『アサシン クリード オリジンズ』の売り上げは前作の2倍を記録。クオリティ優先の開発サイクルが新作に好影響を及ぼす

 

Ubisoftは2月12日、2017年度第3四半期の決算を発表した。当期の売り上げは7億2500万ユーロ(約962億円)で、当初予想の6億3000万ユーロおよび上方修正していた7億ユーロを上回る結果となった。また前年同期比でも、36.8パーセント増を記録している。

この好調な結果についてUbisoftのCEO Yves Guillemot氏は、二つ要因を挙げている。まず一つ目は、ゲームの継続的な運営によってダウンロード関連および過去のゲームの売り上げ増に繋がったこと(ダウンロード関連の売り上げは75パーセント増を記録)。そして二つ目は、そうした継続的な収入が同社の新作に非常に良い影響を及ぼしたことだという。具体的には、発売を急ぐことなく開発にじっくり時間をかけられたということで、好例として『アサシン クリード オリジンズ』を挙げている。

『アサシン クリード』シリーズは、これまで毎年新作を発売してきたが、2015年発売の前作『アサシン クリード シンジケート』の売り上げがあまり振るわなかったことや、あらためてクオリティにフォーカスすること、また新たな技術を学ぶ機会を開発チームに与えるためなどを理由に、『アサシン クリード オリジンズ』の発売は1年延期され、シリーズのメインタイトルとして初めて前作から2年越しの発売となった。これを機に、Ubisoftは機械的に年刊リリースすることを止める考えを前期の決算発表の際に示している。こうした思い切った決断のできる余裕が結果に結びついたということだろう。

その前期の決算発表では、『アサシン クリード オリジンズ』は発売から10日間で『アサシン クリード シンジケート』の2倍の売れ行きであることが明らかにされていたが、今回は総売上でも2倍を記録していることが発表された。ちなみに、ダウンロード販売が占める割合も前作からおよそ2倍に上がっている。さらに、『アサシン クリード オリジンズ』のプレイヤー1人当たりの平均プレイ時間は、シリーズのほかのタイトルと比べて約2倍に達するという(『アサシン クリード4 ブラック フラッグ』は除く)。同作では追加ストーリーのほか、定期的なアクティビティが配信され続けており、ユーザーを上手く繋ぎ止めることに成功しているのだろう。Guillemot氏も、長期的な視野に立った戦略や投資が、このような成果に現れていると述べている。同作には今後も、追加ストーリー「ファラオの呪い」や、古代エジプトをツアー形式で体験できる「ディスカバリーツアー」などの配信が予定されている。

決算発表ではこのほか、『ディビジョン』のプレイヤーのエンゲージメントが、昨年12月に配信された大型アップデート1.8「レジスタンス」をきっかけに2倍以上に増加したことや、ニンテンドースイッチ向けに発売した『マリオ+ラビッツ キングダムバトル』が好調であることなどにも言及されている。来年度については4本のAAAタイトルを発売し、合わせて2300万本の売り上げを見込んでいるとのこと。これは、『ザ クルー2』および未発表タイトルの延期によって下方修正された数字となる。また、過去のタイトルの売り上げは引き続き堅調であると予想している。