米国にて『ゼノサーガ エピソード3』の副題「ツァラトゥストラはかく語りき」がバンナムによって商標登録される

 

バンダイナムコエンターテインメントは4月10日に、米国にて「ALSO SPRACH ZARATHUSTRA(ツァラトゥストラはかく語りき)」を商標登録したと、Gematsuが報じている。「ツァラトゥストラはかく語りき」とは、ドイツの哲学者フリードリヒ・ニーチェの著作。「ツァラトゥストラはこう語った」とも呼ばれるこの作品は、晩年のニーチェの思想が込められている。歴史に名を残す世界的に有名な著書のタイトルが商標登録されたわけであるが、その商標登録をバンダイナムコエンターテインメントがしたとなると話は違ってくる。

というのも、「ツァラトゥストラはかく語りき」は2006年7月にPlayStation 2向けに発売された『ゼノサーガ エピソードIII』の副題なのだ。『ゼノサーガ』といえば、現在は『ゼノブレイド』シリーズを手がけるモノリスソフトが開発したRPGシリーズ。濃密なSF世界に舞台に、思想や倫理を問う重厚な物語が描かれ、現在でも根強いファンを抱えている。その完結作の副題が、商標登録されたということで、注目が集まっているわけだ。以前には「ALSO SPRACH ZARATHUSTRA」はバンダイナムコエンターテインメントがコンピューターゲームとして取得していたが、今回新たに商標登録されるにあたって「ダウンロード型のコンピューターゲーム」の一文が加わっている。そこに新たな意味を見出すことはできるだろう。

もともと『ゼノサーガ』のIPは、販売元であるバンダイナムコエンターテインメントが保持していることで知られており、同社の原田勝弘氏もバンナム社がIPを保持していること、そしてHDリマスターの可能性がゼロではないことを2014年1月に語っていた。ただし翌日には、国内ユーザー向けには実現は簡単ではないとも真摯な姿勢で答えていた。海外向けには同年9月に、HDリマスターを求めるファンに感謝を述べつつ、重要なのは同じファンの強い要望ではなく、数多くのユーザーの要望であるとも話していた。

ちなみに最近商標登録されたのは『ゼノサーガ エピソードIII』の副題のみ。第一作目の副題である「Der Wille zur Macht(力への意志)」、第二作目の副題「Jenseits von Gut und Bose(善悪の彼岸)」には、大きな動きはなく『ゼノサーガ(Xenosaga)』も更新は続いているが、展開を示唆する予兆もない。もしHDリマスターとして動きがあるなら、関連した商標にも変化が見られることが予想できる。

エピソード3の副題のみ商標登録、そしてダウンロード型のゲーム。こうしたさまざまな要素を考慮すると、推測をするにせよ『ゼノサーガ エピソードIII』のPS2版がダウンロードタイトルとして米国で配信される可能性があるかもしれないという程度に留まる。ただし、昨年12月発売された『ゼノブレイド2』にはレアブレイドとして『ゼノサーガ』のKOS-MOSが登場しており、モノリスソフトの現在の親会社である任天堂と、版権元のバンダイナムコエンターテインメントの良好な関係性が垣間見える。先日には『ゼノギアス』のコンサートが開催されるなど、ファンの『ゼノ』シリーズの熱は2018年にして高まりつつある。さまざまな会社を巻き込んだプロジェクトであり、何を動かすにせよ困難が付随するであろうことが予想できるが、シリーズの新展開に期待したいところだ。