PS4新作『Death Stranding』最新トレイラーがさらなる謎を呼ぶ。小島監督が「女神」と呼ぶ二人のヒロインがカギを握る?


【UPDATE 2018/06/13 14:43】
『Death Stranding(デス・ストランディング)』の「E3 2018」トレイラーの日本語字幕版、日本語音声版が公開された。日本語版の公開に合わせて、以下原文の固有名詞を正式名称に修正している。

【原文 2018/06/12 17:27】
ソニーインタラクティブエンタテインメントは6月12日、「E3 2018 PlayStation Showcase」にて『Death Stranding(デス・ストランディング)』の最新トレイラーを公開した。本作は小島秀夫監督率いるコジマプロダクションが開発中のPlayStation 4用タイトルである。ゲームエンジンはGuerrila Gamesの作品で使われているDECIMAエンジンを採用している。

本作の主人公はノーマン・リーダス扮するサム・”ポーター”・ブリッジズ。「伝説の配達人」と呼ばれる彼は、粉々に散った世界を繋ぎ戻すため、「座礁した未来の残骸」を運ぶ旅に出る。山脈や廃墟を越え、ときには川を渡り重荷を運ぶサム。時折降り注ぐ雨は、触れたものの時の流れを速める「時雨(Timefall)」と呼ばれており、雨に打たれた植物は急激に成長し一瞬で枯れていく。昨年のトレイラーでは植物だけでなく、雨をもろに受けた男性が数秒で老化していく様子が確認できた(関連記事)。

雨にあたっても老化しないキャラクターがいるのは何故か、という疑問もあったが、今回のトレイラーで初登場した女性(女優レア・セドゥ)がその答えを教えてくれる。彼女いわく、巨大クマムシを食べると「時雨」の影響を受けずに済むとのこと。クマムシはクリプトビオシスという無代謝状態に入ることで放射線汚染地帯や真空地帯でも生存し続けられる高耐性の生物として知られている。異様に発達した巨大クマムシを食すことで、彼らと似た耐性を一時的に得られるということだろうか。またトレイラー内でサムはカイラル・アレルギー持ちの能力者(DOOMS)と呼ばれており、サムは相手に「絶滅因子を持っているが、あんた程じゃない」と返している。「カイラル・アレルギー」がこの世界で起きている現象のキーワードとなりそうだ。

全てを消し去るわけじゃない。過去は捨てられないもの

これまでのトレイラーにも登場した「見えないが感じることはできる」謎の生命体(トレイラー”奴ら”もしくは”BT”と呼ばれている)は、今回もサムの側にやってくる。音に反応するようで、トレイラーでは通り過ぎるまで静止して待っている様子が映っている。だが立ち止まっているだけでは旅を進められない。赤ん坊が入った保護チューブと、サムが背中に背負っているアンテナ型の装置を接続することで、目に見えない生命体がいる方角を探知することができる。トレイラー後半では、装置に頼りながら生命体に襲われないよう移動するシーンが確認できる。

サムが無線で話すシーンでは、相手に「奴らに食われると対消滅(voidout)する。あんたは帰還者だから戻ってこられるが その一帯はクレーターになるぞ」と注意される。これまでのトレイラーにはなかった対消滅という単語が気になるところ

目に見えないが、手の跡だけはくっきりと残る生命体。レア・セドゥ演じる女性と手を繋いだときだけ薄っすらと空に浮かんで見える5体の人影。トレイラーで流れる「Give me your hand in life」「Give me your hand in death」といったメッセージ。手と関わる謎が多く散りばめられていることも、これまた謎が謎を呼ぶ。ちなみに女優レア・セドゥ演じる女性が着ているスーツには「FRAGILE EXPRESS HANDLED WITH LOVE」と書かれている。「ワレモノ 速達 愛情を込めて扱います」といったところだろうか。彼女もまた、サムと似た配達人なのかもしれない。

女優レア・セドゥ
薄っすらと映る5体の人影

レア・セドゥはフランス出身の女優であり、「イングロリアス・バスターズ」「ミッション・インポッシブル-ゴーストプロトコル」「007 スペクター」(ボンドガール)といった作品で知られている。PlayStation.Blogに寄稿した小島監督によると、彼女の女暗殺者としてのオーラに惹かれたとのことだ。

また、トレイラーの最後にサプライズ登場したもう一人のヒロインを演じるのは名女優リンゼイ・ワグナー。「YouTube Live at E3」のインタビューに登場した小島監督は「僕の人生で一番憧れて影響を受けた人がリンゼイさんです」「いつ死んでもいいように一番影響を受けた人、リンゼイさんにヒロインの役をやってもらおうと企画のほぼ当初から心の中で決めていました」と語っている。小島監督が13歳の時に見たSFアクションシリーズ「The Bionic Woman」(「600万ドルの男」のスピンオフ作品)でワグナー氏の存在を知ったのが始まりだったという。一方、ワグナー氏は暴力だけのゲームであれば参加するつもりはなかったが、小島監督と会い、普通とは違った切り口でゲームを制作していることを知り、仕事を受けたという。

小島監督は上記インタビューにて、ワグナー氏には彼女でないとできない役柄を与えていると述べており、特に重要なキャラクターであることが窺える。もうひとつ気になるのが、先述したPlayStation.Blogにて小島監督が残した「ゲーム内で必要に駆られ」て若い頃のワグナー氏の姿を生成したという言葉。トレイラーではサムの前に現れる若かりし頃のワグナー氏と、サムが持つ写真に映る老いたワグナー氏の姿が確認できる。ワグナー氏と同じ写真に映っているサムの姿も、やや老いて見える。「時雨」により老化が進む世界にて、この二人だけは若返っているのだろうか。

女優リンゼイ・ワグナー。小島監督はPlayStation.Blogと「YouTube Live at E3」の両方で、ヒロイン役の女優陣について「女神」という表現を使っている。たまたまなのか、それとも、これもまたひとつのヒントなのだろうか

トレイラーが公開されるたびに謎が増えていく『Death Stranding』。PlayStation.Blogに寄稿した小島監督が語るように、2016年に1つ目のトレイラーが公開されてからというもの、「『DEATH STRANDING』というゲームがどんなゲームなのかという謎を解くゲーム」が世界中のコミュニティで遊ばれてきた。そして4つ目となる今回のトレイラーでは、一部の問いに対する答えが示されているという。とはいえ簡単には全容が見えてこないミステリアスな内容であることには違いなく、これからコミュニティ内での考察が進むことに期待したい。解読にあたっては「前半と最後のシーンは実際のゲームプレイを最も象徴する場面」という小島監督の言葉がひとつの手掛かりとなりそうだ。

本作の開発陣がこれまで発信してきたように、ゲームの目的は武器を使って敵を倒すことではなく、縄を使って世界を繋ぐこと。武器に頼って戦うこともできるにはできるが、しばらくプレイすればそれが最適解ではないことが分かってくるという。ノーマン・リーダスやマッツ・ミケルセンといった大物俳優が関わっていることもあり、ゲームという枠組みを超えて注目されている『Death Stranding』。謎が解ける日が待ち遠しい。