北朝鮮にてテレビゲームが流行中であると韓国紙が報道。若者が『GTA V』などを遊ぶ


北朝鮮にて、テレビゲームが流行していると韓国紙KoreatimesDailyNKなどが報じている。北朝鮮から亡命した人々の複数の証言により、この事実が発覚している。楽しんでいるのは主に若者で、『グランド・セフト・オートV』や『FIFA Online』、『I.G.I.-2: Covert Strike』などを楽しんでいるとのこと。これらはあくまで一例であり、韓国で有名なゲームはほとんどプレイしていたという証言が存在することを考えると、相当数のゲームが北朝鮮にて遊ばれていると考えられる。

『FIFA Online 3』

では、そうしたゲームはどのようにして北朝鮮に持ち込まれたのだろうか。2017年の12月に脱北した14歳少年によると、その出処は不明ながら、ひとつのUSBスティックが持ち込まれるとゲームはすぐに街中に広まり、みんながプレイするようになるという。実際に、この少年の友達もみんなこうした“外国製”のゲームを遊んでいたとのこと。対応プラットフォームや、USBによって持ち込まれているという経緯から考えると、彼らが遊んでいたのは、PCゲームの海賊版かもしれない。

こうしてゲームが広まっていったとしても、街の人々は中国から持ち込まれたと考え、気にすることもないそうだ。北朝鮮では、ネットワーク通信が厳しく制限されている。それゆにえ自由にマルチプレイを楽しむこともできない。しかし、LAN(ローカルエリアネットワーク)ケーブルをPCとつなぐことで、近隣の友人とマルチプレイを遊ぶといった工夫を凝らし、ゲームを楽しんでいるようだ。

北朝鮮では現在、映画やドラマなどは検閲されているという。こうした遊び方をしていることが確認されているならば、ゲームもまた検閲対象となりそうだが、ゲームは拡張子を変えることで容易に隠蔽できるがゆえに、当局はゲームを深追いはしていないと、2006年に脱北した男性は語っている。あくまで、政府はドラマや映画の検閲に集中しており、それゆえにゲームに興じる人が多いのかもしれない。

『Hunting Yankee』

なお昨年8月には、北朝鮮にて“アメリカ兵を狩る”ことを題材としたシューティングゲーム『Hunting Yankee』を開発していることが報じられていた(関連記事)。また『Confrontation war』『Guardian』『Goguryeo battlefield(高句麗の戦場)』といったゲームが開発中であることも報告されている。相変わらず詳細な経緯は謎に包まれている、とにかく北朝鮮にゲーム・カルチャーが浸透しつつあるのは確かなようだ。PCゲームには『HOMEFRONT』や『マーセナリーズ』『ゴーストリコン2』など、北朝鮮をテーマとした作品は少なくないが、彼らがこうしたゲームを遊び、どのような感想を抱くのか気になるところ。