトゥーン2』は発売から盛り上がりを見せているが、前作は尻上がりに人気を伸ばしており、今作も長く遊べるコンテンツとして親しまれることが予想される。しかし、多岐にわたるネットワークへの課題があげられる現状が改善されなければ、プレイヤーのスキルが成熟するほどネットワーク問題に対する不満が生まれるだろう。開発チームは、前作においても多くの不満をアップデートによって解決してきた実績がある。こうしたネットワークに付随する課題について、実力派の開発チームがどう向き合っていくのか、今後に注目したい。

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