日本語版も配信される、実在の精神病院を舞台にしたホラー『The Town of Light』。開発元が約110万円を精神病支援団体へ寄付

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インディースタジオLKA.itは、約110万円(1万ドル)を精神病の支援団体TakeThisに寄付したことを、メディアを通じて発表した。この110万円は、同スタジオが手がけるホラーゲーム『The Town of Light』の8月16日から9月6日にかけての3週間の売上の25%であるという。同作はPC(Steam、Green Man Gamingなど)、PlayStation 4、Xbox Oneなど販売中のすべてのプラットフォームで20%オフセールを実施しており、その期間のセールスの25%が110万円であったということになる。

『The Town of Light』は一人称視点で展開されるホラーゲームだ。ゲームの舞台のネースとなっているのはかつてイタリアに実在していたとされる精神病院「Ospedale Psichiatrico di Volterra(オスペダーレ・シキアトリコ・ディ・ヴォルテーラ)」この精神病院はかつて6000人以上の精神病患者を収容していたが、「入れば二度と戻れない場所」と呼ばれるほど患者への対処は劣悪で、事故や事件が絶えず1978年には閉鎖された。なお当時のイタリアでは、精神病院の劣悪な環境が問題となり、同じく1978年に「バザーリア法」と呼ばれる精神病院への新規入院を禁じる法律が制定されている(参考記事)。

プレイヤーは統合失調症を患う16歳の少女レネーとなり、廃墟となった精神病院を探索する。実在した精神病院が舞台になっているというバックボーンのほかにも、プレイヤーの選択によりレネーの病状が変化するといった要素し、展開が変化するといったシステムも導入されている。現実にあった凄惨な事件を描ききるという点である種の執念を感じさせる部分もある。

なおLKA.it代表のLuca Dalcò氏は8月に、メディアを通じて今回のキャンペーンについて語っている。

[perfectpullquote align=”full” cite=”” link=”” color=”” class=”” size=””]『The Town of Light』を作る上のモチベーションのひとつに、彼らへの想いがありました。精神病との闘いは、日々の生活に大きな影響を与えます。精神病という部分に光を当て、過去に声をあげられずに苦しんでいた人々の物語を伝えるのが私達の目標でした。実際にそういった人々に何かをできるならば、望んでいた以上のことです。[/perfectpullquote]

実在の精神病院を、単なるホラーゲームの題材およびテーマとして扱うのではなく、かつて発生した歴史として扱い、精神病への理解を促すというLKA.itの強い意思が感じられる。こうしたキャンペーンも彼らの想いの一端であるだろう。本作同様に精神病を扱ったアクションアドベンチャーゲーム『Hellbalde』を手がけるNinja Theoryもまた、1日分の売上をすべて支援団体に寄付するといった活動をおこなっていた。ゲーム中に社会事象を取り上げ、そうしたテーマを支援するという、エンターテイメントを越えた支援活動が生まれつつある。

なお『The Town of Light』はクロスファンクションから国内向けにリリースされることが予定されている。PlayStation 4版は今月10月27日、Xbox One版が後日配信となる。吹き替えと字幕に対応しているので、本作に込められた想いを、恐怖体験を通じて感じ取ってほしい。

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