『We Happy Few』日本語対応で正式リリース。薬漬けの強制幸福街からの脱出を試みるディストピアン・アドベンチャーゲーム

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カナダのゲームスタジオCompulsion GamesとパブリッシャーのGearbox Publishing811日、『We Happy Few』を正式リリースした。本作は20167月に早期アクセス販売が開始された一人称視点のサバイバル・アドベンチャーゲームである。対応プラットフォームはPC/Xbox One/海外PlayStation 4Xbox Oneの販売価格は税込8424円、Steamでの通常販売価格は7000円となっており、後者は814日まで15%オフの5950円で購入できる(日本語字幕・インターフェイス対応)。またシーズンパスがセットになったデラックス版も別途販売されている。

本作の舞台となるのは、レトロフューチャーな雰囲気をまとった1960年代イギリスの架空街ウェリントン・ウェルズ。第二次世界大戦時にドイツ軍に制圧された過去を持つこの街の住民は、精神を高揚させる麻薬「ジョイ」に支配され、偽りの幸福に溺れている。この強制幸福剤を服用する者は幸せな毎日を送れるかわりに、副作用として記憶喪失と軽い精神疾患を起こしてしまう。主人公は、そんなウェリントン・ウェルズからの逃亡を図る3人のキャラクターである。彼らは抑圧された過去を取り戻し、そして未来を手にするため、脱出の手立てを探っていく。

「幸せとは歴史のない国(Happy is the country with no past)」という標語が掲げられたオフィスにて始まる本作の物語。プレイヤーは自動生成される狂いに狂ったディストピア世界にて、空腹度や喉の渇きといったパラメータを管理したり、街中の施設や住宅に忍び込み物資やレシピを収集したりしながら、武器やツールをクラフトしていく。マップは複数のエリアに分かれており、次のエリアに進むためにクエストやパズルを解き、キーアイテムを揃えていくこととなる。ジョイ服用者たちの居住区では、自らジョイを服用することで周囲に溶け込むか、あるいは薬が抜けたダウナーとして住民や警官に見つからないようこっそりとステルス移動しながら(もしくは戦闘ありきの強行突破で)探索やクエストを続けねばならない。異分子狩りに躍起になったウェリントン・ウェルズの住民は、主人公がダウナーであることに気づくと容赦無く追いかけまわしてくる。戦闘の準備ができていなければ必死に逃げ惑うことになるだろう。

食糧不足に悩まされているウェリントン・ウェルズの住民は、壊血病を避けるためネズミ肉や雑草を摂取している。ジョイを服用している住民の目には、それらも立派なご馳走に見えるため、気にすることなく口にできる。ジョイのおかげで劣悪な環境にも耐えられる

3人の主人公はそれぞれ長所・短所が、そして人々や物事への接し方・反応が異なる。うまく彼らの特性を捉えつつ、ユーモアと希望と救済に満ちた逃走劇に出発するのだ。基本的には、次のエリアへと進むキーアイテムを入手するため、クエストNPCが欲しがっているアイテムAを探しに行き、続いてアイテムAを手に入れるためにアイテムBを探し……といったサイクルを続ける中で、主人公たちは自らの記憶を少しずつ取り戻し、またウェリントン・ウェルズの真実を目の当たりにしていく。本作はサバイバルゲームであり、ナラティブ・アドベンチャーゲームでもあるのだ。

We Happy Few』は早期アクセス販売開始当初、自動生成マップ・サバイバル要素・パーマデス(一度死ぬとゲームの一番最初からやり直しとなる制度)が土台となったシビアな難易度のゲームとなっていた。だが現在はゲームの難易度を複数のオプション(イージー・ノーマル・ハード・カスタム)から選択できる。カスタム難易度であれば、飲み食いの管理だけ簡単にするといった調節が可能だ。パーマデスの有無も選べるため、物語だけを楽しみたいプレイヤーはストレスを最小限に抑えて遊べるだろう。

またデラックスエディションに同梱されているシーズンパス(単体では2800円で販売中)を所持しているプレイヤーには、3種のストーリーDLCが将来的に配信されることが発表されている。ウェリントン・ウェルズで最も悪名高い住人たちの奇怪な行動を追跡するという内容だ。シーズンパスとは別途、無料アップデートとしてサンドボックスモードも追加される。こちらはルールや難易度を細かく調整したり、操作キャラクターをウェリントン・ウェルズの一般市民(ウェリーズ)に切り替えて遊んだりとカスタマイズ性が高いモードだ。

先述したように、発表当初は自動生成とサバイバル要素を中心としたサンドボックス・サバイバルゲームとして開発されていたが、「E3 2016」にて公開されたストーリートレイラーが、『バイオショック』のような雰囲気をまとった重厚な物語を匂わせていたことから、本作のナラティブに期待を寄せるプレイヤーが増加。その期待に応えられるよう、開発陣はナラティブの強化に注力し始めた。2017年にはGearbox Publishingをパブリッシャーとして迎え入れたほか、販売価格の値上げに踏み切っている。同年には映画化プロジェクトも始動。「E3 2018」では開発元Compulsion Gamesがマイクロソフト傘下に入ることがアナウンスされた(今作に関してはマイクロソフトに買収される前にGearbox Publishingと契約を結んでいたため、マイクロソフトではなくGearbox Publishingがパブリッシャーとなっている)。

開発規模の拡大に伴い、2000円〜4000円価格帯のインディーゲームではなく、Steamでは7000円、コンソールでは8000円台というAAA級タイトルと同等のフルプライスタイトルとして発売された『We Happy Few』。プレイヤーからの評価は、期待されていたナラティブ部分の出来具合はもちろんのこと、フルプライスを正当化できるだけの品質に仕上がっているかどうかに左右されることだろう。

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