タニタが『とある魔術の電脳戦機(バーチャロン)』用の「ツインスティック VTX」のクラウドファンディングを開始。価格は5万5400円

 

計量器メーカーとして知られるTANITA(タニタ)は6月8日、クラウドファンディングサイトCAMPFIRE(キャンプファイヤー)にて「ツインスティック VTX(Version TANITA eXtra)」の開発資金を募るキャンペーンを開始した。ツインスティック VTXは、PlayStation 4向けにセガから発売中の『電脳戦機バーチャロン×とある魔術の禁書目録 とある魔術の電脳戦機』に対応するジョイスティックコントローラーだ。タニタは今年2月、ゲーム業界への参入を宣言し、その第1弾としてこのツインスティック開発プロジェクトを発表していたが、ついに始動することとなった(関連記事)。

『とある魔術の電脳戦機』を含む『電脳戦機バーチャロン』シリーズはアーケードを起源とし、その筐体には操縦桿をイメージした2本のジョイスティックが装備されていた。その操作性を再現するために、シリーズ作品がセガサターンやドリームキャストなどに移植される際には、合わせて専用のツインスティックが周辺機器として販売されてきた歴史がある。

セガは『とある魔術の電脳戦機』向けにもツインスティックの発売を検討したが、部品から設計しなおさなければならず時間とお金がかかることから断念。そこで、“チャロナー”である谷田千里氏が社長を務め、社内には“バーチャロン部”まで存在するタニタが手を挙げることとなった。ただ、決して谷田氏個人の趣味でおこなっているプロジェクトではなく、日本の高品質な“ものづくり”の存在感を世界に示していきたいという想いもあり、今回の取り組みをモデルケースとしているとのこと。クラウドファンディングを利用することについては、ツインスティックのような販売見込の立てにくいプロジェクトには最適なためだとしている。

今回タニタが開発するツインスティック VTXには、ユーザーに長い間使ってもらえるよう「一生もの」というコンセプトがあるという。これを実現するため、まずスティック基部の構造をゼロから見直し、ねじり・加重に対する強度を高めるとのこと。これによって壊れ難くなるだけでなく、アーケード版と同じ傾斜可能角度8度のスティックの開発が可能になったという。そして、内部配線のレイアウトにはユーザー自身がメンテナンスしやすいような配慮がなされる。タニタとしては分解することは推奨せず、製品保証も失われる行為となるが、保証期間が過ぎた後のことを考えてのことだそうだ。なお、ツインスティック VTXの個人向けパーツ販売はおこなわれない。

スティック基部の製造は、過去にアーケード版のスティック基部の製造経験があり、アーケードスティックのパーツなどでも知られる三和電子株式会社が担当する。今回新たに開発するスティック基部は、アーケード版の交換パーツとして販売することも視野に入れているとのことで、プロジェクトが成功すれば、その恩恵は『とある魔術の電脳戦機』だけでなく、今も全国のアーケードで稼働する『バーチャロン』シリーズにも及ぶことになるだろう。

ツインスティック VTXは、USB接続の1ボタン/2トリガー仕様で、PSボタンやSHAREボタンなども装備する。現在、PlayStationのオフィシャルライセンス商品とすべく申請中だそうだ。上のイラストは開発中の製品イメージで変更の可能性もあるそうだが、サイズは約45 x 34 x 23cm、重量約4.5kgを予定しているとのことで、デザインやサイズ感は過去にHORIからPS3/Xbox 360向けに発売された「ツインスティック 3/EX」に近い。

最後に肝心の価格だが、CAMPFIREにて5万5400円(税込)を出資すれば、クラウドファンディングキャンペーンが成功した場合にツインスティック VTXを1台入手できる。出荷時期は2019年5月頃の予定。筐体には先着順にシリアルナンバーが入るとのこと。なお、キャンペーンの初期目標金額は2億7700万円に設定されており、期限である7月30日までに、単純計算で5000台の注文が必要となる。

*セガの協力により、ツインスティック VTXに対応するためのPS4版『とある魔術の電脳戦機』のアップデートもおこなわれる予定。

ツインスティック VTXは、ツインスティック 3/EXの3万円をも超える価格となるが、一般販売は予定されておらず、入手できるチャンスは基本的にこのキャンペーンの間のみとなる。タニタのいう「一生もの」になるということを考えれば検討する価値はあるだろう。詳しい情報はキャンペーンサイトをご覧いただきたい。