モンスターを捕まえ育て進化させる大規模オンラインRPG『Temtem』Nintendo Switch版発売決定


スペインのインディースタジオCremaが現在実施中の『Temtem』のKickstarterキャンペーンが25万ドルを突破し、ストレッチゴールを達成したことによりNintendo Switch版の発売が決定した。『Temtem』はモンスター育成RPGだ。ゲーム内の世界Omninesiaの浮遊島Airborne Archipelagoを舞台に、Temtemと呼ばれるモンスターを捕まえて育てていく。テイマーたちと戦いを重ねてモンスターを成長させ、8人の道場リーダーと悪の組織Clan Belsotoを打ち倒すことを目指す。PC(Steam)版の発売はすでに決定したが、Nintendo Switchでもモンスターテイムを楽しめるようになる。

フィールドの草むらや砂地を移動しているとエンカウントが発生しTemtemが現れるので、彼らを倒したり捕まえていく。Temtemは最近デジタル化される技術が導入されており、液晶パネルの中から飛び出し、バトルの場へと登場する。戦闘はターン制となっており、ターン毎に行動を選択し駆け引きをおこなう。戦闘は2vs2を特徴としており、2vs1や1vsでも戦えるようだがあくまで基本は2vs2であるとのこと。Temtemたちはそれぞれ属性を持っており、たとえばファイアはネイチャーに強かったり、メンタルはメレーに強かったり、エレクトリックはウォーターに強かったりと、相性を考えてモンスターを戦闘の場に出すことが重要になるだろう。

『Temtem』では成長や進化と同様に、モンスター同士を組み合わせて繁殖させることも可能。子供モンスターには、親のステータスや技の一部が受け継がれるという。ただし注意したいのは、繁殖を繰り返すほど親モンスターが劣化していく点。つまり、1匹のモンスターによって複数回しか繁殖ができないことになる。計画的な遺伝と子作りが必要になりそうだ。

本作の最大の特色は、大規模なマルチプレイを導入するという点。オンライン要素を導入していることにより、多数のプレイヤーと共に世界を探索できる。友達になるもよし、戦闘をするもよし、アイテムを交換するもよし。賑やかな世界でのモンスター育成が楽しめるだろう。家を買えば自宅を構えて装飾できるハウジングシステム、そして自アバターの衣装のカスタムといった要素も揃えている。

『Temtem』は非常に野心的なタイトルであるが、気になるのはあまりに『ポケットモンスター』に似すぎているのではないかという点だ。すでに国内外メディアからは『ポケモン風』と呼ばれており、PC Gamerからは「Temtemは合法的にできる限り『ポケモン』に近づけた作品」とまで評されている。確かに基本システムから8人の道場リーダーを倒すという進行形式、戦闘演出など何から何まで『ポケモン』だ。そう表現したくなる気持ちも理解できる。この点について、開発スタジオのCremaに訊ねたところ、『ポケモン』を愛しており『ポケモン』から影響を受けているのは事実であるが、決して“ポケモンクローン”は作ろうとしておらず、自分たちの望む新規のIPのモンスター育成RPGを作っているという。

Cremaは、具体的にはっきりと『ポケモン』と差別化できるポイントとしては、前述の「大規模オンライン」「他プレイヤーとの協力」「2vs2での戦闘」「繁殖による劣化」をあげている。そして、もっとも異なるポイントとして強調しているのが「戦闘におけるランダム性の排除」だ。急所や命中率の概念を排除しており、運がまったく関与しない戦闘が繰り広げられる。また属性のタイプは12種類に削減(単純化)されていたり、モンスターの指定や禁止ルールを導入するランクマッチを追加していたりと、さまざまな要素が盛り込まれている。さまざまなオリジナルエッセンスを加えているようだが、やはり類似点の多さは気になるところ。

そもそもCremaの前作は、FPSにローグライク要素を組み込んだ『Immortal Redneck』だった。『Temtem』とはかけ離れた雰囲気の、ハードコアな作品だ。前作と大きく雰囲気は異なるが、モンスター育成RPGを作りたいという想いはもとより存在しており、それを作品にしたかったと語る。日本語対応について訊ねたところ、現時点では英語とフランス語、そしてスペイン語への対応は決定済みであるが、日本語も含めた他言語対応は、コミュニティの大きさ次第であるとコメント。なお日本語対応をする場合には、そのためのパートナー会社を見つける必要があるともしている。

『Temtem』のKickstarterは7月頭まで続くほか、Steam版は20ドル出資すればゲーム本編を入手可能で、Nintendo Switch版は30ドルから入手可能。PC向けアルファ版が2018年10月から始まり、2019年9月から早期アクセスを開始。2020年5月までに正式リリース予定でこのタイミングはじめてNintendo Switch版が手に入る。

なお、PC版とNintendo Switch版のクロスプレイは現時点では、計画しているとのこと。任天堂がNintendo Switch版のリリースを許さないのではないかという問いかけに対しては、すでに任天堂の開発者ポータルサイトには登録済みで、『Immortal Redneck』もNintendo Switch版をリリース済み。それらしき予兆もなく、同社との関係は良好であるとしている。さらには、『Brawlout』や『Oceanhorn』といった任天堂IPのクローンを思わせるタイトルも受け入れてきた経緯から、本作も問題なくリリースされるだろうと楽観的な姿勢を見せている。