昨年クラウドファンディングサイトにて多額の資金を集めた、ニンテンドースイッチ向け周辺機器の現在はどうなっているのか


ニンテンドースイッチのヒットにともない、多くの周辺機器が生まれた。素早い動きを見せたのは、KickstarterやIndiegogoなどクラウドファンディングを利用しての製品開発を決断した業者だ。4月にはニンテンドースイッチに装着するモバイルバッテリー「SwitchCharge」が、8月にはさらに大容量のモバイルバッテリー「PELDA Pro」が発表された。そのほか、持ち運びできるドック「C-Force(旧名Switch-Con)」、持ち運びできるプロジェクター「OJO Projector」が続々とクラウドファンディングキャンペーンにて成功を収めた。

「PELDA Pro」

夏が終わっても、Joy-Conを懐かしのスケルトン色に変える付け替え用シェル「Atomic Purple」、グリップを強化するケース「GripCase」などの製品が資金調達に成功したが、ニンテンドースイッチのオンラインアプリを快適にするワイヤレスアダプタ「UNIOM Wireless Adapter」、置くだけで充電できる「PowerPACK」(のちに自力で製品化)、多様なスケルトンの付け替え用シェルを用意する「Transparent Shell」、荒々しくグリップを強化する「Switch Gripz」など秋から冬にかけて資金調達に至らないプロジェクトが相次いでいた。最近では、操作感を大幅に強化し、スタンド機能も兼ねる「The Ultimate Gaming Grip」が資金調達に成功しているが、昨年春先にあった勢いはなくなっている。

こうした勢いの喪失は、やはり本職である周辺機器メーカーの本格始動があげられるだろう。先日国内では「携帯モード専用 十字コン」を発表した大手メーカーHORIが存在感を見せつつあり、そうでなくともとにかく多くの周辺機器メーカーがモバイルバッテリーや持ち運びドックを発売しているのだ。こうなれば、実績で劣るクラウドファンディングサイトの製品の勝ち目は極めて低くなる。現在は周辺機器メーカーが市場を支配しているが、それでは昨年クラウドファンディングサイトにて資金調達に成功したニンテンドースイッチの製品は、どのようになっているのだろうか。その足取りを辿ってみよう。

「The Ultimate Gaming Grip」

クラウドファンディング開始時には2017年7月後半出荷を予定していた「SwitchCharge」は、今月3月15日に初期バッカー向けの出荷が始まったと告知している。また数週間以内にほとんどのバッカー向けに出荷されるだろうと案内。今年の1月の出荷を予定していた「PELDA Pro」は、3月20日より出荷を開始したと発表している。2017年12月後半の出荷を予定していた「OJO Projector」は出荷の延期を発表しており、Makuakeにてさらなるクラウドファンディングキャンペーンを成功させ夏の出荷に備えている。

一方で小型ドック「C-Force」は予定どおり2017年8月の出荷を達成しユーザーからも安定した評価を獲得。スタンドアイテムである「PocketStand」も多少トラブルを抱えたものの2018年の6月の出荷に成功。「GripCase」は予定していた2017年10月から2か月遅れたものの出荷を完了し、発売後もサポートを続けている。「Atomic Purple」もまた予定どおり2017年10月の出荷を達成、一部届かない(対応できない)ユーザーがいるものの公約を果たしたといっていいだろう。

Joy-Con用のステッカーなども存在しており、その種類は幅広い

周辺機器メーカーの製品を購入するのに比べると、クラウドファンディングサイトのプロジェクトに出資するリスクは高いという結論になりやすいだろう。小規模なアイテムほど実現性は高く、規模が膨らむほど難航する傾向にある。これはクラウドファンディングプロジェクト全般に言えるものだろう。しかし一方で海外メーカーNykoのドックのように、ニンテンドースイッチ本体を破壊するリスクがある、さらにはファームウェアアップデートにより本体を使用不能にするとも報告されている(Digital Trends)。あくまでこれらは数少ない例であるが、周辺機器メーカーだからといって完全に安全とも言い難い側面もある。

ニンテンドースイッチのような遊び方の幅を広げるハードウェアは、周辺機器を使いカスタムするのにもってつけのハードウェアだ。しかしながら、クラウドファンディング経由での製品購入には、品質だけでなくいつ入手できるかという点で課題を抱えており、一部の周辺機器メーカーの製品でも本体に悪影響を及ぼすが依然として残る。多くの選択肢が存在するものの、リスクを回避するには、公式の商品やライセンス商品など、より信頼に足り得るものを選んでいく必要があるのかもしれない。


国内外全般ニュースを担当。コミュニティが好きです。コミュニティが生み出す文化はもっと好きです。AUTOMATON編集長(Editor-in-chief)