『PUBG』のコスメアイテムを使った賭博サイトが浮上し始める。問題が顕在化するのは正式リリース後か

PUBG EMPIRE

AAA級タイトルにおける「ルートクレート」を使ったゲーム内課金が取り沙汰される一方で、もうひとつのクレート問題とも呼ぶべきクレート排出アイテムを介した賭博サイトの蔓延について海外メディアKotakuが改めて報じている。2016年にはValve社の『Counter-Strike: Global Offensive』(以下、CS:GO)について、ゲーム内アイテムを使った賭博サイトの取り締まりが話題となったが(関連記事)、今回警鐘が鳴らされているのは『PLAYERUNKNOWN’S BATTLEGROUNDS』(以下、PUBG)のコスメアイテムを使ったオンライン賭博である。

PUBGBets

700件以上の賭博サイトが存在した『CS:GO』と比べるとまだまだ小さな市場ではあるが、pubgbet.net、DaPUBG.com、Pubg-Pro.com、pubgempire.com、pubgjackpot.comなど『PUBG』スキンを扱ったギャンブルサイトは20件以上確認できている。こうしたサイトでは『CS:GO』の武器スキンを使ったギャンブルと同様に、Steamアカウントと連携することで『PUBG』のコスメアイテムをチップがわりに賭けられる仕組みとなっている。ルーレット、コイントス、ジャックポット、ブラックジャックなどさまざまなギャンブルを通じて手持ちのチップ(仮想通貨)を増やし、コスメアイテムと交換。新たに獲得したコスメアイテムはSteamマーケットプレイス以外にも外部換金サイト(例: OPSKINS)や、e-Sportsプロリーグの対戦を対象とした賭博サイトにて使用できる(例: CSGOPOSITVE)。

『PUBG』のコスメアイテムはゲーム内通貨BPを使って入手する無料クレートから排出される。また8月には期間限定で有償クレート&キーが販売されていた(関連記事)。有償クレートから排出された一部のレアアイテムは今でもSteamマーケットプレイスにて数百ドル単位で取引されている。11月に入ってからは、それまで振り幅が小さく収まっていた取引価格が軒並み高騰し始めているというのも興味深い動向である。たとえば「Camo Hotpants」は10月31日時点の128ドルから11月10日には172ドル、「Mini-Skirt(Purple)」は同期間において130ドルから177ドル、「School Skirt」は374ドルから450ドルといずれも価格が上昇している。なお本作の予約特典である「PLAYERUNKNOWN’S Trenchcoat」や「PLAYERUNKNOWN’S Bandana」の取引価格はそれぞれ600ドル、1000ドルを超えているが、希少性が高く手放したくないプレイヤーが多いためか、売買はそれほど活発ではない。

取引価格が高騰し始めた『PUBG』のスキンアイテム

未成年者への悪影響が問題視されてきた『CS:GO』の賭博サイトについては、昨年Valve社がSteamアカウントの無断商用を理由に対象サイトの運営元23社に対して停止通知書を発行。今年1月には同じくValve社のタイトル『Team Fortress 2』のゲーム内アイテムを介した賭博サイトを対象に、不正アカウントを随時削除していく方針を打ち出している。とはいえ、是正勧告により全ての賭博サイトが姿を消すわけではない。またValve社からの牽制が強まる中、非Valveタイトルでありながら根強い人気と活発な取引市場を有する『PUBG』に賭博サイト運営者が目をつけるのは自然な流れといえる。ちなみに『CS:GO』賭博サイトへの停止通告書発行のきっかけのひとつとなったYouTuberによるステルスマーケティングは、『PUBG』においてはまだ大々的には行われていない。スポンサー動画であればアクセス数こそ少ないが例は見られる(例:TheSurvivorZ 動画リンク)。

『PUBG』のクリエイティブ・ディレクターであるBrendan Greene氏はかねてから『CS:GO』のような活発な取引市場の形成を目標に掲げており(関連記事)、『PUBG』の長期運用を実現するためにも正式リリース後にはクレート&キーを用いたマネタイゼーションに本腰を入れることがわかっている。ただ『CS:GO』のマネタイズモデルを追従するからには、ゲーム内アイテムを介したオンライン賭博というグレーな問題も必然的につきまとってくる。現時点では市場に出回っているアイテムの大半は無償クレートから排出された数ドル以下の小額品だが、いざ正式リリースを迎え有料クレート&キーの実装が再開された暁には、マーケット規模が膨張し、『PUBG』関連のオンライン賭博も活性化することが予測される。そのときにSteamの運営元ではないBluehole/PUBG Corporationがどのような対策に出るのか。行方が気になるところである。