Bethesdaから『Fallout Shelter』の模倣品だと訴えられた海外ドラマ「ウエストワールド」のゲーム版。販売元ワーナーが疑惑を完全否定

 

Warner Bros. EntertainmentがiOS/Android向けにリリースした基本プレイ無料のシミュレーションゲーム『Westworld』について、Bethesda Softworksが『Fallout Shelter』のあからさまな模倣品だとして、6月21日にアメリカ・メリーランド州の地方裁判所にて提訴した(関連記事)。両社は本件について、これまで公に反応することはなかったが、Warner Bros.は6月28日、海外メディアGamesIndustry.bizを通じて声明を発表した。

『Fallout Shelter』

『Fallout』シリーズの世界観をもとにした、地下シェルターVaultの運営シミュレーションゲーム『Fallout Shelter』は、2015年の配信開始以来、モバイルやPC、コンソールにて大きな成功を収めている。一方の『Westworld』は、アメリカのテレビドラマ「Westworld(ウエストワールド)」のゲーム版だ。西部劇テーマパークを、そこで暮らすゲストの欲を満たすよう運営する作品で、今年6月21日に配信開始されたばかり。両作は、地下に部屋を増設し、そこでさまざまな人間模様が繰り広げられるという、見た目もゲーム性も似た作品であることは、かねてより報じられていた。Bethesdaも訴状にて、ゲーム世界の構造や操作メカニクスなど数多くの類似点を指摘しているが、それぞれが類似するに至った原因として、『Fallout Shelter』のソースコードの不正な流用を訴えている。

Warner Bros.は今回の声明にて、知的財産権には深い敬意を払っており、『Westworld』に『Fallout Shelter』のソースコードが不正に使用されているという、Bethesdaの根拠の無い主張には驚いているとコメント。開発元であるBehaviour Interactiveからは、Bethesdaの主張は事実ではなく、ソースコードの流用もおこなっていないと断言されたとしている。さらに、Warner Bros.がBehaviourに『Fallout Shelter』のソースコードを使うよう促したとするBethesdaの主張についても完全否定した。

『Westworld』

Behaviourは、『Fallout Shelter』と『Westworld』の両方の開発を担当していることから、Bethesdaの企業秘密に触れることができる立場にある。もちろん、それは契約で『Fallout Shelter』のためだけに限定されている。しかしBethesdaは、『Fallout Shelter』の成功にあやかろうとするWarner Bros.に促される形で、Behaviourはソースコードを含むBethesdaの企業秘密を持ち出して『Westworld』を開発した、と主張している。そのため、訴訟ではBehaviourの契約違反・著作権侵害・企業秘密の不正流用だけでなく、Warner Bros.による不正競争も同時に訴えている状況だ。

Bethesdaは、『Westworld』のゲーム内では、リリース前の『Fallout Shelter』で発生していた、ソースコードの欠陥に由来するバグが再現されていたことも、証拠のひとつであると主張している。訴状では、類似点の一つひとつについてソースコードの流用であると指摘していることが特徴的で、見方によっては、はっきりとした根拠の存在するシンプルな訴えだと言える。そしてWarner Bros.は、今回そのソースコードという争点の部分を否定した形だ。一方のBethesdaは、『Westworld』のすべてのバージョンの配信中止と、開発およびサポートの終了、さらにこれらの著作権侵害によって被った被害の賠償などを求めている。両社はこのまま法廷で争うことになるのか、それとも和解を目指すことになるのだろうか。