Steam版『クロノ・トリガー』アップデート第一弾配信開始。追加された「オリジナルグラフィック」と元々の「高解像グラフィック」を比較してみた


スクウェア・エニックスは本日4月11日、Steam版『クロノ・トリガー』の第1回アップデートを配信開始した。数回に分けて実施されるアップデートの第一弾となる。アップデート内容としては、すでに告知されていた原作版のドット表現により近づけた「オリジナルグラフィック」を選択できる機能、そして世界観へと近づけるフォントの変更(日本語含む)、原作の色調に近付けるためのウインドウのグラフィック変更、そのほか多岐にわたる修正がおこなわれている。

今回のアップデートの目玉は、配信開始より不評とされていたビジュアルに新たなオプション「オリジナルグラフィック」を追加する点だ。配信時に搭載されていた「高解像度グラフィック」は、オリジナル版を高解像度に対応させたことに合わせてかけられたフィルターが、原作の魅力であるドット絵表現を著しく損なっていると指摘されていた。海外のクリエイターがそれぞれSteam版『クロノ・トリガー』のビジュアルの問題を考察する動きも見られていた(関連記事)。

ただし、今回「オリジナルグラフィック」によりSteam版『クロノ・トリガー』がどのような見た目になったか、公式から画像などは提供されていない。そこで実装された「オリジナルグラフィック」と「高解像グラフィック」を冒頭のシーンを使い比較していきたい。解像度は1920×1080、Steamスクリーンショットで圧縮されていない状態のスクリーンショットをいくつか掲載する。

まずは冒頭のワールドマップが映るシーン。船や海についての表現はほとんど変わらないが、「高解像グラフィック」では、たびたび不自然さが指摘された“境界”が自然なドット絵で表現されている。森の表現については、比較してみると顕著にその違いがわかる。

ジナに起こされるシーン。「オリジナルグラフィック」であってもフォントやUIは同じ解像度で楽しめるのは嬉しいところ。「高解像グラフィック」はなめらかなグラフィックが楽しめるが、「オリジナルグラフィック」ではよりピクセルアートが印象的。好みが分かれるかもしれない。部屋のグラフィックを見ても、やはり「オリジナルグラフィック」の方がくっきり見える印象だ。小さなオブジェクトも両スタイルによりイメージが違ってくる。

広場でのシーン。タイルにおける印象は「オリジナルグラフィック」と「高解像グラフィック」ではっきりと異なる。グラフィックで、キャラクターについての印象も多少は違ってくる。一方でオブジェクトの鐘などは「高解像グラフィック」の方がいくらかなめらかだ。

あくまで冒頭のシーンを中心に比較してみたが、「オリジナルグラフィック」はその文言どおり原作に近い印象で、くっきりはっきりと見えると感じるのではないか。ひとつの懸念点であったフォントも改善され、着々と原作に近付いている。5月前半に実施されるアップデートでは、Steamレビューにて問題点として指摘されていた全体的なUI(操作方法や画面レイアウト)を、変更及び選択機能の実装などを複数回にわたって実施するという。まだ時間はかかりそうであるが、原作の魅力を損なわない作品にすべく、スクウェア・エニックスは今後も取り組んでいくようだ。