『スカイリム』など複数のニンテンドースイッチ向け3D移植ゲームに高評価が集まる。海外メディアが重視する要素とは

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年末に差し掛かり、3D表現を採用するタイトルのニンテンドースイッチ向け移植作品が次々に発売された。『The Elder Scrolls V: Skyrim(スカイリム)』や『DOOM』、そして『ロケットリーグ』。いずれのタイトルもメディアから高い評価を受けている。こうした高評価を受けたタイトルには、とある共通点が見受けられる。

たとえば『スカイリム』は発売前のデモの段階からすでに評価が高かった。Digital Foundryはニンテンドースイッチ版のスカイリムについて「安定性」があることを高く評価していた。フレームレートが安定しており、カクつきが少なくスムーズにプレイしていることが重要であり、発売後は他メディアも同様の評価を下している。また『ロケットリーグ』も同様のことがいえる。Gamerevolutionは『ロケットリーグ』を評価する理由について、グラフィックやパフォーマンスのスムーズさをあげている。同作はTVモードと携帯モードどちらでも60fpsで動くので、そうした点が好評であるようだ。ちなみに『DOOM』については、安定性も一定評価されているが、むしろモーションブラーや派手なエフェクトなど作品本来の魅力を守りながら移植に成功したという点が、IGNを中心としたメディアから評価されているようだ。

こうしたタイトルにおいては、解像度にも変更が加えられている。Digital Foundryによるとニンテンドースイッチ版『スカイリム』は可変解像度となっており、TVモードでは安定した900p(1600×900)で稼働するという。携帯モードでは720p(1280×720)をベースにしつつも、896×720まで低下することもある。『DOOM』はTVモード・携帯モードともに720pをベースとしながら状況に応じて1088×612になるなど、解像度がかなり柔軟に変化するという。『ロケットリーグ』ではTVモードでは720p(1280×720)で動きつつ、携帯モードでは基本的には1024×576で動作しているようだ。ニンテンドースイッチにおいては、TVモードでは最大1080p、携帯モードでは最大720pでゲームが動作するが、すべてのタイトルがそれぞれの最大解像度で動くというわけではないようだ。

一方で辛辣な評価を受けているタイトルは、安定性の欠如がしばしマイナス点としてあげられている。たとえば、『RiME』はTVモードが720p、携帯モードが720pベースの可変解像度が採用されているが、フレームレートに深刻な問題を抱えているとNintendo Lifeは指摘している。他メディアでも同様の指摘を受けており、好評であった他機種版と同等の評価は得られていない。最近発売された『Unbox』についても、一定の映像美は評価されているものの、頻繁なフレームレートの低下を中心とした複数技術的な問題を抱えていることをNintendoWorldReportに批判されている。『RiME』については、開発者が以前から移植の困難さを訴えており、懸念を抱くユーザーもいたが、その懸念が当たってしまった形となっている(関連記事)。

全体的な傾向を見ると、メディアは安定性をもっとも重視しており、解像度について調整が入ることは批判点としてあげられていない。前述のDigital Foundryは『スカイリム』の解像度については携帯機であることにより許容できると発言している。ほかにも、携帯モードを魅力または相殺点としてあげているメディアは多い。根幹部分である安定性を保証することで、快適なゲームプレイの実現が求められるのは理解できるが、解像度の低下が減点対象となっていないのは興味深い。他機向けには1080pで動くものが多く、一部プラットフォームは4K解像度にも対応し始めているこの時代ではあるが、解像度についてはある程度許容されるようだ。

これはおそらくメディアが「ニンテンドースイッチを携帯機として認識している」という点が根底にあることが、関係しているのだろう。くわえて、そもそもニンテンドースイッチの移植に限らず、移植作品への評価については、ゲームへの評価なのか、移植の完成度に対する評価なのか、ふたつを含めた全体的な評価なのか、各メディアで基準が異なっている。レビュー集積型サイトMetacriticにてこうしたニンテンドースイッチ向け移植作品の評価がオリジナル作品の評価を上回る現象が発生しているのは、ただでさえ各メディア間でズレやすい評価の基準点が、ニンテンドースイッチではさらに多岐にわたっていることに起因しているのかもしれない。評価を上回る現象は『DOOM』のように発売直後に評価が高まり、徐々に落ち着いていく傾向が見られるので、一時的なものであると考えられるだろう。

ニンテンドースイッチ版『DOOM』は一時は他機種版を上回っていたものの、下回る評価に落ち着きつつある。

こうした移植作品に対してメディアが下す評価が適正であるかはさておき、フレームレートを中心に安定性に重きを置いたタイトルがメディアからの“ウケ”がよく、解像度の低下についてはある程度は許容される傾向にあるというのは興味深い。ニンテンドースイッチ向けに、3Dゲームの移植を検討している開発者にとっては、参考になる事象かもしれない。

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