「Steamウィンターセール(2017)」7つのインディースタジオが語る、楽しみハマったおすすめゲーム


今月12月23日より「Steamウィンターセール」が開催されている。大型タイトルから小粒のインディータイトルまでお安く買える絶好の機会となっている。多くのユーザーにとっては胸躍るシーズンとなっているが、楽しむのはユーザーだけではない。普段ゲームを提供する開発者にとってもゲームを漁りプレイするシーズンなのだ。そこで今回、インディースタジオを対象にアンケートを実施し、楽しんだゲームの中からおすすめの作品をピックアップしてもらった。ライターが作品を紹介する特集記事のようにさまざまなゲームを紹介したりお買い得なタイトルをおすすめするというよりは、どのスタジオがどんなゲームを遊んでいるかという、パーソナルな報告が趣旨となっている。

REIKON GAMES

『The Witcher』シリーズのCD PROJEKT REDや『Dead Island』シリーズのTechlandなどで経験を積んだスタッフらが設立したインディースタジオ。デビュー作『RUINER』をPC/PS4/Xbox One向けに今年発売した(現在Steamでは33%オフの1326円で販売中)。2091年の巨大都市を舞台に、兄を誘拐され怒れる主人公が腐敗した社会に立ち向かうアクションシューターだ。濃密なサイバーパンクの世界観の中での、スピーディーなバトルが魅力である。

Jakub Stylinski氏のオススメタイトル
Life is Strange: Before the Storm』(30%オフ、1820円)、『Wolfenstein II: The New Colossus』(50%オフ、3990円)『DARK SOULS III』(75%オフ、1871円)

『Life is Strange: Before the Storm』は、これまでに2つのエピソードを合わせて8時間ほどプレイしましたが、ゆったりとしたペースで物語が紡がれており、ゲーム全体のトーンも含めてとても気に入りました。ゲーム市場を見回しても、このようなゲームはほかにあまりないです。『Wolfenstein II: The New Colossus』も同じくとても興味深い方法で物語を語っており、キャラクターやゲームプレイも素晴らしい。あらゆる場面でプレイヤーを驚かせ、思わず笑ってしまうようなユーモアも豊富です。

少し前のゲームですが『DARK SOULS III』もオススメです。これまでに40時間はプレイしましたが、戦闘システムや探索要素が素晴らしく、冒険をしているという感覚が色あせることはありません。個人的に難易度の高いゲームが好みで、すぐそばに危険が潜んでいるという感覚がたまらないのです。

 

 

Cellar Door Games

カナダ・トロントに拠点を置くインディースタジオ。数多くのゲームを手がける中、2013年にリリースした『Rogue Legacy(ローグレガシー)』でブレイク(現在Steamでは80%オフの296円で販売中)。死ぬたびに子孫へと主人公が受け継がれるユニークなローグライク・アクションゲームである。現在は、クラスの異なる4人の女性ヒーローが、それぞれのスキルを駆使して大暴れする協力プレイ対応ARPG『FULL METAL FURIES』を開発中。2018年1月17日に発売予定だ。

Ryan Lee氏のオススメタイトル
Crypt of the NecroDancer』(80%オフ、296円)『INSIDE』(50%オフ、990円)『UNDERTALE』(50%オフ、490円)『Ittle Dew』(25%オフ、 735円)『Salt and Sanctuary』(60%オフ、712円)

ゲームデザインに興味があるなら『Crypt of the NecroDancer』をプレイしてほしい。一つのアイデアから発展させているのだが、もっとも注目したいのは、ゲームを完成させることだけを目的に悪い要素まで詰め込んだりせず、良い要素だけを取捨選択していることだ。ステージのクオリティや洗練度では『INSIDE』を挙げたい。メカニックとしてはシンプルだが、すべてのシーン、特に最後の場面においては手作業による数多くの努力が見られ驚異的だよ。

『UNDERTALE』は脚本が素晴らしく、複数にわたる物語の横糸をうまく具現化している。バトルのデザインも興味深いね。『Ittle Dew』は、多くのパズルに巧みな解法を複数用意しており、人を惹き付ける力を持ったゲームだと言える。そして『Salt and Sanctuary』。正真正銘の2D版『ダークソウル』で、協力プレイが好きな人にもオススメだ。

 

 

DotEmu

フランスに拠点を置くパブリッシャー/デベロッパー。レトロゲームの移植やリメイクを多く手がけ、『イース』シリーズなど日本のタイトルも数多く扱う。今年はデータイーストの『フライングパワーディスク』をPS4/Vita向けに移植したほか、『モンスターワールドII ドラゴンの罠』のリメイク『Wonder Boy: The Dragon’s Trap』も発売した。

Arnaud De Sousa氏のオススメタイトル
Rocket League』(40%オフ、1188円)

ここ2年は『Rocket League』にハマっています。簡単に始められるけど、マスターするのは難しい。とても楽しく満足度も高い素晴らしいゲームですが、ただ楽しいだけではなく、複雑な要素や競技性も持ち合わせています。日本でも人気があるのかはわからないのですが、ゲームセンター文化の中で育った経験から言うと(主に格闘ゲームをプレイしています)、このゲームにはアーケードゲームのような感覚があり、日本のゲーマーも共感できるのではないかと強く感じています。

ちなみにDotEmuのオフィスでは、昼休みになると皆たくさんのゲームをプレイしていますよ。『ストリートファイターIII 3rd STRIKE』や『バブルボブル』の筐体があるのでそれに熱中している者もいれば、『マリオカート8』や『FIFA 18』『PUBG』『フライングパワーディスク』などをプレイしている者もいたり。古いゲームも新しいゲームも両方大好きなんです。

 

 

Frozenbyte

ファンタジー・アクションアドベンチャーゲーム『Trine』シリーズで知られる、フィンランドに拠点を置くインディースタジオ。今年はローグライク要素のある横スクロール・タワーディフェンスゲーム『Has-Been Heroes』を発売。そして今月には『Nine Parchments』もリリースしている。幻想的な世界観が特徴の、魔法使いが活躍する協力プレイ対応アクションゲームだ。

Joel Kinnunen氏のオススメタイトル
FTL: Faster Than Light』(75%オフ、245円)

少し前のゲームだし、ありきたりかもしれないけど『FTL: Faster Than Light』をオススメします。私にとって心底楽しめた初めてのローグライクゲームで、100時間以上はプレイして何度もクリアしました。なかなか手こずったけど、最後の船以外はすべてアンロックしたんじゃないかな。Vulcanを2つ積んでいれば最強だろうと思いきや、パワーバーを一つ失い、ほかの武器も失えば状況が一変することに気付いたり、また火災を鎮火せずにバトルに突入して負けを覚悟したりと、謙虚さを学べる価値ある体験でしたね。

 

 

SMAC Games

南アフリカ出身のMaciek Strychalski氏とSean Wright氏のインディースタジオ。現在はイギリスに拠点を置いている。今年、デビュー作となる『Tokyo 42』をPC/PS4/Xbox One向けに発売(Steam版は50%オフの990円で販売中)。殺人の濡れ衣を着せられた主人公が、闇の組織の陰謀を暴いていくオープンワールド・アクションゲームだ。未来の東京をモチーフにしたビル群の屋上を舞台にしており、カラフルでサイバーパンクな世界観が光る。

Maciek Strychalski氏のオススメタイトル
Arma 3』(66%オフ、1529円)『TowerFall Ascension』(値引きなし)『INSIDE』(50%オフ、990円)

Sean Wright氏のオススメタイトル
Sid Meier’s Civilization VI』(50%オフ、3500円)『RimWorld』(値引きなし)『Exanima』(値引きなし)

『Arma 3』では何千時間と費やし、ミッションをたくさん作りました。ミッションエディターによってゲーム内に新たなゲームを作ることができるのです。『PUBG』や『DayZ』もここから生まれましたね。また、マルチプレイにも膨大な数の楽しみ方があるので、シューターの方やゲーム作りに興味がある方には必携の一本です。『TowerFall Ascension』はもっとも優れたローカル協力プレイゲームの一つで、友人を何人か呼んでくればスピード感のある対戦が楽しめます。操作性が良く、ドット絵のグラフィックも素晴らしいですよね。『INSIDE』には示唆に富む忘れ難い物語があり、それが直感的に理解できるよう作られています。ゲームプレイはスリリングで、グラフィックは圧倒的。まさに傑作です。優雅にウィスキーを一杯やりながら楽しんで欲しい。

『Civilization VI』は歴史をテーマにしたゲームで、豊富な戦略性に惹き込まれます。地形要素に重きを置くことにより、都市建設においては高度な計画性が求められ、それがプレイヤーを没頭させることに繋がっています。素晴らしいアートと美学を詰め込んだ作品です。『RimWorld』では遠く離れた惑星での入植とサバイバルを楽しめ、社会動学がもたらす疑問や、物語性のある体験への素晴らしいアプローチを取っています。MODコミュニティの活動が盛んで、さまざまに拡張できるところもポイントです。『Exanima』は巧妙に作られた物理ベースのコンバットシムで、逆運動学や実世界をシミュレートすることに焦点を当てています。キャンペーンモードのコンテンツは大したものがなく、マスターするのも難しいゲームですが、アリーナモードだけは飽きることなく毎日プレイしています。

 

 

The Behemoth

アメリカ・サンディエゴに拠点を置くインディースタジオ。2008年に発売した横スクロールアクションゲーム『Castle Crashers』が大ヒットを記録し、2013年発売の2Dアクションゲーム『BattleBlock Theater』と共に今なお高い人気を誇る。どの作品も、共同設立者のDan Paladin氏が描く個性的でかわいいアートスタイルが特徴だ。現在は、ターン制ストラテジーゲーム『Pit People』をSteam/Xbox Oneで早期アクセス販売中(現在Steam版は35%オフの952円で販売中)。

Dan Paladin氏のオススメタイトル
DARK SOULS III』(75%オフ、1871円)『EVERSPACE』(50%オフ、1490円)『Divinity: Original Sin 2』(10%オフ、4482円)

『DARK SOULS III』は私にとって素晴らしい体験でした。最初の凶悪なボスがいきなり難関でレベルの上げがいがありましたし、すべてのエリアを訪れた後で振り返ってみると恐ろしい瞬間もたくさんありました。友人と一緒にプレイすることもできるのですが、マルチプレイではほかのプレイヤーがあなたのゲームに侵入し敵対してくることもあり、そうした場合に友人に助けを求めることもできます。何度も挑戦して勝利を得て、より強力な装備を獲得するのも楽しいです。

『EVERSPACE』はローグライク要素のあるスペースコンバット・シミュレーターで、強くなれなければ容赦なく死が訪れるゲームです。操作性は手堅く、グラフィックは美しい。また興味をかき立てられるストーリーがあります。ゲームではいくつかタイプの異なる戦闘機をアンロックできるのですが、小型でスピードのあるタイプがオススメです。

『Divinity: Original Sin 2』は『Dungeons & Dragons』に似たターン制ストラテジーゲームですが、そこまで複雑ではありません。自由にキャラクターを育て、4人までのパーティーを組んでプレイします。友人と一緒にプレイすることも可能ですよ。エレメントシステムによって戦略性に深みをもたらしており、バトルではミスが命取りになります。それぞれのヒーローには複数のストーリーが用意されているので、何度もプレイしたくなる作品ですね。

 

 

PLAYISM

弊社アクティブゲーミングメディアが運営するゲーム・パブリッシャー。多岐にわたるインディーゲームを発売しており、Sukeban Gamesによる『VA-11 Hall-A』(34%オフ、990円)と、同じくサイバーパンクなアドベンチャー『2064:Read Only Memories』(20%オフ、1584円)の日本語版を発売した。先日には立体型のシューティングゲーム『Astebreed』のSteam版(50%オフ、990円)では大型アップデートが実施された。

Shunji Mizutani氏のオススメタイトル
Cuphead』(15%オフ、1683円)『Doki Doki Literature Club!』(無料)

『Cuphead』はオールドスタイルのアニメーションでステージすべてが構成された、狂気的にさえ感じられるつくり込みが魅力の一作。しかし、本作が本当にすごいのは、その見た目ではなくレベルデザイン、だと思う。非常に難しいゲームなのだが、実にフェアである。こう来るよ、というのをきちんとプレイヤーに学習させたうえで、そのテンポを早めたり、数を増やしたり、パターンを組み合わせているため、理不尽さは一切ない。やられてしまった時に悪いのはゲームのせいではない。完全にプレイヤーの腕前のせいなのだ。ゲームにおける理想的な高難度を実現しており、一つひとつクリアした時の達成感がものすごい。素晴らしい出来栄え。

もう一本は『Doki Doki Literature Club!』である。これはセール対象ではないが、フリーゲームであるため、年末年始に気軽に楽しんでみてほしい。全編英語なので、日本のプレイヤーにはやや辛いが、頑張れば大体わかると思う。というのも、本作は基本的にはわりとベタなビジュアルノベルで、非常に内容がわかりやすい。ただ、とても工夫が凝らされた一作で、一見の価値ありである。ぜひ騙されたと思ってプレイしてほしい。登場する四人の女の子たちはいずれも魅力的で、どの子もとてもかわいい。
一週目をクリアすると、もう目が離せなくなるほど彼女たちにのめり込むだろう。