Ubisoftがカナダ・ケベック州にUbisoft Saguenayを設立へ。10年以内に新スタジオのさらなる設立や大型投資を州内で実施


Ubisoftは9月5日、新スタジオ「Ubisoft Saguenay」をカナダ・ケベック州サグネに2018年前半に設立すると発表した。Ubisoftは世界中でスタジオ拡充を続けているが、このケベック州では1997年にUbisoft Montréalを設立してから20年の歴史があり、Ubisoft Quebecなどの開発スタジオや研究スタジオの設立、また既存スタジオの買収をおこなうなど積極的な投資を続けている。

今回発表されたUbisoft Saguenayでは、ゲーム業界での成長の要であり革新が求められるオンラインサービスおよびテクノロジーの開発に従事する。同スタジオはさっそく求人をおこない、プログラマーやグラフィクデザイナー、アニメーターなど幅広い人材を募集しているが、5年以内に125人を擁するスタジオに成長させる計画だ。これによりUbisoftは、2027年までに1億3500万ドル相当の投資をこの地域におこなうことになるという。また同年までには、ケベック州内にさらにもうひとつスタジオを設立することも計画しているとのこと。

Ubisoftは現地で記者会見をおこなっており、ケベック州知事や州財務官など行政のトップも同席している。カナダでは産業振興としてゲーム産業を積極的に誘致している都市が多く、ケベック州もそのひとつだ。税制の優遇が受けられるなど公的支援が充実しているため、進出しているゲーム関連企業は多い。Ubisoftはモントリオールにスタジオを設立した1997年から現在までに累計35億ドルもの投資をおこなっているが、今回の発表の中ではさらに7億8000万ドル規模の追加投資計画を明らかにしている。これによってUbisoftがスタジオを構えているケベック州内の各都市に、2027年までに合わせて1000人の新たな雇用を生み出す計画だ。

Ubisoft Saguenayのトップに就任するJimmy Boulianne氏。Ubisoft Montréalで『Child of Light』などを手がけた経歴を持つ

Ubisoftはさらに、州内の大学の研究活動や、テクノロジー分野でのスタートアップ企業への1300万ドルの投資計画も明らかにしている。Ubisoftはこれまでにも教育分野への投資をおこない、将来ゲーム産業に携わる若い人材の育成に力を入れているが、今回さらに拡充をはかった形だ。これは10年後に設立を予定している新スタジオの人材として期待する面もあるが、地域への貢献としても大きな役割を果たしており、地方政府の政策のもと、産学が上手く連携し発展していることがうかがえる。