Nintendo Switch版『イースVIII』、発売前にして海外向けに「不具合修正のロードマップ」を公開。生まれるのは信頼か不安か


日本一ソフトウェアの米子会社であるNIS Americaは公式ブログにて、6月28日に全世界で同時発売予定の『イースVIII -Lacrimosa of DANA-(以下、イースVIII)』の今後の不具合修正ロードマップを、海外向けに公開した。NIS Americaのスタッフは、発売間近のNintendo Switch版『イースVIII』について今後のパッチスケジュールについて説明したいとし、全世界向けに発売するために最適化を進めつつ、そしてそれを続けていく意向があることを強調している。

パッチ内容としては、現地時間6月26日には、Nintendo Switchの自動スリープ周辺の仕様の修正やアイコンの修正、テキストの改善のパッチが配信されるという。発売週にはいくつかのクラッシュの問題や見た目の修正、テキストの改善されるパッチが配信予定。発売翌週には引き続きテキストの改善を進め、7月中旬には海外版に日本語音声を実装し、カットシーンに修正を入るようだ。

NIS Americaにとっては、Nintendo Switch版『イースVIII』について真摯に取り組んでいくという表明であるが、見方を変えれば発売を控える時期にすでにトラブルが山積みであると公言されていることにもなる。『イースVIII』といえばオリジナルともいえるPlayStation 4版とVita版は英文テキストの違和感は指摘されていたものの、ゲーム自体は高く評価されていた。しかし昨年発表されたSteam版は幾度も延期を重ね今年発売されたもののトラブルを複数抱えており、前途多難の船出となった(関連記事)。

こうした事例により海外発売を担当していたNIS America のマネージメントに疑問が集まり、当然Nintendo Switch版への懸念も高まっていた。そして今回の発表により、“最適化がさらに必要な段階”で発売されることが確定した形だ。パッチ内容としては、テキストにまつわるものが多いので、国内版『イースVIII』にはさほど影響はないだろうが、何かしらアップデートは実施されそうだ。

なお、一部の海外メディアはすでにNintendo Switch版『イースVIII』のレビューを先行して掲載している。いずれのメディアも同作について高い評価を下しており、バグやクラッシュといった点には言及していない。レビューを掲載しているメディア数自体は少ないので、信憑性にやや不安を抱えるが、それらのレビューを参考にすれば、基本的にはNintendo Switch版はスムーズに動作すると考えられそうだ。またTwitterにて出回っている、日本語が混じったりテキストが重複しているNintendo Switch版『イースVIII』のスクリーンショットは、レビュー用のものであり、パッチを当てていない状態であると、NIS AmericaのToraShiro氏がResetEraにて説明。発売日には修正するパッチを配信する予定であると投稿している。

*画像はもともとはGameXplainが投稿したレビュー動画からトリミングされたものだった

とはいえ、移植ゲームの不具合修正のロードマップが発売前から発表されるというのは前代未聞であり、プレイヤーの不安を掻き立てるものであることには間違いない。最近では国内でも、最近発売されたものの、ベータ実施から評価が芳しくない『New ガンダムブレイカー』について公開されたロードマップに、不安を寄せる声もSNS上で散見される。新作と移植で事情は違えど、共通した部分を持つだろう。一方で、NIS Americaはユーザーとコミュニケーションすることを重要視しており、ResetEraでは発売前に知らせること、そして取り組んでいくことを評価しているユーザーも一部存在する。ただ、もとよりNIS America自体の評判が芳しくないこと、そもそも不具合のある状態で発売する同社を批判する声が圧倒的に目立つのが現状だ。

日本ファルコムから看板シリーズを託されながらも、もがき続け未だにユーザーに認めてもらえるような成果を出せていないNIS America。国内版について同社が関わっているかどうかは不明であるが、せめて国内向けのNintendo Switch版については快適に動作することを祈るばかりだ。