『マリオカート8 デラックス』の売上が正式にWii Uの無印版超え。そのほかNintendo Switch本体好調を受け各タイトルが成長中


任天堂は4月27日、平成30年3月期 決算短信を掲載するとともに主要タイトル販売実績を更新した。主要タイトル販売実績ページでは、その名のとおり任天堂から発売されている主要タイトルの販売本数を確認することができる。たとえば『スーパーマリオ オデッセイ』は、すでに1041万本販売されていることがわかる。その中で注目したのは『マリオカート8 デラックス』の数字だ。1月に掲載されたデータの時点では723万本だった売り上げは、922万本に伸ばしている。この結果を受けて、同作が842万本を売り上げているWii U向け『マリオカート8』の数字を正式に超えたことになる。

『マリオカート8 デラックス』は、『マリオカート8』をベースにしたタイトルだ。追加コンテンツの16コースを収録し、インクリングを代表に新(復刻)キャラクターを追加。新アイテムを追加し、初心者向けのハンドルアシストシステムを導入。そのほか、細やかなバランス調整がおこなわれている。全体的なボリュームアップがはかられている、移植をともなう強化版とも言える。ただ一方で同作は、あくまで強化版であり新作ではない。その強化版の売り上げが、800万本とスマッシュヒットした前作を大幅に超えていった。売り上げのスケールを考慮すると、あまり前例のない現象と言っていいだろう。

『マリオカート8 デラックス』はアメリカのNPDチャートのトップ10の常連であり(VentureBeat)、イギリスの週販チャートでも同様に上位に顔を見せる。これらのチャートや同作の売り上げ動向チェックしていた人なら、この時が来ることを予想した人もいるかもしれない。もちろん、『マリオカート8 デラックス』の評判がよいことも影響しているが、対応プラットフォームであるNintendo Switchの販売好調が、この勢いを支えている一端であるだろう。

4月21日付けのイギリスの週販チャート。5位に『マリオカート8 デラックス』がランクイン Image Credit : Ukie

こうした本体売り上げの勢いの追い風に乗り、売り上げを伸ばしているタイトルはいくつも存在する。たとえば『ポッ拳 POKKÉN TOURNAMENT DX』はすでに113万本を突破し好調を維持、『ゼノブレイド2』も131万本を売り上げ『ゼノブレイド』シリーズ歴代最高の数字となることが確実視されている(任天堂IR 2018年3月期 決算参考資料PDFより)。そのほか、3月に発売された『星のカービィ スターアライズ』については、アメリカ・イギリスともにシリーズ最高の出足を記録していることが報告されている(Venturebeat)。いずれのタイトルも作り込まれており、シリーズ作品として一定の評価を獲得している。並べて本体の売り上げのおかげと表現すると粗っぽくなってしまうが、やはりNintendo Switch自体の勢いは多少なりとも売り上げを支えていると考えられる。

本体の売上は、移植タイトルにも追い風を生んでいる。『マリオカート8 デラックス』が輝かしい軌跡を辿っていることと、他機種にてすでにリリースされている、インディーを中心とした移植タイトルが売り上げを伸ばしていることは無関係ではないだろう。昨年9月時点で弊誌した調査では、リリースタイトルの中で移植作品の比率が高さが目立った(関連記事)。Nintendo Switchのマーケットは移植タイトルとともに成長している側面もある。ただ一方で、こうした移植タイトルの多さをめぐる議論が、redditなど海外コミュニティにて定期的におこなわれている。携帯機として遊べるという利点があり受け入られる土壌はあるものの、新作を望むユーザーも一定いるのかもしれない。

来月には、任天堂の次なる移植タイトル『ドンキーコング トロピカルフリーズ』が5月3日に発売される。こちらのセールスも、いずれは前作を超えることになると予想される。携帯機として遊べるという明確が利点を持つNintendo Switchは、新作・移植ともにどこまでセールスを引っ張っていくのだろうか。