『LoL』世界大会準決勝、世界最強の道は北京へ通ず。中韓対決のゆくえ

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『リーグ・オブ・レジェンド(LoL)』2017年のプロシーンを総括する世界大会もいよいよクライマックスが近づいてきた。グループステージに参加した全16チームはすでに4チームに絞られ、王座への階段はわずかにあと2段。準決勝の対戦カードは、奇しくも2枚ともが中韓対決となった。ディフェンディングチャンピオンSKTに対して挑むのは、帰ってきた名手を抱えるRNG。昨年の世界大会決勝の再戦と優勝を目指して突き進むSSGの前に立ちはだかるのは、プレイインステージから勝ち上がってきた中国の古豪WE。決勝戦が行われる北京への切符を勝ち取ったのは、一体どのチームか。

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SK Telecom T1 vs Royal Never Give Up

この対戦でのスターターとして席に座るBlank選手を励ますPeanut選手。これまでは自分がスターターだったことで大いに緊張していたが、リザーブに回ったことでリラックスできたと試合後に語った。画像出典:LoL Esports Photos

前人未踏の三連覇に向けて勝利を積み上げていくSKTと、悲願の中国優勝を目指すRNGが準決勝一日目の対戦となった。

この2チームにおけるスターであるFaker選手とUzi選手には浅からぬ因縁がある。SKTとFaker選手が世界にその名を刻んだのは何といっても2013年の世界大会初優勝だが、この決勝戦で彼らに敗れたのがRNGの前身にあたるStar Horn Royal Clubであり、準優勝チームの一員がUzi選手だったのだ。そして翌年の世界大会でもUzi選手は決勝まで進むもののSamsung Galaxyに連なるSamsung White Shieldに敗北し、2016年はRNGとしてグループステージを突破するも準々決勝でSKTに敗退と、ベスト4に残ったチームに苦杯をなめさせられてきた過去があった。そして4回目の世界大会、三度立ちふさがったのはまたしてもSKTとなった。グループステージではSSGに対して2勝し過去最高の仕上がりでSKTに挑むRNG。あえてFaker選手にガリオを渡した上で対策するという戦略を準備した彼らは、SKTのチーム構成が抱える弱点を的確に突いて最初のゲームに勝利した。しかしそのSKTは即座に対応策を講じて試合を取り返し、さらにRNG側が仕掛けるという形で対戦が進み、ついに試合は2勝2敗で5試合目へともつれ込んだ。ここまで新たな構成を披露する都度勝利してきたRNGが、ついにSKTを捉えるかと全世界の視聴者が固唾を飲んだであろう最終試合だったが、RNGのカードは尽きていた。ピック&バンで有利を作ることに失敗し、チームの狙いを看破されたRNGはSKTに対して有利を取ることができずに敗北した。SKTはその伝説に新たなページをくわえるべく北京への切符を手にしたのだった。

お勧めの試合: 第2試合
Misfitsとの闘いで見いだされた「戦いの律動」レオナを華麗に使いこなすWolf選手。

 

Team WE vs Samsung Galaxy

今年のSSGの仕上がりはどのポジションも素晴らしいものがある。勝利のカギとなるのはミッドのCrown選手とジャングルAmbition選手の一挙一足動となるはずだ。画像出典:LoL Esports Photos

プレイインから各国のシードとの戦いを勝ち上がってきたWEと、入念な準備に基づいた戦略でSKTの対抗馬とみられたLZをみごと打ち破ったSSG。中国最後の希望として決勝戦を目指すWE、昨年の雪辱を目指すSSGが準決勝2日目に激突した。ADCのMystic選手を主軸にゲームを動かしていく戦略一つであらゆる敵を退けてきたWEの前に、敵の長所を的確に抑えてゲームをコントロールするSSGが立ちふさがるという構図となったこの対戦。SSGがWEのピック&バン戦略を探る意味あいもあったのかザヤとラカンをWE側に取らせる形で第1試合がスタートすることとなった。世界大会の環境においても非常に強力であり、Mystic選手の得意チャンピオンでもあるザヤを手にしたWEはSSGを寄せ付けずに1勝を手にした。しかしその後のSSGはピック&バンから徹底的にボットレーンを狙った戦略へとシフト。WEを今までキャリーしてきたボットレーンの力を封じると、そのまま常に主導権を握ってWEに付け入るスキを与えずに3連勝してSKTに再び挑む権利を勝ち取った。WEは中国第3シードというスタートからベスト4まで勝ち上がったが、最後はSSGが入念に練り上げた戦略の前に長所を封じられて敗退という結果となった。

お勧めの試合: 第3試合
WEの反撃を一切許すことのないSSGの完璧なゲームコントロールが見られる。

 

世界大会優勝でなければ意味がないんだ

国際大会に参戦するたびに圧倒的なパフォーマンスを披露し、Bo5形式で敗れた国際タイトルは2015年のMSIだけという驚異的な記録を誇るSKTだが、今年は彼らの牙城に迫るチームが今までにない多さだった。Misfitsはアーデントセンサーをサポート以外に託すチーム構成でゲームの主導権を握ったし、RNGはFnatic戦が第4試合までもつれなければSKTの第5試合を勝利できていたかもしれない仕上がりを見せていた。C9のJensen選手とSKTのFaker選手がグループステージでぶつかった際も昨年よりも拮抗した試合を展開しており、レーンでの個人技も以前ほど五大リーグの選手間で絶対的な差は無くなっていると感じさせられた。だからこそ選手の技術ではなく、チームが準備している戦略や、より大きな視野での状況判断力が最後の明暗を分けることになったのだろう。

通称「鳥の巣」こと北京国家体育場で行われる決勝は、奇しくも昨年の決勝と同じチーム同士の戦いとなった。SSGは今までの試合を元にSKTが取ってきたゲームプランをさせないようなピック&バンを準備してくることが予想される。一方でノックアウトステージ以降のSKTはまず相手の仕掛けを受け、その上で次の試合では完全に対策して勝利するという戦いを続けてきている。SSGがSKTを凌駕する戦略を用意してくるのか、あるいはSKTがそれすらも上回る力でねじ伏せるのかというのが決勝戦の勝敗を分けることになるはずだ。SSGが雪辱を果たすのか、それとも魔王の偉業に新たな一文が加わるのか、この週末に打ち立てられる新たな伝説に期待しよう。2017シーズン世界大会決勝「SK Telecom T1 vs Samsung Galaxy」は、11月4日15時30分よりオープニングセレモニーが配信される。

[執筆協力:ユラガワ]