デジタル販売が加速する中、「パッケージ版」を好むゲーマーはどれほどいるのか?アメリカにて消費活動に関する調査が開示

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アメリカの情報・調査会社Nielsenは5月24日、アメリカのゲーム市場における消費者動向を調査した「U.S. Games 360 Report: 2018」を公開した。調査期間は2018年第1四半期で、アメリカ在住の13歳以上の男女2000人超からの回答をもとにしている(男女比は半々)。そしてこの中では、ゲームはダウンロード版よりもパッケージ版を好む(prefer)という人の割合が依然多いという結果が出ており、業界メディアGamasutraなどが報じている。

Image Credit: Nielsen

調査結果ではPS4やXbox One、Nintendo Switchといったコンソールでゲームをプレイするゲーマーと、PCゲーマーを分けて示しており、パッケージ版を好むとした割合が多かったのはコンソールゲーマーだ。回答者の66パーセントがパッケージ版を選んでいる。一方のPCゲーマーの方はというと、わずか29パーセント。ダウンロード版の方が好まれる傾向が顕著に出ている。PCではSteamなどでのダウンロード販売が早くから普及している一方、コンソールでは各プラットフォームにてダウンロード版の販売もおこなわれているものの、いまも店頭にパッケージのゲームが多く並んでいることからすると、順当な結果といえるかもしれない。

またパッケージ版はダウンロード版と違い、物理的に手にすることができるため、ユーザーの所有欲を満たす一面もある。Nielsenの調査報告の中では「私のゲームコレクションはトロフィーケースのようなものなんだ」という回答者のひとりの声を紹介している。またこの回答者は、友人との貸し借りができることもパッケージ版のメリットとして挙げている。ダウンロード版でも共有機能が提供されている場合もあるが、物理的なやり取りの方が手軽で分かりやすいという人も多いだろう。こうしたパッケージ版のニーズは根強いようで、ダウンロード専用のゲームをパッケージ化して販売するLimited Run Gamesのようなメーカーも現れ、多くのファンを獲得している。

Image Credit: Nielsen

とはいえ、コンソールにおいてダウンロード版の方を好む人の割合は増加傾向にあるようだ。Nielsenの昨年の調査では、パッケージ版を好むと回答したコンソールゲーマーは69パーセントだったため、1年で3ポイント減少し、その分ダウンロード版を好む人の割合が増えたことになる。現在は基本的にどのゲームもダウンロード版が併売されており、PCやスマホではダウンロードで購入するのが当たり前のため、徐々に浸透してきているということだろうか。

Nielsenは、ひと月にゲームの購入に消費した金額についても調査しており、それによるとコンソールゲーマーはパッケージ版には23ドル、ダウンロード版には15ドル使っていると報告している。やはりパッケージ版の方が多いが、先に挙げた“好むか否か”の比率と比べると差は縮まる。ただし、この調査の昨年の結果では、パッケージ版は13.6ドル、ダウンロード版は17.5ドルとなっており、原因は定かではないが1年で逆転したことになる。

ESA 2018 Essential Facts Image Credit: ESA

アメリカでのパッケージ販売とダウンロード販売の売り上げ比率は2013年を境に逆転しており、業界団体ESAが今年公開した報告書によると、昨年時点でパッケージ販売は21パーセントまで落ち込んでいる(上のグラフ参照)。パッケージ販売の減少が続いているのに、個人の実際の消費はダウンロードを上回り、さらに増加しているという先の調査結果は奇妙に見えるかもしれないが、それはダウンロード販売にはゲームのダウンロード版以外に、DLCやサブスクリプションなどのデジタルコンテンツが含まれるためだ。近年はゲームをサービスとして運営するスタイルも増え、ゲーム本編以外にお金を使う機会も増えた。

メーカー側としても、新作だけでなく旧作も継続的に販売でき、そのリピート販売の利益率の高さも魅力のダウンロード販売の強化を打ち出しており、決算発表の場では各社その成果とさらなる促進を報告することがよく見られる。こうしたことからダウンロード販売全体としては、これからも増加傾向が続くことになるのだろう。そうしたなかで、今はまだパッケージ版が優勢のコンソールゲーマーの“好み”も、大きな変化を見せることになるだろうか。それとも、物理的に手にしたいという所有欲はこれからも上回り続けるだろうか。

ひと月にゲーム関連に費やす金額を項目別に表したグラフ Image Credit: Nielsen

今回のNielsenの調査ではほかに、回答者全体に占めるいわゆるゲーマーの割合や、ひとつよりも複数のデバイスでゲームを楽しむ人の割合が年々増加していることも明らかになっている。また、ゲームデバイスとして好まれる割合として、コンソールやモバイルは昨年から増加している一方、PCは減少。しかし、プラットフォーム別のゲームプレイ時間では、PCがもっとも多いという。このほかにもさまざまな項目における調査結果が示されており、興味のある方はチェックしてみてはいかがだろうか(調査結果全文のダウンロードは要登録)。

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