RTAの祭典「AGDQ 2018」で行われた『バイオハザード7』の最高難易度プレイが白熱。数々のアクシデントを切り抜け会場を沸かせる

【UPDATE 2018/1/12 19:40】
動画のリンク先をGames Done Quick 2018のTwitchチャンネルのものに修正しました。

【原文 2018/1/11 18:43】
チャリティイベント「Awesome Games Done Quick 2018」(以下、AGDQ 2018)が1月8日から1月14日にかけて開催されている。毎年1月に実施される本イベントは、挑戦者たちが様々なタイトルのリアルタイムアタック(RTA)に挑むというもの。今年の寄付先は非営利団体の「Prevent Cancer Foundation」(以下、PCF)となっている。

スポンサーリンク

日本時間1月10日に配信されたタイトルのうち、ひときわ会場を湧かせたのが『バイオハザード7 レジデント イービル』(以下、バイオハザード7)のRTA。プレイ条件は、PC版『バイオハザード7』ゲーム本編を「最高難度のマッドハウス」「ニューゲーム」「Any%(やりこみ度を考慮しない)」でクリアすること。挑戦者は米国出身のスピードランナーCarcinogenSDA氏。つい先月、マッドハウス(ニューゲーム)にて世界ランク2位(1時間41分55秒)の記録を出したばかり。ちなみに世界記録はJigsawTwitch氏の1時間39分31秒である(speedrun.com)。

カジュアル難易度(ニューゲーム+)であれば、エイム力に頼らず簡単な暗記だけで1時間40分を切ることが可能だが(関連記事)、高難度のマッドハウス、しかも「丸鋸」「アルバート-01R」といった強力なクリア特典を使わない「ニューゲーム」「Any%」となると別物だ。今回の挑戦ではランナーの腕前は勿論のこと、彼のエンターテイナーとしての素質が際立った。以下はスピードランの挑戦動画。開始時間は動画の4時間27分48秒地点から。

ガードキャンセル、ゲームリセットの有効利用、イベントトリガーの把握、インベントリー画面のカーソル合わせといったスピードランの基本的な解説、カットシーン中も退屈させないコメンタリー、ゲームに関するトリビア(「実際のルイジアナ州の家屋に地下室はない」「ベイカー家との晩餐中、ジャックがナイフを刺しているのはイーサン口中ではなく頰」など)により視聴者を飽きさせないCarcinogenSDA氏。

勿論テクニックでも魅せてくれた。マッドハウスランでは、木箱からランダムで入手したアイテムの内容によって、不足分を補うため適宜ルートを調整しなければならない。それだけでも大変なのだが、大舞台で幾度となくアクシデントに見舞われながらも、機転を利かせることでタイムロスを最小限に抑えていった。それが結果として視聴者に緊張感を与える、スリリングなスピードラン動画に繋がったのだ。ただし大幅なタイムロスは避けるため、リスクの高いテクニックは除外されていた。必ずしも最短ルートを辿っていたわけではない。

以下では会場の客席から歓声があがったシーンをピックアップ。以降の文は『バイオハザード7』のネタバレを含むので、注意してほしい。

予想外の展開であることを知らせる、驚きの表情

ミア戦 2回目 いきなり緊張が走る
スピードラン開始直後、まるで伏線を張るかのように「攻撃を1回受けるごとに10ドル寄付します」と宣言したCarcinogenSDA氏。序盤の難所であるミア戦でクリッピング(一回の攻撃を複数回ヒットさせる小技)に失敗したのち、ハンドガンの弾を数回はずす。それまでのリラックスした解説口調が一変し、ゲスト陣から「集中して」「大丈夫、お前ならやれる」といった声援が送られる。

「ミアがチェーンソーで扉を破壊している間、相手は無防備になる」という仕様を活用してヘッドショットを決めるものの、チェーンソーの回避に失敗し、いきなり瀕死の状態に陥る。回復薬を切らし、画面が赤く染まる中、残弾数ギリギリでなんとかミアを撃破。客席から拍手が送られた。その後は倒れたミアに向かって「なんてことをしてくれたんだ」と怒りの銃弾を撃ち込み、笑いを誘う。

ジャック戦 1回目 振り返るとは思わなかった
ジャック戦では幸先のよいスタートを切り、車両に乗り込むまでスムーズに事を運んでいく。だがジャックがなかなか車両に入ってくれず、またしても大ダメージを負う。それでも後半戦で体勢を立て直し、ゲームオーバーになることなく撃破。

繰り返し赤く染まる画面

地下通路を塞ぐモールデッド 一難去ってまた一難
地下室突入後、モールデッドの「Sucker Punch」(スポーンと同時に繰り出される攻撃)をくらい、死亡直前にまで追い込まれる。「Sucker Punch」の発生頻度は決して高くない。不運だったとしか言いようがない。

ジャック戦 2回目 心臓が持たないよ
ボス部屋中央のボディバッグを最大限に利用することでテキパキと戦闘を進めていくCarcinogenSDA氏。だが後半では、ジャックの即死攻撃を2度も受けそうになる。これにはゲスト席から「心臓が持たないよ」という静かなコメントが寄せられる。

影絵パズル こんなはずではなかった
「大丈夫、インベントリーのカーソルは正しい位置に合わせていたはず」という発言からのアイテム選択ミスで会場の笑いを誘う。

マーガレット戦 2回目 捕まるなんてありえないさ
「ここでマーガレットがスポーンするのですが、まず捕まることはなくて……」という解説の直後に足を捕まれるというアクシデント。これによりマーガレットの行動パターンが変わり、戦闘プランの変更を余儀なくされる。その後もスポーン運をつかめず数回瀕死状態になるが、冷静さを保ち見事撃破。熟練の技を見せた。

大型モールデッド戦 汚名返上
神経弾を使い手際よく始末。ポイントは、体力の低いエレベーター右側の大型モールデッドを先に倒すこと。これにて汚名返上。

ジャック 3回目 ピンチに陥るも最適化に成功
スピードラン最後の難所。後半まで1階に降りず、戦闘開始地点で継戦する方法を取っている。ここでも体力を削られたり、グレネード弾をはずしたりと緊迫した状況が続くが、後半戦は攻撃の最適化に成功しクリア。大きな歓声があがる。

ミア編突入 いないいないばあ
個室から出ようとすると、扉の前にモールデッドの姿が。思わず「アグググググ!」という言葉にならない奇声をあげ、慌てて扉を閉める。その後、「もう敵は消えたはずだよね」「ああ、消えたはずだよ」と安心して扉を開くと、同じ場所にモールデッドが立っていた。2度のサプライズで視聴者もハラハラ。

エヴリンとのワンシーン エンターテイナーとしての顔
ミア編では、エヴリンが突然椅子から立ち上がりカメラに迫ってくるという、VR対応を意識したジャンプスケアのシーンがある。本作をプレイ済みのプレイヤーならば、この展開を知っているため驚きはしない。RTAとしては退屈とすら思える場面だ。しかしCarcinogenSDA氏は、エヴリンとタイミングを合わせ、会場のカメラに向かって哄笑するというパフォーマンスを見せ、会場を湧かせる。

その後も四足歩行型モールデッドの攻撃を受け初のゲームオーバーを迎えるなど、危うい場面が何度も訪れる。「攻撃を1回受けるごとに10ドル寄付」という冒頭の言葉を守っているとすれば、CarcinogenSDA氏はこの日だけで数百ドル分の寄付をしたことになる。だが大舞台で完璧なランを求めるのは酷な話。むしろギリギリのところでも切り抜けていける確かなスキルを確認することができた。最終的なタイムは1時間49分27分。自己最高記録には届かないが、これだけのアクシデントに見舞われながらも2時間以内におさめたのは流石である。CarcinogenSDA氏の明るい姿勢、視聴者を楽しませようとする見せ方、ライブならではの先の読めない展開などが目立ち、視聴者としてはこれ以上なくスリリングなスピードランを目撃することができた。

「AGDQ 2018」は1月14日まで続く。予定されているRTAも、バグ連発の『Prey』、オールボス撃破条件の『ブラッドボーン』など見どころ盛りだくさん。イベントのフィナーレを飾るのはatz氏による『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』(全メインクエスト、Amiiboなし)RTAとなっている。気になる方は公式サイトよりスケジュールを確認しておこう。

ニュース

Indie Pick

インタビュー

レビュー・インプレ

Devlog