『Darwin Project』早期アクセス販売開始。視聴者投票で試合展開が決まるリアリティ番組形式のバトルロイヤルゲーム

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Scavengers Studioは3月10日、ディレクター役のプレイヤーがマッチの行方をコントロールするリアリティ番組形式のバトルロイヤルゲーム『Darwin Project』の早期アクセス販売を開始した。対応プラットフォームはWindows(Steam)および海外Xbox Oneで、販売価格は1520円となっている。なお本作のアルファ/ベータテスト参加者のうちSteamライブラリにゲームファイルが残っている方は、そのまま無料で製品版にアップグレードされる。

本作は10人の出場者と1人の監視者(ディレクター)の計11人でプレイするバトルロイヤルゲームである。戦いの舞台となるのはロッキー山脈の極寒地帯。最大の特徴は、神の視点からマッチを俯瞰するディレクター役のプレイヤーが存在することだ。バトルロイヤルゲームはそれぞれ独自の方法で競技性と偶然性のバランスを取ろうとしており、例えば先日国内版が配信された『フォートナイト バトルロイヤル』は建設要素を持ち込むことで運により勝敗が決まってしまう確率を抑えている。一方『Darwin Project』は、マッチ出場者同士の争いこそ限りなく実力勝負に近いが、ディレクターの介入により偶然性が加えられている。

サバイバルとマンハントが生む競技性

足跡を追う雪山ならではの索敵方法

アリーナに降り立った出場者10人は戦闘に備えるため、クラフト素材である木材・皮革・エレクトロニクス(電子パーツ)を収集し、武器・防寒具・ガジェット・トラップを作成していく。マッチに持ち込む弓矢やトラップのレシピの種類は、複数ある中からプレイヤーの好みに合わせて事前に選択する。マッチ中に近接武器や防寒具を強化して攻撃力・耐寒性・移動速度などを上げることも可能だ。

出場者には対戦相手の位置を特定する手段が豊富に用意されており、能動的に動けば動くほど先手を取りやすくなる。他プレイヤーが残していった痕跡や足跡、戦場の各地に配置された全体地図(全プレイヤーの現在地マーカー付き)、相手を追うトラッキング能力などを駆使して対戦相手を狩る。この「マンハント」と呼ばれるシステムが本作の特徴のひとつとなっている。また戦いの舞台が極寒地ということもあり、定期的に火を起こして暖を取らないと凍え死ぬ。だが火を起こすと煙で現在地がバレる。どこで、どのタイミングで火を起こすのか慎重に判断せねばならない。こうした「サバイバル」と「マンハント」が噛み合わさることで、本作はアグレッシブかつテンポのよいバトルロイヤルゲームに仕上がっている。

火は命を救うと同時に、命を危険にさらす

マップは7つの小エリアに分かれており、時間経過と共にひとつずつエリアが閉鎖されていく。閉鎖されたエリアに残っていると体温が急速に下がるため、1分のカウントダウンが始まったら移動の準備を始めることが好ましい。また強力なアビリティの発動に必要なエレクトロニクス素材は、マップ上にランダムで出現し、プレイヤー画面上のミニマップに出現場所がマーキングされる。これらは他のバトルロイヤルゲームでいう「プレイエリアの縮小」と「エアドロップの投下」と同等の役割を果たしており、プレイヤーの移動や接触を促進する。

戦闘はオノによる近接攻撃と弓矢による遠距離攻撃がメインとなる。両方ともノックバック効果があり、プレイエリアが数十メートルサイズにまで縮小する終盤戦では、対戦相手をエリア外まで叩き飛ばして体温低下によるダウンを狙うという大乱闘プレイも可能だ。そのほかにもトラップや特殊アビリティをうまく駆使することで戦闘を有利に進められる。アビリティにはテレポートや大ジャンプといった移動系の技が揃っており、動きの多いバトルが味わえる。

神の手が介入する偶然性

ドローンのカメラでマッチを俯瞰するディレクターは、さまざまな手段でマッチに関与することができる。エレクトロニクスの出現場所とタイミング指示、閉鎖エリアの選択、爆撃の投下、重力嵐の生成、賞金首の指定、特定プレイヤーの回復や無敵化など、神の手としてマッチの行方を左右する。本来ゲーム側が決めるランダム要素の一部がプレイヤーに委ねられているのだ。ピンチに陥った出場者を回復したり、閉鎖エリアからの脱出に間に合わない出場者にスピードブーストをかけたりして、どんでん返しを演出することも可能。どうすればマッチが面白くなるのかを考える楽しさがある。

出場者が、ディレクターおよび後述する視聴者に気に入られるような振る舞い方を心掛けていれば、神の手が自分の味方をしてくれるかもしれない。実力勝負の戦場に偶然性の息吹が吹き込まれる。ディレクターのカメラが追っている出場者の画面には放送中(On Air)と表示されるため、出場者はカメラを意識してプレイすることになる。なおディレクター権限の行使にはアクションポイントが必要(アクションポイントは時間経過と共に増える)。よって無制限に関与できるわけではない。

閉鎖するエリアを選択

またハラスメント行為や出場者とのチーミングといったディレクター権限の濫用を防ぐため、「ディレクター・レーティング」という制度が導入されている。マッチ終了後に出場者がディレクターを評価し(星1〜5つから選択)、そこからレーティングが割り出される。レーティングが低いディレクターは、体力回復や無敵化といった特定出場者へのバフ行為が行えなくなる。

マッチ展開に干渉するのはディレクターひとりだけではなく、Twitch/Mixerとの連動によりストリーマーたちの動画視聴者が次の一手を投票することもできる。ひいきのストリーマーが有利になるような干渉行為を要求するわけだ。マッチ中には視聴者による人気投票も行われ、その結果からディレクター/視聴者が誰に肩入れしそうなのかを予想できる。出場者・監視者・視聴者が一体となってマッチを盛り上げる、リアリティ番組のような対戦ゲーム。そうした意味で本作は「ハンガー・ゲーム」に最も近いバトルロイヤルゲームと言えるだろう。

マッチ参加者の誰かひとりでもTwitch/Mixerで配信していれば、ディレクターは視聴者投票を呼びかけることができる。(公式サイトより

e-Sportsではなくリアリティ番組

マッチ中に対戦相手の現在地を特定する手段が豊富で、クラフト素材も能動的にプレイしていれば問題なく集められる。特殊アビリティの発動に必要なエレクトロニクスも複数出現するため、狙えば確保できる。敵の攻撃で即死することはなく、不利な状況に陥ったら特殊アビリティや環境アイテムを利用することで体勢を立て直せる。つまりディレクター役が介入しないと、競技性が限りなく高い実力勝負になる。そこにディレクターの気まぐれやひいきという形でわずかな偶然性を加えることで、リアリティ番組として盛り上がるようなバランスが取られている。

e-Sportsシーンへの浸透を試みている『PUBG』や『フォートナイト バトルロイヤル』が偶然性の高さにより競技としての発展に苦戦している中、『Darwin Project』はe-Sportsではなくリアリティ番組のような楽しみ方に特化したゲームを目指しているように思える。あくまでも実力重視で戦う出場者と、偶然性を挟む監視者/視聴者。競技性と偶然性が立場の違う人間の手に分担され、それぞれが能動的にマッチに関与しながら楽しむというのが、本作の魅力である。

カメラを意識しながらプレイする

『Darwin Project』の正式リリース時期は2018年夏を予定。現時点ではソロモード、プライベートマッチ、Twitch/Mixerと連動したスペクテイター・インタラクション機能、専用サーバ、アンチチート対策が実装済み。今後は正式リリースに向けて新機能、デュオモード、ディレクター権限などが追加されていく。

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