PCゲームを家庭用ゲーム機やモバイルデバイスで遊べるアプリ「Rainway」、不透明さ強まるニンテンドースイッチ版の行方


PCゲームをさまざまなデバイスでプレイすることを可能にするアプリ「Rainway」のオープンベータが開始され、もう少しで2か月となる。ベータ版ということで安定性に欠いているものの、継続的なアップデートにより改善が続けられている。実施中のベータ版ではWebブラウザでの利用のみに対応している。今やリモートプレイの存在は珍しくなく、高機能化が進んでいるのでWebブラウザ経由でのPCゲームのプレイというものに興味がある人は限られているのではないか。「Rainway」が多くの注目を集めている(いた)理由は、やはりニンテンドースイッチで利用できるという点にあるだろう。

「Rainway」はその存在が明かされた時から「ニンテンドースイッチ対応」をひとつのアピールポイントとしてきた。ゲームを動かす相応のスペックのPCと無線環境は必要であるものの、ストリーミングにてPCゲームを、携帯機として利用できるニンテンドースイッチにてプレイできるというのは、一部のユーザーにとっては魅力。ただ、そうした一部ユーザーの期待とは裏腹に、「Rainway」開発者は昨年の夏以降まったくニンテンドースイッチ版に言及していない。言及しないというより、もはや話題を避けている。RedditのAMAやTwitterのリプライもすべてニンテンドースイッチにまつわるものは沈黙を決め込んでいる。

その一方で「Rainway」の公式プロモーションビデオには、ニンテンドースイッチが幾度も登場する。宣伝には使い、ユーザーから問いかけには反応しない。期待ゆえのもどかしさ、そして販促に利用したのではないかという苛立ちが募るユーザーも存在していた。こうした膠着状態が続いており、さらに2月末にはちょっとした小競り合いが存在していた。

きっかけは、「Rainway」アプリ公式が「ニンテンドースイッチのこと聞かれずに投稿することに挑戦中」とTwitter上にて投稿したこと。そして立て続けに「そんなに(ニンテンドースイッチへの対応が)気になるなら、任天堂に問い合わせたらどうか。彼らがなんかしてくれるだろう」と吐き捨てた。この投稿に対して多くのユーザーが即座に反応。「(ニンテンドースイッチを)トレイラー映像にて使っていただろう。質問をする人を責めることはできないはずだ」「ニンテンドースイッチのおかげで注目された。個人的な意見でいうと、これはあなたの自身の失敗。」といった激しい反論が相次ぐ。「Rainway」公式アカウントは「判断は任天堂に委ねられている状態なんだ。それにRainwayはそもそもPCユーザーのためのものだと言ったはずだ。」と告げ、一連の投稿を削除してしまった(Gonintendo)。

https://twitter.com/DonatedShelf__/status/967924443313049601

「Rainway」公式は、昨年12月にも任天堂に問い合わせをおこなっていることを明かしていた。つまり、その状態から進展していないということになる。国内のニンテンドーeショップ(ニンテンドースイッチ向け)にて配信されている非ゲームのアプリはニコニコ動画が視聴できる「niconico」のみ。北米では「Hulu」などが配信されているものの、アプリ配信はまだ様子見状態であることがうかがえる。任天堂の対応によって「Rainway」が配信へ向かう可能性もあるが、現時点で配信される可能性は低い。ニンテンドースイッチはWebブラウザも利用不可となっており(仕様の隙間を突くような方法で立ち上げることはできる)、ニンテンドーeショップでの配信が認められなければ同アプリのリリース問題が進展することはないだろう。

こうした声に凝りたのか、「Rainway」公式アカウントはニンテンドースイッチを使った投稿を停止。以前は『ニーア オートマタ』や『Cuphead』をニンテンドースイッチにストリーミングして動かす投稿をおこなっていたが、今はWebブラウザやノートパソコン上で『ファイナルファンタジーXV』を動かすといった宣伝に留まっている。「Rainway」公式以前は投稿のたびに大きな注目を集めていたが、オープンベータがすでに開始され、かつニンテンドースイッチという後ろ盾を失い、存在感を失いつつある「Rainway」。PCゲームを携帯機で遊びたい方は、5月より発売されるコンパクトゲームPC「GPD WIN2」を購入したほうが手っ取り早いかもしれない。


国内外全般ニュースを担当。コミュニティが好きです。コミュニティが生み出す文化はもっと好きです。AUTOMATON編集長(Editor-in-chief)