ワールドカップ・ドイツ代表選手が合宿地で『フォートナイト』などゲームの“やりすぎ”でネット切断措置を受けたとドイツ紙が報道


現在開催中の2018 FIFAワールドカップ ロシアにて、ドイツ代表の一部選手がゲームを長時間プレイしすぎた故に、ドイツサッカー連盟(Deutscher Fußball Bund)からインターネット切断措置を受けたとドイツのBild紙(有料記事)が報道。このBild紙の記事を引用する形でWELTSPORTといった大手ドイツメディアが、このニュースを報じている。

ロシアの合宿地であるヴァトゥチンキにて、早朝までPlayStation 4でゲームを遊んでいた選手がいたため、監督のヨアヒム・レーヴ、コーチのオリバー・ビアホフ、そしてドイツサッカー連盟がホテルのインターネットのWi-Fiの切断(ブロック)措置を下したという。各部屋でインターネットを通じてフレンド対戦をしていた選手は、この措置を受けて、一時的にホテルでインターネットを介したオンラインプレイができなくなったようだ。彼らがプレイしていたゲームは『フォートナイト』や『FIFA 18』であったとのこと。

『フォートナイト』

ワールドカップという大きな大会の期間中に明け方までゲームをしていたというのは、にわかに信じがたい話ではあるが、ドイツ代表はワールドカップのグループリーグ最終戦で韓国に敗れて予選敗退を喫した。ゲームのやりすぎでコンディション不良に陥り、予選敗退に追い込まれたと“それらしい”筋書きのシナリオとして報道されている。Bildというと、ドイツの大手総合誌だ。スポーツ部門についてはKickerと並ぶ影響力を持つ。サッカーについては選手の移籍などのスッパ抜きも多いが、その分ゴシップ記事も多くタブロイド紙としての扱いを受けることが多い。ドイツ代表の敗退に受けひしがれる人々の“燃料”として作り出された架空の話である可能性もある。

 

噂の裏にはゲームブーム

ただし、この話が単なるゴシップではないとも考えられるかもしれない。というのも、海外サッカー選手の間で、ビデオゲームの人気が高まっているからだ。以前から、スペインのバルセロナの選手や、ブラジル代表選手が『マリオカート』を興じていることは報じられていた。そのほか、『FIFA』シリーズは多くの選手が遊んでおり、選手同士がゲーム上で対戦するという企画もしばしば見受けられる。パリ・サンジェルマン所属のブラジル代表選手ネイマールは、以前にTwitter上で『PLAYERUNKNOWN’S BATTLEGROUNDS』のカスタムサーバーをリクエストしたり、今回のワールドカップにおいては『Counter-Strike: Global Offensive』のゴールセレブレーションを披露。そのほか、サッカー選手がゲームを遊ぶというエピソードはあげだすと暇がないほど存在している。サッカー選手といえど、彼らの多くは普通の若者。休みの日にはゲームをプレイしてリラックスしているのだ。

その中でも、最近特に海外サッカーへの“進出”が著しいのは基本プレイ無料のバトルロイヤルゲーム『フォートナイト』だ。フランス代表のアントワーヌ・グリーズマンは所属クラブのアトレティコ・マドリーにてゴールを決めた際に『フォートナイト』のエモートダンスのひとつを披露。ワールドカップでは、イングランド代表のジェシー・リンガードが同じく『フォートナイト』のダンスを披露。ドイツのバイヤー・レバークーゼンの選手たちは、セレブレーションとして複数名で『フォートナイト』の“掘る”モーションを見せ、ゴールを祝福していた。

イングランド代表の『フォートナイト』熱は特に高く、トッテナム・ホットスパーのデレ・アリは同作にのめり込んでいることで知られている。しばしばTwitchにて『フォートナイト』のゲーム実況をしており、チーム・代表ともにチームメイトであるハリー・ケインやキーラン・トリッピアーとパーティーを組んでプレイすることもある。彼らは『フォートナイト』における屈指の人気ゲーム実況者Ninjaとのコラボをしたこともあるのだ。

ハリー・ケインは大会期間中も『フォートナイト』を遊んでおり、「これまで以上に『フォートナイト』を遊んでいる」と話しており(別ソースではワールドカップに向けてロシアに旅立ってからすでに100試合以上遊んだとも)、ケインは奥さんからは「(チームメイトとゲームばかりに興じているという意味で)大会期間中は少年たちの休日のようだ」と言われていることをBBCに対して明かしていた。イングランド代表のメンバーは少なくとも9名が『フォートナイト』に没頭しているとも報じられている(Game Rant)。

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これほど『フォートナイト』を遊んでいる選手たちが多い環境ならば、ドイツ代表選手が同作を遊んでいたこと、そして遊びすぎて“叱られた”こともあながちゴシップではなさそうに思える。むしろ、これほど堂々と『フォートナイト』漬けの毎日であることを公言しているハリー・ケインに懐疑的な目が向けられていないのが不思議なぐらいだろう。

やはりドイツ代表の“遊びすぎ”を報じるセンセーショナルな記事が世界を駆け巡っているのは、グループリーグで敗退してしまったという結果に起因してのものだろう。一方、ハリー・ケインはワールドカップの得点王ランキングを争っており、イングランド代表はベスト4進出を決めている。状況が違えば、ハリー・ケインに批判が集まっていてもおかしくなかったかもしれない。ドイツ代表選手が『フォートナイト』などを朝方まで遊んでいたかどうかは定かではないが、少なくとも敗退という結末が批判的な意見を呼び込んでいる一面はあるだろう。スポーツの世界はやはり“結果”がすべてであることは間違いなさそうだ。

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