『Death Stranding』では、登場人物の死と再生が繰り返される。コミュニティによる考察が進むなか、小島監督により新情報が明らかに

 

「The Game Awards 2017」にて『Death Stranding』の最新映像が公開されて以来、これまでのトレイラーとのつながりや時系列、物語のヒントと思わしき要素の発見など、考察・分析により本作のコミュニティは賑わいを見せている。そんな中、「The Game Awards 2017」にてコジマプロダクションの小島秀夫監督がIGNのインタビューに応じ、ゲームプレイの一部を明かした。

死はゲームオーバーを意味しない

小島監督によると、『Death Stranding』のテーマのひとつは「生と死」。ただし死は終わりを意味しない。象徴的なシーンとして、腹部からへその緒が伸びている巨大な生物が爆発を起こしたのち、ノーマン・リーダス扮するサムが上下反転した水中世界を漂う場面がある。この水中エリアはゲーム内で死んだ際に訪れるプレイアブルな場所。生きているとも死んでいるとも言えない宙ぶらりんの状態であり、小島監督いわく他作品の「コンティニュー画面」に相当するとのこと。ここではサムが持つ特殊な能力により身体から抜け出し、一人称視点で海中を移動することができる。漂うアイテムを拾い集め、再び身体に宿ると、サムは生者の世界にて復活する。ただし死ぬ前の時点には戻らず、起こったことは起こったこととして、そのまま残るという。本作における死はゲームオーバーでもやり直しでもなく、プレイヤーはひたすら転生を繰り返すこととなる。

またIGNの記者が「別次元からの降雨」と表現した「Timefall」も興味深い。これは時間の経過を速める雨である。トレイラー冒頭で雨に打たれた植物が猛スピードで成長しはじめたり、横転した車両に足を挟まれた男性が急速に老化しはじめたりするのは、この「Timefall」の効力とされているようだ。ただし、全員が影響を受けるわけではなく、たとえば雨に当たっているはずのサムの身体には変化が見られない。この「Timefall」は物語と密接に関わってくる重要な要素とのことだ。

急激な老化現象

続いて本作のトレイラーで毎回登場する胎児について。ときには保護チューブ内で守られた状態から、ときにはサムの喉奥から姿をのぞかせては、ウィンクしたり親指を立てたりと誰かに向けて合図を送る胎児。小島監督はIGNに、それらが同一個体であると答えている。サムが生と死を繰り返しながらも、常に存在し続けるこの赤ん坊の正体やいかに。

またサムが背中につけた謎の装置については、その形状からコミュニティ内ではクロスヘアの役割を担うのではないかと推測されているが、現時点では確定していない。ただトレイラーを見るかぎりだと、このスキャナーのような装置が可動するのは胎児を抱えている間だけ。目に見えない生命体を探知しているのは装置そのものではなく、胎児なのかもしれない。

クロスヘアとしても使えそうだ

コミュニティによる分析・考察

Redditの『Death Stranding』コミュニティでは、トレイラーの分析・考察が進んでいる。たとえば「遺体処理部隊」の男性2人の左肩に刻まれた「BRIDGES」のロゴ。これは同トレイラーの水中シーンで登場するものや、2016年のトレイラーでギレルモ・デル・トロ監督扮するキャラクターが胸元につけていたバッジと酷似している。ただし後者のロゴ下部に描かれた米国全土図では、北東部のワシントンD.C.付近にぽっかりと穴が空いている(Reddit考察スレッド)。つまり最新トレイラーの「地上の世界」パートと、水中パート/2016年トレイラーとの間には時間の隔たりがあり、その間に米国で何か大きな事件が起きたのではないかと推測されている。

続いてサムのナレーションで説明される2つの爆発。時空と生命を誕生させた最初の爆発と、「我々にとって最後の爆発」があり、前者に関してはビッグバンであると考える説が多い。一方、後者に関しては核投下により時空の歪みが生じたとする説や、人工知能の爆発的な成長によりシンギュラリティに到達した人類が世界の破綻を招いたと考える説など、さまざまな議論が交わされている。いずれにせよ本作で描かれるのは、その最後の爆発が起きた後の世界なのだろう。

「サムは何者なのか」という疑問に関しては、彼の防護服に書かれた「PORTER」という文字がヒントであると考えられている。単に彼の名前なのかもしれないが、英語の「Porter」が意味する「運搬人、守衛」といった役割を指している可能性も十分にありそうだ。また彼が背中につけているドリームキャッチャーも意味深である。眠りについた赤ん坊を悪夢から守るためにつくられたアメリカ先住民の装飾品であり、先述した「BRIDGES」のロゴと同じ蜘蛛の巣状の網が組み込まれている。ドリームキャッチャーにまつわる信仰・伝説が物語と関わってくるのかもしれない。同じくサムが背負っている大型のフレームは、コジマプロダクションのマスコット「ルーデンス」を彷彿とさせる(Scrumpis氏によるReddit関連スレッド)。ちなみに「ルーデンス」(遊ぶ人)といえば、胎児の保護チューブからぶらさがるキーホルダーとしても確認されている。遊ぶ人「ルーデンス」とプレイヤー、そして赤ん坊。これらはどこまで関連しているのだろうか。

ややイレギュラーな網目のドリームキャッチャー

そのほかにも、3つのトレイラーがシンクロしている点や、これまでのトレイラーで使われてきた曲の歌詞と映像との関係性などが分析対象として注目されている。「赤ん坊=主人公のクローン」により死と再生を繰り返しているという説(Boogiewo氏による考察スレッド)も、時間の経過を速める「Timefall」が降り注ぐような世界においては、あながち的外れとも言えなさそうだ。

謎めいた映像が続く『Death Stranding』のトレイラーであるが、「PlayStation Experience 2017」のオープニングセレモニー中に登壇したPlayStation 4のリード・システムアーキテクトMark Cerny氏によると、4時間〜5時間もプレイすれば、トレイラーの意味が分かってくるという。答え合わせができる日を楽しみに待ちたい。

なお先述したIGNのインタビューにて小島監督は、「The Game Awards 2017」で披露されたトレイラーがゲームのプロローグ直後の場面であることを明かしている。2016年に公開されたもう2つのトレイラーに関しても、ゲーム内で登場するとのこと。また本作はシングルプレイタイトルとして開発されているが、とあるユニークな方法でマルチプレイ要素を持ち込むことが検討されているそうだ。

イースターエッグなのか、トレイラーには小島監督らしき人物も映り込んでいる(Credit: Reddit user Makusuu