J・J・エイブラムス氏の制作会社が、新たにゲーム部門を設立。中国テンセントとさまざまなゲームをリリースへ

 

J・J・エイブラムス氏が所有する映像制作プロダクションであるバッド・ロボット・プロダクションズ(以下、バッド・ロボット)は6月7日、同社の社長兼COO(最高執行責任者)であるBrian Weinstein氏を通じて、同社が中国のネットワークサービス大手であるテンセントと戦略的提携関係を結び、新たにBad Robot Gamesを設立すると発表した。また、ワーナー・ブラザース・インタラクティブ・エンターテイメントがBad Robot Gamesの少数株主となることもあわせて報告された。

テンセントは『League of Legends』のRiot Gamesや『フォートナイト』のEpic Games、『クラッシュ・オブ・クラン』のSupercellなどを傘下に収め、UbisoftやActivision Blizzardの株主としても知られるゲーム業界の最大手。バッド・ロボット・プロダクションズは、「LOST」や「FRINGE/フリンジ」、「エイリアス」などのテレビドラマや、「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」、近年の「ミッション:インポッシブル」シリーズなどの映画作品を手掛けてきたアメリカの映像制作会社だ。2001年に映画監督、プロデューサーとして著名なJ・J・エイブラムス氏によって設立された。

Bad Robot Gamesを率いることになるのは、2006年以来バッド・ロボットで『Cloverfield Alternate Reality game』などのインタラクティブ・コンテンツに携わってきたDave Baronoff氏。エイブラムス氏はBaronoff氏について「Daveの想像性、熱い情熱と優れたリーダーシップは、我々とパートナーであるテンセントの専門知識や経験を結びつけてくれるだろうし、世界中の皆さんにゲームをお届けする上でも、何ものにも代えがたいものとなるだろう」と期待のコメントを寄せている。
Bad Robot Gamesによると同社が手掛けるゲームは、大規模なプロジェクトだけでなくインディー規模のものもあり、モバイルやPC、コンソール向けになるとのこと。

ゲームファンにとってJ・J・エイブラムス氏といえば、2013年にDICE Summitのキーノートで『Portal』と『Half-Life』の映画化計画があることを、Valveのゲイブ・ニューウェル氏とともに発表していたのを記憶している方も多いだろう。映画化は例によってValveタイムにより歪んだ時空の彼方で進行中(※)だが、そこでエイブラムス氏が「Valveの新作ゲーム開発に協力する」と発言していたことを憶えている方はおられるだろうか。結果的にバッド・ロボットは2015年に、ValveやEscalation Studiosとともに『Team Fortress 2』のゲームモードのひとつである「PASS Time」を開発している。バッド・ロボットの開発だということは知らないまでも、プレイしたという方も多いだろう。

※エイブラムス氏は2016年の映画「10 クローバーフィールド・レーン」の監督にYouTubeの映像作品「Portal: No Escape」のダン・トラクテンバーグを起用。同年、Valveとの会合を行うなどあくまで映画化は進行中であるとしていた。

またゲームと映画監督というと、小島秀夫氏とギレルモ・デル・トロ氏を思い浮かべる方が多いだろう。蛇足だが、J・J・エイブラムス作品といえば、映画ファンの間ではなんといっても“レンズフレア”だ。ゲーム界では小島秀夫氏も“レンズフレア”好きで知られている。レンズフレア・フェチな筆者としては、ゲームにおける二人の巨匠によるレンズフレア対決からも目が離せないところだ。
デル・トロ氏は紆余曲折を経た結果「ビデオゲームには二度と関わらない」と宣言してしまったが、デル・トロ氏と同じくゲーム通として知られるエイブラムス氏だけにBad Robot Gamesの今後に期待したい。


ゲーム世界の散策とスクリーンショット撮影を趣味にしています。コア、カジュアルを問わず、ハードルが低く奥が深いゲームに惹かれます。