Activisionのマイクロトランザクション関連特許がさらに発見。ゲームプレイ配信を通じて今度は視聴者にアイテムの購入を促す


『Call of Duty』シリーズなどで知られる大手パブリッシャーActivisionが、オンラインマルチプレイのマッチングを操作してプレイヤーにゲーム内アイテムの購入を促す技術について特許を取得していたことが先月明らかになったが(これまでに発売されたゲームにこの技術は利用されていない)、同社はこれとは別のマイクロトランザクション(少額決済)関連の特許を同じく2015年に出願していたことが確認された。海外メディアDot Esportsなどが報じている。

その出願中特許のタイトルは「System and method of identifying portions of video game streams for driving microtransactions」とされており、日本語に翻訳すると「マイクロトランザクションの利用を促進するために、ゲームプレイデータの特定部分を識別するためのシステムや手法」となるだろうか。この技術では、たとえばeSportsなどのゲームイベントでゲームプレイを効率的に配信したり、ゲームプレイ映像に任意のイメージを重ね合わせたりコメントをつけるために役立つ、ゲームプレイのログおよびメタデータを生成するとされている。そしてそのデータは、マイクロトランザクションに関連する情報を視聴者と共有することにも利用できるという。今回注目されているのは、この最後の部分だ。

説明によると、この技術で生成されたデータには、マイクロトランザクション関連の情報として、ゲームプレイ映像に映っているバーチャルアイテム、あるいは広告を通じた現実の商品の情報が含まれており、さらに映像内のどの部分にそういったアイテムや情報が表示されているかというピクセル単位の座標も有しているという。これがどう活かされるのかというと、簡単にいえばゲーム内アイテムあるいは広告商品を購入できるハイパーリンクを、ゲームプレイ映像内に自動的に張ることが可能になるということのようだ。どういったアイテムが購入できるかという部分については、この技術の利用者のスポンサーや広告契約などに応じて任意に変更することも可能だとされている。

この技術のポイントは、ゲームプレイ映像を後から解析するのではなく、ゲームそのものに実装するものであるということだ。つまり、たとえばFPSゲームを例にすると、ゲームプレイ映像内の特定のプレイヤーがどのような武器やアイテムを装備してプレイしているのかという情報を正確に取得することができる。また、そういった装備に対しては複数のオプション(バリエーション)を視聴者に提案こともでき、視聴者がいずれかを選択すればゲームエンジンと連携してその装備をプレビューするような活用例も示されている。そして視聴者が購入を希望すれば即座に取引が発生するか、ストアに案内されるという仕組みだという。

Call of Duty World LeagueなどのeSportsとの相性が良さそうな技術ではある(画像は今回の特許と関係はない

前回紹介した特許は、オンラインマルチプレイ中のプレイヤーに対して、その心理面に働きかけてゲーム内アイテムの購入を促すというある種巧妙な仕掛けだったが、今回の特許は近年定着したゲームプレイの配信に着目し、その視聴者に対して購入を促すというものである。これらの特許が同時期に出願されたということで、Activisionはマイクロトランザクションの利用を全方位的に促進させる研究開発を進めていたことがうかがえる。前回の特許はマッチングを裏で恣意的に操作する側面が強かったため大きな批判に繋がったが、今回の技術についてはゲームプレイへの直接的な影響は比較的少なそうである。もっとも、実装方法によっては視聴者に敬遠される可能性はあるだろうが。

いずれにせよ特許を取得したからといって、必ずしも実際の製品に利用されるとは限らない。今回の特許に関してはまだ出願段階であるためか実装が確認された例は報告されておらず、また繰り返しになるが、前回の特許についてもこれまでに実装されたゲームは存在しないとActivisionや『Destiny』シリーズを手がけるBungieは発表している。